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勇者と魔王はお友達!  作者: さやか
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ダンジョンに入った

「いいですか、貴女は怪我をして引退をした身なんですからね。

無理をしてはいけませんよ。」

ギルマスがくどくどと受付嬢に言い続ける。

朝食の最中ずっとだ。

いい加減うざい。

言われてる方も実にウザそうに右から左に聞き流している。

「わかってるわよー。」

「本当にわかってますか?

一人で突っ走らないようにするんですよ?

みなさんに迷惑をかけずにするんですよ?

あと、ハンカチは持ちましたか?

ティッシュは??」

後半は口うるさい親のようだ。

「あー!もう!うざい!!」

「そう言われても貴女は怪我をして引退した…」

以下エンドレス。

結局このやりとりをダンジョンの前までやっていた。

そう、俺達はダンジョン前にやってきたのだ。

見た目は極々普通の遺跡のようだった。

本当にダンジョン?

「あー!もう!ここからはダンジョンなんだから来ないでよね!」

「わかってますよ。私はダンジョンには入りません。

しかしですね、ダンジョンの前までは私の管轄ですからね。

いいですか?エマのアイテムボックスには包帯と傷薬をたっぷり入れてありますかね?

小さな切り傷でも面倒臭がらずにしっかりと手当をするんですよ!!」

「わかったわよ!」

「ファリスさん!」

「おうっ!?」

いきなり矛先が向いて一歩引く。

「どーか、どーーーーーか!うちのエマを宜しくお願いします!」

ファリスの両手をがしっとつかんで強く握りこむ。

なんでこいつに言うんだよ?

「いや、あの…」

「エマは強がっていますが、内心は不安なんですよ!

なんてったって怪我した身ですからね!

なので、いつでもフォロー出来るようにエマの側から離れないでいてあげてくださいね!」

「だから!私は平気だって言ってるでしょ!」

「いーえ、いいですか?貴女は…」

「そろそろ行こう!」

ファリスがギルマスの言葉を遮った。

「そうね!」

すぐさま同意する受付嬢。

「しかし、お前ら本当に来るのか?

今ならやめる事ができるぞ?」

「何言ってるんですか!俺はファリスさんに着いて行きます!」

「僕もだよ!」

「俺もだ。」

「そこのクソ受付嬢が行けるなら全く問題ない。」

「ダンジョンには興味ありますし問題ありません。」

「誰がクソ受付嬢よ!私にはエマって名前があんのよ!」

「はっ!てめぇなんぞクソ受付嬢で充分だっつーの!」

「なんですって!?」

俺達は顔を寄せ合い睨み合う。

「そ、それならいいか。じゃ、行くぞ!」

いつものファリスらしく軽い感じでダンジョンへと入って行った。

全員が入ったと同時に遺跡の入口がガガガと音を立ててしまった。

まるでそこが最初から壁だったかのような姿になり、さすがに焦る。

「あはっ!そっか、Bランクは知らないんだったわね!

ダンジョンは一度入ったら踏破するか死ぬかしないと出れない仕組みなのよ!」

人を馬鹿にしたような物言いをする。

「マジかよ!?」

「だからファリスさんが聞いたじゃない。

やめるか?って。何?怖くなった?逃げたくなった?」

「誰が!」

「はいはい、二人とも煩くしないで、さっさと進もうぜ…明かりよ(ライティング)

魔法の明かりが頭上に灯ると遠方まで見渡せるようになる。

俺には少し見えづらいが行動、戦闘には支障ない。

未発掘の遺跡のような姿をしていたのに道は石畳で舗装されているだけでなく道幅も馬車がすれ違えるほどありとても危険なダンジョンとは思えなかった。

「さて、ここからはいつ魔物が出るかわかったわからないからね?

足を引っ張るのだけはやめてよ、赤髪。」

「それはこっちのセリフだクソ受付嬢。」

暫く俺達は睨み合い…

『はん!』

同時にそっぽを向いたのだった。

その様子を見ていたケイがため息をつく。

Cランクどもも何やら集まりヒソヒソと話していた。

ムカつく野郎どもだ。

「ところでファリスさんはダンジョンはどれほど踏破を?」

「そうだな、この間で丁度10だったか。」

「まあ!よくそこまで滅多にないダンジョンと出会えましたね!

私は3つしかなくて…」

「俺は長く冒険者やってるからな。」

「どのダンジョンが一番心に残ってます?」

「…そうだな、悪い意味で『嘲笑する土人形の館』だな。」

「ああっ!あの有名な!?あれを踏破されたのがファリスさんでしたの!?」

「知ってるのか?」

「そりゃ、当時はAランク冒険者が複数死んだ悪夢の館と恐れられていましたから!

やはり、手強かったのですか…?」

「…思い出すだけでイラッとくる。」

ファリスが沈痛な面持ちで答えるが、おーい、俺達置き去りだぞ!

「あっ!ごめんなさい!すっかりBランクがいたこと忘れてたわぁ!」

「お前その性格なおさねぇと嫁の貰い手ねぇぞ?」

「お生憎様!私には必ずどこかに運命の人がいて、いつか必ず迎えにきてくれるんですぅ!」

「ぶはっ!」

予想外の返答に俺は吹き出した。

「おま…年幾つだ!?運命の王子を待ってられる年じゃねーだろ!?

