12 ゲームの終わり
遺跡巡りのミッションはこの間と同じように、レベルの高い人達が手当たり次第に道を歩きながら敵を倒していく戦法なので、僕はみんなの後を歩いて進むだけになる。
ただ、歩くだけとは言っても遺跡までの移動で時間がかかってしまうので、今日は攻略出来そうな距離と移動時間を考えて比較的楽な遺跡を選んで三ヶ所を回った。
移動は楽だったけど、思ってたより時間がかかってしまい、大分遅くなっちゃたのでここまでで解散……という事になったのだけど、ユイちゃんが
「もう一ヶ所だけ回って欲しい」
とラビさんに頼んでいて、まあ明日休みだし少し遅くなるけどやってみようかと移動はしてみたのだけれど、入り口の所で他の人たちが
「もう眠い」「もう限界」「ここは敵強くて時間かかるから嫌」
となって、結局は解散という事になってしまった。
みんなもう眠くて限界……とローズさんや、その他の何人かはそのまま入り口でログアウトしてたけど、僕はログアウト出来ないので「こんな敵が出そうな所で野宿は無理……」とラビさんに一番近い街まで送ってもらってレンタル宿を借りて休んだ。
あれからぐっすり寝たようでまだ誰もログインしてこないうちに目が覚めたてしまった……ミッションの続きもあるし、この街から移動して良いのかわからないので誰か来るまで待ってようと街の中で釣りをしていたらラビさんもまだ同じ街にいて、昨日は寝るのが遅かったのにいつも通りに朝早く目が覚めてしまって眠いと言ってる。
「ラビさん、ミッションの続きはどうするの?」
「そうだなあ……明日も休みだし、早い時間から集まれば残りの遺跡全部行けるかもしれないけど」
「早い時間だと昨日のあの人数は無理かな?」
「だね」
他の人たちが来てからミッションを進める日程を決める事にして、何して遊ぶか考えながら二人でのんびりと釣りをしていると、ユイちゃんがコミュに来て「昨日のミッションの続きをしましょう」と言ってきた。
僕は「約束していないしダメじゃないかな?」と答えながらも、ラビさんにミッションの事を聞くと自分のコミュに声かけてくれて、三人くらい手伝ってくれる人が居ると言うのでユイちゃんのお手伝いをお願いした。
ラビさんは昨日のミッションで疲れてたのか「朝からは無理」と参加しないで釣りをそのまま続けて、僕に海釣りしようと嫌な提案をしてきたりする……その街のすぐ側に海があって崖から釣りができたので、僕は恐々と海で釣りをしてみると、敵が釣れても僕のレベル的にも全然余裕だった。
街の中では釣れるものの種類が少なくて、ずっとそこで釣りをしてて飽きていたので、外だと色々なものが釣れるのが楽しくて、もうちょっと早く始めれば良かったと喜んでいたらラビさんが「ケンタくんは怖がりだよね、もうちょっと冒険してみたら?」と言う。
ラビさんには説明したほうが良いかな? 十歳だと思ってたとか言ってくるし……僕は別に怖がりとかじゃないんだけど。
「あのね、僕の動きが皆んなと違うのと関係あると思うんだけど……」
と言いかけた所で、ユイちゃんが「ミッションが上手くいかない」「もっと手伝ってくれる人がいないと困る」と言うので、ラビさんに聞いてみると、ユイちゃんのレベルだとお手伝い三人だとちょっと時間がかかってしまうそうで「夜なら皆んな来るから一緒に進めようか」とラビさんが言っているとユイちゃんに伝えたけど返事がない。
どうしようかと困って居たら、ラビさんが他に頼める人がいないようだから、自分が手伝いに行くと言ってくれたので、僕も手伝うよと一緒について行ったのだけど、自分のレベルの低さを考えて居なかったので、途中の道が昨日と全然違ってものすごく怖い。
暗い洞窟みたいな通路の敵がみんな僕の方を見てくる……というか殴りかかってくる。
僕はラビさんにくっついて歩いてたのでちょっと時間かかっちゃったけど、ユイちゃんたちも、あまり進んでいなかったのですぐに合流できて、ゆっくり倒しながら進もうとなった。
昨日と違って道の先の敵を倒してもらってからの移動ではないので、油断するといつのまにか後ろから殴られているので怖いし、毒とか使う敵がいるとじりじりと地味に痛いのが嫌だ。
レオさん……ローズさんキャラが居てくれる時はすぐに状態異常を治してもらえるのだけど、回復系がユイちゃんしか居なかったので、毒ですと申告しにくくて自然に回復するまで我慢しているのでちょっとつらい。
レベルの高いラビさんが参加したら戦闘にも少し余裕が出来たようで、ミッションも敵を倒しながらの移動で時間はかかったけれど、何とか無事にクリアできた。
無事に終わって良かったねと帰る途中で珍しいアイテムを落とす、普通のと違う敵が居ると言うので、怖かったけど僕はそういう敵を初めてみたので名前が違うだけ? と観察したりしていた。
見た目が変わらないので、最初の頃は普通の敵と間違って戦闘開始しちゃって、あっという間に倒された人達が沢山いたと、ラビさん達レベルの高い人達が言うくらい強い敵と聞いて、僕は慌ててラビさんの後ろに隠れた。
ユイちゃんが「倒したいな」と言ったけど、流石にこの人数じゃ無理だから帰ろうと皆んなが通り過ぎようとした時に、ユイちゃんがその敵に殴りかかってしまった。
みんな「え?」となって、倒せないだろうと言いながらもラビさん達も戦い始めたけど、敵が物凄く強くて、敵の必殺技みたいなのにあっという間に一人二人と倒されてしまう。僕は少しだけ離れて居たのに、範囲の必殺技に僕も巻き込まれてしまって戦闘不能になったようで倒れてしまった。
ものすごく痛くて、これはどうなってしまうんだろう……と思ってたらどんどん目の前が暗くなってきた……ラビさんが「今、助けるからちょっと待っててね」と言ってくれているけれど、僕の意識は遠くなってブラックアウトしてしまった。