第4-3話
1頭VS20体
ゴブリンが相手とは言えそう簡単には勝てない。どうする?各個撃破が良いんだろうがスリーマンセルで行動してやがる。リーダーを狙うのも難しいか…
(チッ!)
舌打ちしながら対策を思案していると攻撃が来た。ヤツらは棍棒、短剣等の装備。一撃だとそれ程大きな怪我になることはないだろう。ならば…
(行くぞ!)
【瞬脚】
爆発的なスピードを出すスキル。その速度を持って一組のゴブリンに対し体当たりをブチかます!
激しい踏み込み音と衝撃音。しかし攻撃が直線的すぎるのか回避された。リーダーの指示もあるのだろう。そのあとすぐ後脚に攻撃してきた!
(痛ってぇな!!!!!)
尻っ跳ねをし蹴散らすが手応えが無い。
(狩り慣れてやがるのか?)
少し切りつけられた様だが問題ない。
(今度は少し工夫しなくちゃな)
スピードを抑えて通常のダッシュをし、相手に詰め寄る。一組三体の内、一体に狙いをつけ確実に倒す!
『遅い!』
前脚で一体を踏みつけ行動不能にし、更に後脚で一体を吹き飛ばす。後脚の威力は高く相手の肩付近を抉り取っていた。更に全体重が前脚に掛かっており、踏みつけられていた相手は即死。
(慣れなない感触だ…とっ、今はそんな事思ってる場合じゃない!まだ二体だ!)
気を抜けば殺される。復活は無い。リアルだ。
(はぁ…はぁ…くそっ!ここまで手こずるとは)
半数の10体は同様の手口で殺した。だがリーダーも含め10体まだ残っている。奴らは執拗に後脚を狙って来ていた。かなりの傷を受けてしまい動きが落ちている。機動力と攻撃力の削ぐには一石二鳥の戦術。
(迎え撃つにも後脚ばっかり狙いやがって!後ろまで見えねぇんだよ!)
前方にはリーダーが牽制役として攻撃しようとして来る。放置するとまともに攻撃を喰らう。こちらが攻撃態勢に入ると逃げる。そして後脚に攻撃だ。全くもって鬱陶しい。
(本来雑魚キャラだろ!)
イライラが募り攻撃が適当になってしまうと余計に避けられ、こちらに隙が出てしまい攻撃される。悪循環だ。
(どうしてこうなった…こんな雑魚相手に苦戦してよく独り立ちするなんて言えたな)
自嘲気味に笑う。
(反省会は後回しだ。なんとか生き残らないと…)
敵に対して意識が薄くなったその瞬間を狙われた!
ここに来て短剣の投擲!後方の二組の中からタイムラグを付けながら投げてくる。
『うぁっ!!!!!』
一本目は避けたが二本目が後脚に刺さる!
(ヤバい!シャレにならん!逃げなきゃ殺される!)
幸い短剣は深手には至らず、走れるがスピードが出ない。それでも包囲を掻い潜り逃げ出す!
《無…だ…な》
『?』
逃げるのに必死な状況なのになにか聴こえる…
《本…のま…に殺…いい》
『誰だ!こっちは話してる余裕が無いんだよ!』
いつか聴いたノイズが聴こえる。
《…う…か…》
(何なんだ?後回しだ!逃げる事に専念しなきゃ)
森の中を走るが、後脚の動きが悪い。短剣が刺さってるしあちこち打撲と裂傷…血だらけだ。骨折してたら走れず、直ぐに殺されてただろう。
(はぁはぁ……)
後ろを振り向くとまだゴブリン達が追跡してくる。
(ヤバいヤバいヤバいヤバい…)
必死で走るが気持ちだけだ。脚が付いてこない…体力も焦って走るから無くなりつつある。
(どうすりゃいいんだよ…)
半べそをかきながらそれでも走る。もうダメかもしれない…そんな思いもではじめたその時、前方から気配がする。
(また包囲されたのか…終わったか)
もう逃げる気力も尽き、脚を止め最後の覚悟を決める
『でも、タダでは殺られねえぞ!!!口は動くんだ!咬み殺す!!!!』
精一杯の虚勢を張り後方のゴブリン達に威嚇をする。
(もう一度アイツらに…リーヴァに会いたかったな)
『来やがれ!!!!クソゴブリン共!』
読んでいただき感謝です。<(_ _)>