ってか、お前みたいな女、そこらの男じゃ裸足で逃げてくわ!!!!!」

「なんですって!?」

「まさか、運命の王子様を信じてる夢見る夢子ちゃんとは恐れ入った!!」

あー、笑って腹がいたい!

「あんた、魔物に殺される前に私に殺される?」

「ん?ギャグか?殺されるのはお前だよ。

クソ受付嬢!」

「俺の言葉に受付嬢はアイテムボックスを開こうとして…

瞬間。

「お出ましだぞ?」

楽しげにファリスは言った。

行く手を阻むように現れたのは…

一つ目鬼(キュプロクス)2体!

ジェシー達はそれぞれ武器を手に取った。

しかし…。

「よし、半年ぶりの復帰だし、かるーく準備運動行って見たいんだけどいいかな?」

「大丈夫か?」

「大丈夫よ!」

言って受付嬢はアイテムボックスを開けて武器を取り出した。

取り出した武器はトンファー!

鉄製のトンファーをくるくる回し、足をトントンと鳴らす。

「さあ!いっくよー!」

受付嬢は地面を蹴り上げあっという間に一つ目鬼(キュプロクス)との距離を縮める。

いつの間に補助魔法をかけたんだ!?

魔法をかける速さはファリスに通じる!

それでも雑魚とは一線をかす一つ目鬼(キュプロクス)、動きを目で追い受付嬢を捉えようとする。

しかし、受付嬢は止まらない。

「はっ!」

掛け声ひとつ、受付嬢は跳躍し一つ目鬼(キュプロクス)の頭上まで跳躍した。

跳躍直後に一つ目鬼(キュプロクス)の一撃が地面を抉り土埃が舞い上がる。

頭上の受付嬢はトンファーでの一撃を繰り出した!

ズゴン!

クリティカルヒットとなり、一つ目鬼(キュプロクス)の頭蓋骨が砕けて即死する。

即死と同時にキラキラとした光の粒子となり何かが落ちた。

それを気にせず地面に着地し、また駆け込みトンファーで残りの一つ目鬼(キュプロクス)の脛に一撃をお見舞いする。

態勢を崩され倒れこむ一つ目鬼(キュプロクス)の頭に先程と同じような一撃を入れて仕留めた。

その一つ目鬼(キュプロクス)も一体目と同じような消え方をして何かを落とす。

「いえーい!余裕!」

汗ひとつかかず、呼吸すら乱さず受付嬢は余裕の勝利を決め込んだ。

「…どこを彼女は怪我したのでしょうか…?」

ケイが言葉を漏らす。

少なくても足や手ではなさそうだ。

手や足ではなく戦闘に影響する場所ってどこだ?

そんな俺を無視してファリスはいそいそと落とされた何かを拾っている。

「うっひょー!儲かるわぁ!」

「幾ら?」

「10万ゴールド!」

「幸先いいわね!」

「結構落としてくれるんじゃねーか?」

「儲かるかなぁー!」

二人は頬を寄せ合い楽しげだ。

「どうやらあの魔物はお金を落としたようですよ。」

「…ああ…だからテンション高いのか…」

ファリスは金欠野郎だからな。

「ダンジョンの魔物を倒すとお金になるってこと?」

「よしっ!俺達もファリスさんのために頑張ろう!」

「うむ。」

Cランクは現実をあっさり受け入れ魔物を倒す算段をつけはじめた。

なんでそんなあっさり受け入れられる?

魔物の死体が残らない点といいお金を落とすことといいツッコミどころ満載だろーが!

「細かい男ってやーね。」

小馬鹿にしたように受付嬢は言う。

「お前な…!」

「ほら!さっさと進むぞ!」

ファリスに促され何も言えずに先に進む事になる。

今度は《キメラ》が現れた!

瞬間、凄い速さで俺達を撹乱し襲う獲物を品定めする。

品定めに時間はかからなかった。

獲物を決めたようだ。

獲物は…シャル!

「まずい!あの子達はCランク!Bランク討伐対象の魔獣(キメラ)にはかなわない!」

すぐさま助けに入ろうとする受付嬢の肩をぐっと掴む。

「ちょっと!?」

「まあ、見てろ。」

「え?」

言って視線をシャルへと移す。

予想通りシャルはその俊敏性を存分に活かして魔獣(キメラ)を翻弄していた。

シャルの着ている葡萄色の外套が揺らめき、さながら舞踏会のようだ。

そして共に踊る相手の目にシャルしか映らなくなった次の瞬間。

ズバッ

まさに一閃。

剣を引き抜き後ろから気配を絶ってジェシーが魔獣(キメラ)を仕留めた!

「へぇ…」

受付嬢は感心したような声をだす。

「Aランクに着いてくる程ですものね。

これくらい出来てとうぜん…か。」

「そりゃそうだ。」

「で?貴方はどの程度出来るのかしら?

少なくてもCランクよりはキレのある動きを見せてくれるんでしょうね?」

「ああ!?」

俺は受付嬢を睨みつける。

その横で金拾いに夢中なファリスとアッサム。

…なんか、バカらしくなってきた…。

「次、行こうぜ。」

さらに進む。

そしたら場所が開けた。

開けた場所に現れたのは…

「こいつは俺の獲物だ…」

俺はニヤリと笑う。

目の前には蜘蛛女(アラクネ)がいた。

それも無数に。

楽しくなってきたじゃねーかよ!



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