8 新しい友達
コミュのメンバーでミッションを進めるはずだったけど、レオさんとシンヤさんが仕事が忙しくなってしまったらしく、レオさんも休みの日だけは朝から遊んでたりするけれど、他の日はシンヤさんと同じで忙しくて来れなくなってしまった。
一人でミッションとかやる気が起きないけれど、みんながミッションを進めたいと言っていたので仕方なくNPCに話しかけたりして一人で進められるところまではやっておこうと準備している。
最近はコミュにユイちゃんも来なかったので、コミュニティリングを付けてみても僕一人の事が多くなってしまった。
調理スキルを上げていたら、今のレシピではスキルがあまり上がらなくなってしまったので、レオさんが言っていた他の街のギルド行って高スキルレシピを教えてもらうべきかと悩んでいた。
メロンジュースを作れるようになりたいし、森とか抜けるのにレベル的には大丈夫だと何回もレオさんから聞いているけど自信がない。
でも、実際どうなんだろう? そもそも移動するのに地図がないんだよねと思ってたら目の上の方に地図が開いたので「うわ!」と声に出してしまった。
もしかして、他の人が言っていた『カーソル』っていうのが頭で支持するという事なのかも? と気がついてログアウトしたいって念じて見たけど出来なかった。もしかして間違ってた? と色々試してみて、一応着替えとかも、コマンドウィンドウ見たいなのが開いてパッと一瞬で着替える事ができた……いままで何やってたんだろう。食べ物がスムーズに買えたりしてたのは、お腹が空いていて食べたいなという指令が上手く操作に繋がったのだろうか?
それからは色々試して少し楽しくなってきた。フレンド登録とかも出来ることを発見したので、今度レオさんとシンヤさんに登録してもらえるか頼んでみよう。
いろいろ試してみて結局、視点を変えるのと、ログアウトだけできなかった。
地図を必要な分だけ買おうとしたらどれが必要なのかわからない。レオさん来るまで他にも出来る事あるかなと、コマンドを調べたりして時間を過ごしていたけど全然レオさんが来ないので、自分でそれっぽい地図を購入して外に出てみた。
早速、地図がまったく役に立たなくて、最初の森で迷っていたらシンヤさんと同じ種族の顔と髪型がちょっと違うイケメンのエルフさんに声をかけられた。
「どうしたの? 迷子?」
「はい、地図の見方がよくわからなくて方向が……」
「どこ? 案内してあげる」
知らない人は苦手だったけど、迷子になってたし、そばでウロウロしている獣人が怖いしで、もう泣きそうだったので手をつないでもらってついて行った。
エルフさんは「え、マジ?」とか「まさか会えるとは」とか言うとこちらを見て聞いてきた。
「もしかして君がうわさの」
「気持ちの悪い……NPC……?」
「いいや、可愛い動きするキャラがいるって聞いていてさ」
可愛い? なんだろう。もしかしてうわさのNPCとやらは僕だけじゃなくていっぱいいるのかもしれない。考えながら歩いていたらエルさんが「手をつなぐとかまじで可愛いなあ」本当に可愛いと連呼している。
「ねえねえ、ケンタくんフレンド登録してくれる?」
「いいよ。その名前は何て読むの?」
「ああ、長いからね……ラビで良いよ」
フレンド登録はコマンドを試していた時に見つけたやつを実際にやってみたけど簡単に出来た。それから街までずっとラビさんと手をつないで移動して、手をつないだままで街の中も案内してもらい、レンタルの宿の前まで連れて来もらった。
「ここはこんな感じかなあ」
「思ってたより遠かった」
「そうだねえ、久々にこんなに歩いたよ。今日はこれで落ちるけどまた遊ぼうね」
「今日はありがとうございます」
お礼を言って頭を下げたら「まじで? その動き……」と言いながら目の前でログアウトして行った。やっぱり変なのかな? レオさんにも動きが違うって言われたし。
今日はもう移動で疲れたし、部屋で休もうと思ったら自分の国以外は冒険者でも部屋を借りるのにお金がかかると言われてショックだった。NPCは何回話しかけてもレンタル料を安くしてくれるとかはなかった。