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2 お友達ができました

 外はかなりやばそうだったので街の中でおとなしく過ごしている。でも街の中で出来る簡単なクエストクリアでは小銭しかもらえなくて、パンとか水とか質素な食料くらいしか手に入らない。


 街に人はいっぱい居るのだけど、僕は場所を動かない明らかにNPCっぽい人にしか話しかけていなくて、ゲームキャラを動かしている人たちは避けている……これは夢かもしれないけれど、どうしても他の人に話しかける勇気が出ない。


 ゲーム内には人が少ない一定の時間帯があって、居ても動かないで競売所の側でいつも座っている人が何人かいるのだけど、座り込んでいる人たちは動かしている人が居ないようだ。

 いつも同じところに座っている小さい種族の人の着ている服が可愛いなとじっと見てたら、目の前にウィンドウが開いて相手の着ている装備の詳細や、バザーで売っているものなどが表示された。


 バザーは、クリームパン10コイン、オレンジジュース15コイン、グレープジュース20コインと食べ物が並んでいる。


 クリームパンが美味しそうで、食べたいな……と商品を見つめていたらクリームパンが購入されたと表示されたので、オレンジジュースも見つめてみると購入したとウィンドウに表示された。

 ちょっとドキドキしたけれど、相手がまったく動かないので安心して毎日そこから食べ物を買う事にしてる。


 いつものようにクリームパンとオレンジジュースを買っていたら、今日はメロンジュースも売っていたので飲んでみたかったけど、値段が50コインだったのでちょっと高いかなと買うか迷っていたら、


「まいどありがとうございます」


 と急に相手が動いて話しかけてきたのでものすごく驚いてしまって、僕はそこから逃げ出してしまった。

 バザーの中には動かしている人が居ないと思ってたのに……側に行ってあの人にまた話しかけられたりしたら嫌だなと思ってしまって、そのあとは中央の競売所の方には近寄らないようにした。


 街のNPCのお店でメロンジュースを探したけど売っていなかった。エリア違いにも小さい競売所があったのでそこで覗いてみると平均落札額は300コインだった。

 メロンジュース美味しそうだったなあ……とがっかりしながらも、競売所であの子が着ていた可愛い服と同じものを探してみると胴装備のローブというもので、1500コインした。


 現在の所持金が500コインなのであと1000コイン足りない。僕が着ているのは部屋着みたいな簡素な服だったのであの服が欲しい。


 何回も繰り返して受けられるクエストを毎日ちまちまと地味にこなしていたからか、今まで受けられなかった少し難しいクエストも受けられるようになってきて、簡単なクエストを受けていた店で街の外の看板の文字を書き換えて欲しいという2000コインもらえるという割と良いクエストが受けられた。

 詳細をお店のNPCの人から聞いて見ると街から近い場所だったので、ちょっとやってみようかなと思った。


 恐る恐る大きな門から外に出てみたら、街のすぐ外には敵が見えない。ホッとして目的の看板まで行って間違えている文字を直して帰ろうと街のそばまで帰って来たら、さっき来る時は居なかった獣人の敵がうろうろしている。門番は敵が見えているはずなのに、門の側からは動かない。


 どんどん暗くなって来るし、獣人の敵は動かないしで、どうしようと背の高い草の陰で小さくなって隠れていたら後ろからがさっと音がして大きな影が見えたので悲鳴をあげて頭を抱えて動けなくなってしまった。


 しばらく頭を抱えて固まっていたら、笑い声が聞こえてきたので恐る恐る目を開けるとエルフの男の人と、熊みたいな男の人が居て、エルフの人が熊の人を指差して笑いながら


「こいつが敵に間違われるの5回目!」


 と大笑いで騒いでいる。

 熊の人がエルフの人を嫌そうに見てから、俺の方を向いて


「驚かしてごめんね」


 と謝ってくれるので、俺も「何かすいません……」と謝って街に帰るという二人について帰ろうとして、敵に気がつかれるとやばいと思って熊の人にくっついて自分の姿を隠すようにして進んで上手く帰れた。


 無事に街に入れたので頭を下げてそのまま去ろうとしたら、クループで会話ができるコミュニティーリングをくれると言われたのだけど、他にメンバーが二十人ほどいるらしい……知らない人が一杯いるとか無理すぎるので、


「あの、始めたばかりなのであんまり上手く会話できません」


 と断ったら熊の人が二人だけのリングを作ってくれると言って渡してくれた。

 エルフでイケメンの人の名前はシンヤさんで、リングをくれた熊の人は名前が長いので「レオで良い」と言ってくれた。


 もらったコミュニティリングを付けてみると目の前に会話用のウィンドウがぱっと開いて驚いた。

 コミュニティーリングは同じリングを付けている人同士で会話が出来るリングで、それをつけていると目の前に会話用のウィンドウが現れて、遠く離れていても話しが出来る。


 最初は知らない人と話すのが凄く恥ずかしかったし、話すことも思い付かなくて、ただレオさんの話しに相槌を打つだけだったけど、毎日二人で話をしていたら段々会話にも慣れてきて、僕はレオさんにゲーム内のクエストやミッションについて教えてもらったりしている。レオさんは居ない時間が多いのだけど夜は時間があるからと毎日ログインしている。


 僕もレオさんのようにゲームの世界からログアウト出来て元に戻れるんじゃないかと思って色々試してみたのだけど、そもそもログアウトのコマンドが出てこない。寝てたら自然に目が覚めて、自分の部屋で起きるんじゃないかと試したけどダメだった。

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