16 外の世界にも出てみた
レオさんと会うと弥弘に話したら「俺もレオさんに会いたい」と言ってきたので、レオさんにはラビさんも連れて行くと連絡して、待ち合わせ場所に二人で向かった。
「レオさんとリアルで会うまで仲良くなってたとは思わなかった」
「そう?」
「リアルに連絡取り合うとかダメとか親に言われなかった?」
「女の子じゃないんだし」
「聡久は危なっかしいから目が離せないな」
「失礼な。弥弘より年上なんですけど」
「うーん、年齢で大人か子供かの判断って間違っているよね」
「他に何で判断するんだよ」
通りすがりにの人たちに、なんかチラチラ見られるので何かなと思ってたら、いつもの癖で弥弘と手を繋いでいたことに気がついた。学校ではもう誰にも何も言われなくなったけど、外ではさすがに手を繋ぐのは恥ずかしいと気がついた。
「弥弘……手」
「うん、ああごめん」
ごめんと言ってきたので手を離してくれるのかと思ったら普通に握ってた手を指をからませた恋人つなぎに変えて来た……どうして? と思ったけどもう面倒臭くなってしまって、指に力を入れて握り返したらびっくりしてこっちを見て来たけど無視してレオさんとの待ち合わせ場所まで移動した。
実際に会ってみたレオさんは……風見柊吾さんは、名前も顔もカッコよかった。なんとなく熊さんでイメージしていたので見慣れなくてついつい顔を見てしまうので弥弘に「顔見すぎじゃない?」と注意されてしまうくらいは見てしまっていた。
「聡久くんはイメージと違ってた」
「僕も風見さんって熊のイメージだったからびっくりした」
弥弘もレオさんと風見さんではイメージが全然違うと驚いていたけれど、風見さんもラビさんって自分と同じ年くらいの社会人と思ってたらしく、僕と同じ高校生とか同級生とか言う度に「本当に?」と何回も言っていたので笑いが止まらなくなってしまった。
体のこともあって親が心配するので、あんまり遅くまでは居られなくて、お昼を食べた後は帰りの時間もあるので、また会いましょうと約束してさよならして帰って来た。
「風見さんかっこよかった。イケメンもネットゲームやるんだねえ」
「ゲームに顔は関係ないだろう……俺もやっているし」
「……え?」
「え? 違うよ、自分がイケメンって意味じゃないよ」
「弥弘がラビさんって事に、風見さんすごい驚いていたね」
「俺だってレオさんと風見さんのイメージが重ならない」
「多分、何回か会わないと熊さんイメージ取れないかな」
「……また会うんだ」
「今日はあんまり話せなかったからね」
帰ってきてからすぐに風見さんにお昼ご飯をおごってくれたお礼と、あんまり話せなくて残念だったと連絡した。
もともと人見知りで、怖がりで、あんな突然わけのわからない状態になってしまってゲームの中で引きこもり状態になっていた僕に話しかけてくれて、自分の事情もロクに話せなくて異常に怖がる僕に、親切に戦い方を教えてくれて、クエストもちゃんと危なくない状態で進めさせてくれていたレオさんにもっとちゃんとお礼を言いたいと思ってたので、風見さんに会えてこうやって連絡できることはとてもうれしい。
あれからもゲームの中で普通に待ち合わせしてのんびり釣りしたり、シンヤさんに僕やラビさんとレオさんがリアルで会ったと話したら今度は四人で会ってみたいという話になったりしている。
最近はテストもあってゲームにログインが出来なかったので、風見さんには電話でも連絡して近況とかを話すようになって、色々話していたら風見さんのうちにはゲームのハードやソフトが沢山あるという話になったので、僕は風見さんの家にゲームを見せてもらいに遊びに行かせてもらう事になった。ゲームも楽しみだけど、この間は弥弘もいたからあまり話せなかったし、もっと聞きたい事や話したい事もあるので遊びに行くのがものすごく楽しみだ。
(完)