10 ミッションが進んでしまった
自分の現状を考えてしょんぼりしていたらラビさんから「ケンタくんはミッションってどこまで進んでるの?」と聞かれたので、現状の進み具合を答えたら、今からうちのコミュのみんなで行くところだから一緒に行こうよと誘われた。
僕はミッションとか別に行きたくないし、他の人と行く約束しているからと断ったのだけど、人数集まらなくて困っていると言う。ラビさんには日頃の恩もあったので、お手伝いのつもりで集合場所へと行ってみたら沢山の人が集まっていて驚いた。
「やあ、ごめんね。途中まで護衛するから」
「わかりました」
「あと一人集まったら行くね」
ラビさんとのやりとりを周りの人が何か言ったりリアクションしながら見てくる。ちょうどレオさんがログインして来たのでミッションを手伝うことになったと言うと、ローズさんで参加したいというのでラビさんに確認すると「良かった最後の一人集まった」と喜んでくれた。
ミッションは、何故か一緒に付いてきた沢山の人達が全部の敵を倒しながら進むので、ただ皆んなについて歩いて行って、ココにあるからと言われた所にある【お守り】を取って帰ってきただけだった。普通にクリアするには本当は敵が強くて大変なエリアらしいのだけど、今回は僕の手伝いとかは必要なかったと思う。
「何か野次馬が多くてごめんね」
こんなはずでは……とラビさんが困っている。周りの人達が「チュウのやつ見たい」とか言ってきて、ラビさんにこないだのやつお願いと頼まれたけど、この大勢の前でやるのは流石に恥ずかしかったので、ローズさんの前でしゃがんでおでこに口を寄せる真似をした。
「これ以上は屈めないからおでこになった」
「こっちじゃない方のキャラでやってもらいたかった」
とレオさんが言ってたけど、レオさんの熊のキャラの身長だとアゴにキスする感じになると思う。
まわりの人はあの動き……とか色々言っている。すごい見られている気がして僕は恥ずかしくなって「もう寝るから帰るね」と「さようなら」と手を振ってその場から逃げ出した。
そのあと、のんびりコミュでレオさんと話していたら、さっきの大勢の人達はレオさんとシンヤさんが元々所属している所で、最初に会った時に僕に入ってもらおうとしてたコミュニティーのメンバー達だと言っている。そのコミュ内でシンヤさんが僕のことを、可愛い面白い動きをするキャラがいると話していたらしい。
「やっぱり変なのかな」
「変というか、リアクション可愛いよ」
可愛いとかってどう言う事? と悩んでいたらユイちゃんがコミュに来たのでミッションをクリアしたよと話したら怒りだしてしまった。
「クリアの仕方がわかったから僕も手伝えるよ」
「いいです、いっぱい手伝ってくれる人いるし」
そのままユイちゃんはコミュリングを外しちゃったようで、コミュからいなくなってしまったので困った。レオさんが「気にしなくて大丈夫だと思う」と言うので、また今度ユイちゃんが来たらミッションの話しをしてみようと思う。
レオさんが時間が中途半端だし、クエストとか出来ないからと僕の調理スキルを上げる手伝をしてくれると言うので、一緒に調理ギルドに行ってレオさんにスキルを上げやすいレシピを教えてもらって、調理用の持ちきれない材料と、出来た料理をレオさんに持ってもらいながらメロンジュース目指して頑張ってスキル上げをした。
もう遅い時間だし、そろそろ寝るねと言うレオさんに、さっきのキスのマネの動きをしてみたらやっぱりアゴにしか届かない「やっぱり唇には届かないね。おやすみなさい」と、レオさんとさよならして別れた。