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勇者と魔王はお友達!  作者: さやか
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兄上、最高です!

「ただいまー!」

わしと母上は誰もいない部屋に帰ってきた。

わしは靴を脱いで手を洗いお気に入りのアニメを見る。

しかし、このテレビって面白いなぁ。

これもスマホ同様魔法と組み合わせて使えぬかのぅ。

そうじゃの、あっちの世界に放送局をおいてあっちの世界の様子を見るという使い方はどうじゃ?

当面わし一人が楽しめればいいのだからそこまで非現実的なアイデアではあるまい?

そうこうしているうちにアニメの中の魔法少女が必殺技『レインボーラブラブアッタク』を繰り広げる。

おそらく聖魔法の攻撃属性の亜種魔法なのじゃがこちらの世界での再現は少し難しいかのう。

いや、魔法の再現以上にあのフリフリの衣装の再現の方が難しそうだのぅ。

でも、やりたいのう、魔法少女…。

前の世界では人間の敵じゃったが、なんの因果か人間になったのだし、人間の役に立ちたいのぅ。

でも、魔法少女は目立つし、やっぱり別の方法を模索するのが得策かの。

そうこう考えているうちに魔法少女は悪の組織の幹部を倒しておわりを迎える。

「ただいまー!」

兄上じゃ!兄上が帰ってきた!

わしはすぐさまソファから降りて兄上を迎えに行く。

「兄上!おかえりなのじゃー」

「おー、ただいまー。」

わっしわっしとわしの頭を撫でてくれる。

むふふ、わし、この手が大好きなのじゃー!

わしは兄上の鞄を持ってあげる。

兄上は手を洗いに洗面台に向かう。

「今日はどうだった?」

「わし、ご主人様が出来たのじゃ!」

丁度上を向いてうがいをしていたのが悪かったのか口から噴水のように吹き出した。

兄上はおもしろいのぅ。

「お、お前が主人と認める…だと?そいつ何者だ?」

「物事の道理を知らぬわしに人の道を説いてくださる気高きお方じゃ。」

「それ、保育園児か?」

「無論じゃ。」

「保育園児とは思えないなぁ」

兄上はわしを連れて部屋に向かう。

兄上の部屋は兄上がいないと鍵がかかってしまい入る事ができないことになっている。

だからわしは兄上の帰りを待たないと兄上の部屋には入れない。

わしは兄上の部屋が大好きじゃから兄上の帰りを毎日首を長くして待っているのじゃ。

兄上の部屋は素晴らしい。

黒いカーテン!

銀色髑髏!

壁に飾られた剣!!

ああ、落ち着くのぅ。

それに、兄上の容姿も前の世界を彷彿させるのじゃ…。

黒い髪の前髪だけ一房分銀色に染め、目の中に赤色のこんたくとなるものを入れて目の色を変えている。

くくぅ!かっこいいのぅ!!

そして、がくせいふくという装備を脱いで着替える服も外では見かけぬ程にセンスがいい!

今日も胸元に六芒星と天使文字(エノク)が描かれた黒いワイシャツに赤い蜘蛛の巣模様のネクタイをしめて革素材のパンツを履いている。

さらには眼帯!!

あー、本当にかっこいいのぅ!!

痺れるのぅ!!

「兄上!今日もかっこいい!!」

「だろう?学校では真の姿を見せる訳にはいかないからな。」

ふっと笑う兄上もわし同様忍んで生きる身の上なようで安心する。

ただ、兄上の真の姿というのが未だ分からないのでわしも自身が元魔王だとは明かしていない。

しかし、元とはいえ魔王の解析魔眼すらすり抜ける真の姿とは一体…?

勇者ならばあたりをつけられるかもしれないし、今夜聞いてみようかのぅ。

…時間があれば…


一階に夕飯を食べる為に降りて行くと母上が兄上を見て呆れた顔をするが何も言わない。

母上曰く厨二病は中々治癒しないとの事。

ちゅーにびょーって、なんだろうな。

母上は料理がうまい。

本日の夕餉はハンバーグだ。

サラダにコーンスープもついてくる。

わしが、魔王だった頃はもっと豪勢な食卓だったが今生の食卓のほうが百億倍美味い。

どんなに豪華な食卓も一人で食べては味気ない。

母上、兄上、たまに、父上も加わって和気藹々と食べるから最高にうまいのじゃ。

これが平凡!

最高じゃ、平凡!!

夕餉が終われば兄上とお風呂。

兄上に全身洗って貰う。

兄上はこんな子供の相手ではつまらぬだろうに本当に優しいお方じゃ。

この恩は大人になった日に必ずお返しするゆえ待っていてくだされ!


そして、寝る時間。

予定通り夜八時だ。

わしはお休みの挨拶のちゅーを兄上にして自分の部屋に戻った。

兄上みたいな部屋にしたかったのじゃが母上が全力でとめにはいったので今のところ従っている。じゃが、虎視眈々と機会を伺っている…

とりあえず、それは置いておくとして、電話じゃ。

わしはおもちゃ箱の奥底に隠したスマホを取り出す。

これは兄上が先日きしゅへんして使わなくなったものをおもちゃにしたいと言ってゲットした奴だ。

なお、勇者の元に送った奴は父上のお古。

わしは、スマホを起動する。

わしの起動と連動してあっちのスマホも起動する仕組みじゃ。

わしは、父上の携帯番号をプッシュして、耳元に当てた。

今朝は繋がったのじゃ、今日も繋がるはずじゃ。


数度のコール音後…


「…はい」

「もしもーし!」


わしは、再度勇者との接触に成功したのじゃ!






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