第4-2話
◎42日目
連携プレーを練習し始めた。動きで撹乱し、誰かが攻めるパターンだ。今はオレがスキルのおかげで突出して速いが、みんないずれ覚えるだろう。カビちゃん曰く『身体強化系は初歩っす』なんだと。。
必殺技の開発が急務になってきた。初歩でこれだけ手間取ると後々どれだけ時間が掛かるかわからん。並行していくしかないな。
刷り込みは…各々フェチの報告会に変わってきた。オレ?オレは普通が一番だ。
◎50日目
各自【瞬脚】のスキルを取得した。本番に使いこなせるかどうか…連携プレーと併せて要練習だ。
必殺技の方は仲間のぶんも考えたよ。そのイメージはオレからカビちゃんを通して映像化している。カビちゃんマジ万能。でも、オレを含めてみんな技の結果は解っていても過程のイメージが追い付かず、かなり苦戦しそう。何故そうなるのかを理解しないと結果として現れないしなぁ。
余談だが夢の中でD田中の接触があった。これだけカビちゃんに世話になってるんだ。不利になることは言えねえ。だからテキトーに相手をしたよ。
◎60日目
二ヶ月がたった。リーヴァに会ってからもうそんなに経つのか。あの時を生後半年とするなら一年まで凡そ四ヶ月。親父との戦いはまだまだ戦闘になっていない。焦りが出るな。
◎70日目
このままで良いのか?不安だ…ネガティヴになっている。
連携もチグハグになったりしている。わかっている。オレのせいだ…
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(最近煮詰まってるな)
独りごちながら今日は散歩だ。
(はぁ…)
とぼとぼと歩く。群れから離れ一頭だ。馬もぼっちになりたい時もあるんだよ。
(必殺技のイメージも上手くいかないし、このままだと独り立ちも厳しいな)
世界を見て回りたく、リーヴァとパートナー契約し、一緒に旅をする。その為には戦闘力が必要だと親父が言う。確かにそうだろう。パートナーを守れなくて何がパートナーだ。
(だけど親父強すぎんだよな…)
ハードル高すぎ。群れのリーダーである親父と互角になれ!
(0歳馬には無茶だぜ…親父よ)
そんな弱音も仲間に言えなくなって来ている。リーダーとして期待されているからだ。次どうするの?何やるの?どうやって倒すの?等等。
(ふぅ…プレッシャーだよ)
仲間の三頭だけじゃなく、ほかの大人馬達からも期待されている。あのアルハに挑むのか?息子なら出来るはず!親父を超えろ!と。中々に厳しい課題だ。
(魔物の時も思ったけど、案外ヘタレだなオレ)
80年、生きていようとも平和な世界で過ごしたんだ。いきなりワイルドに生きろと言われてもな…戦闘を繰り返して慣れるしかないな。
…っと。何処だここ?プラプラ歩いてたらよくわからんとこまで来ちゃったよ…オレってよく迷子になるな。方向音痴なのか?
(フラグ立ってたら新しいヒロイン登場なんだけど…)
世の中そんなに甘くない。
(はぁ…凹んでる時にお前らか)
ゴブリン達の登場だ。
「******」
相変わらず何言ってるかわかんない連中だ。少々気分が悪いんだよ。戦闘慣れの訓練に参加してもらうか…ぱっと見ても5体程度。どうにでもなるだろ。
舐めた目線で戦うことを決めた。
そういう時に落とし穴は存在する。
『チッ!ハメられたか!』
攻撃態勢を取ろうとするとゾロゾロと15体程追加で現れ、包囲された。更にはリーダーらしき存在までいる。
(逃げるか?)
撤退するのも当然だ。1:20…普通に見れば狩られているのはこちら。断固として戦う理由もない。守る対象もいない。なのに戦うことを選択する。
(わかってる。でも逃げたらダメな気がするんだよな)
自問自答する。悪い未来しか見えない。
数の暴力が始まる…
読んでいただき感謝です。<(_ _)>