表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/17

11 釣りとかもやってみた

 シンヤさんが久しぶりにゲームに来てた。仕事が少しだけ落ち着いたらしい。平日は残業で忙しくて来れなかったけど、休みの日に来れないのはデートで忙しいからだとリア充自慢をしてくる。


「まじで仕事終わらないかと思った」

「あれはシンヤがミスするからだろう」

「全部俺のせいにしないで」


 レオさんとシンヤさん二人の話を聞いていたら、ユイちゃんが来てミッションを進めたいとシンヤさんに手伝いを頼んでいた。僕とローズさんはミッション終わったとシンヤさんに報告していたので、僕がユイちゃんの手伝いをしたいと言ってみたら、シンヤさんに「危ないし、俺だけでも大丈夫だから」と言われてしまって留守番になってしまった。

 レオさんは「明日仕事があるし、朝早いので手伝いは出来ない」と言って「もう寝ます」とログアウトしてしまったので、僕もコミュリングを外して寝ることにした。


 次の日シンヤさんにミッション大丈夫だった? と聞いたら、あの【お守り】のある場所は敵が多くて大変らしく、クリアに三時間くらいかかって、寝るのが遅くなったせいで今日は仕事中眠くてやばかったと言っている。僕の時は一時間かからなかったので、あれはレオさんが良く言う冒険じゃない方のクリアの仕方だ。


 シンヤさんはユイちゃんとレベル上げをしているけれど、僕はレベル上げはやりたくなくて、さぼってのんびり調理のスキル上げとかしていた。


 最近はラビさんに「ヒマでやる事ないなら」と誘われて釣りを始めたので、さらに外に出なくなってしまったし、レオさんも仕事が忙しくてゲームで何かする気力が起きないと言って、ローズさんのキャラで餌をバザーに出してくれながら一緒に三人で並んで釣りをしている。


「まあ、街の中だと釣れる魚も限られるし外で釣るのも面白いよ」

「船とかでも釣れるの?」

「釣れるよ、敵も釣れるけど」


 レオさんから嫌なことを教えてもらった。外だと敵も釣れることがあるらしい……調理用のお魚は外で釣れるやつを使うので、僕の釣りは完全に暇つぶし用だ。


「リアルでは餌用の虫とか絶対に触れない」

「ケンタくんは昆虫系の敵も嫌がるよね」

「あれも無理」


 現代っ子だよねえとラビさんはお年寄りみたいな事を言う。ラビさんに「ケンタくんって何歳なの?」と聞かれたので十七歳と答えると驚かれた。


「十歳くらいかと思ってた」

「ああ、それわかるかも。高校生くらいかなと思ってたけど幼いなって」


 ラビさんもレオさんも酷い。僕だって普通にゲームをしていたらあんなに怖がらない。死ぬかもしれないというリアルな恐怖を説明できないので、ただの怖がりの子供扱いになってしまう。


 釣りもコツを覚えれば単純作業なので三人でぼんやり釣りをしていたら、ユイちゃんがコミュに来てミッションを進めたいという。ラビさんに聞いてみたらケンタくん来るなら皆んな集まるし、一緒にクリアしようと言ってくれたけど、流石に今日すぐに行くのは無理なので週末に集まる事にして、時間もざっくりと決めてメンバーが全員集まったら出発という事になった。


 釣りしながらラビさんに次のミッションの進め方を教えてもらったのだけど、五ヶ所遺跡巡りをするミッションで、遺跡のある場所が強い敵が多くて危ないらしい。もうちょっとレベル上をあげてから進めた方が安全だけど、この間のメンバーが揃えば大丈夫と言ってた。


 レオさんもあのメンバーで行けるならこのキャラでクリアしたいとローズさんのキャラで参加したいと言っているので今度はユイちゃんも一緒に行けて、皆んなでクリアできるので良かったと安心した。


 週末になったらしく、ミッションに行く皆んなが集合し始めた。僕もローズさんと一緒に集合場所に移動して装備ってこれで良いの? と見せていた。どうせ敵は高レベルの人たちが倒してくれるから間違って死ぬことないように防具だけちゃんとしてれば良いんじゃない? と言われたので適当な感じでゆるく揃えた。


 ユイちゃんも遅れてたけどちゃんと間に合って、よろしくお願いしますと挨拶している。皆んなが集まったので遺跡に移動しようとなったらお手伝いをしてくれる人達が急に一斉に話し始めたのだけど……


「ケンタちゃんおれと手繋いで!」

「ちょっと、俺も俺も」

「首かしげてるかわいい」

「俺、右手でお前左手つかんでもらえ」

「おれおんぶでもいいよ」

「ちゅうでもいいー」

「困ってるかわいい」

「順番で」

「次のエリアで交代とかにすれば?」

「それ良いね、じゃんけん?」

「じゃんけん無理」

「不思議そうにしてる可愛い」

「あ、じゃあさあ……」

「……


 ザアァァ……と会話のログがどんどん流れて怖い。何これ。

 思わずラビさんにしがみついたらまた「それ良いな」とか騒ぎ出して思わず逃げようとしたらローズさんに他の人の事は気にしないで、ラビさんにくっついて歩けば大丈夫だよと言われたのでそのまま移動した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