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勇者と魔王はお友達!  作者: さやか
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カメラ小僧

最新式の望遠カメラを買った。

なんと30万もした。

元々持っていたカメラが壊れたわけではないし、

カメラに興味もないが、金の卵を産むガチョウの撮影に必要なのだ。

仕方ない、先行投資だ。


ガチョウは最近保育園に通いだした。

今まで夜にしか外出しなかったが、ついに昼間にも外出するようになってしまった。

夜ならまだ目立たなかったのだが…昼間に出歩くようになってしまってライバルに目をつけられないかが心配だ。

まあ、まだ外に出たばかり。

まだまだ大丈夫だろう。

…おっと、ガチョウの家に人が来た。

小さな可愛らしい女の子だ。

彼女はガチョウと同じ保育園に通っている子だが名前とかは知らない。

ガチョウの名前も一年追っていて知らないのだ当たり前だろう。

しかし、ガチョウと遊ぶ姿を何度かみているので、ガチョウと同じ年だと思う。

ってことは3歳から5歳ってことなんだが。

普通その年の子供が一人で他所の家に行くもんだろうか?

ま、独身の俺にはわからない話だ。

女の子は家の中に入っていった。

その様子を望遠レンズ越しに確認する。

さらに待っていると、高級車がガチョウの家の前に止まった。

中からは高級な服を着た男の子。

この子もガチョウと遊んでいた。

そうか、今日は3人と遊ぶのか。

外で遊べよ、子供なんだからさ。

でないと撮影できないじゃん。

俺の願いが叶ったか3人は手を繋いで家から出て来た。

保護者なのか髪を染めた粋がっている系の少年が少し離れてついてくる。

何やら楽しそうに3人は話しているが、レンズでは音は拾えない。

軽装だしこのまま近所の公園に行くのだろうか?

なら、移動しなくてもこのカメラなら撮れるな。

俺はじっとガチョウをカメラ越しで見つめる。

本当はもっと近くでみたいし、話してみたい。

でも、顔見知りでもなんでもない自分がいきなり幼女に話しかけたら犯罪だ。

しかも、ちょっと撮らせてなんて言った日には…。

なので今日も盗撮だ。

そんな事を思っていると公園についた。

そして、遊び始める。

俺はごくりと喉を鳴らす。

そろそろガチョウが金の卵を産む時間だ。

その瞬間を逃しはしない。

そして予想通りガチョウは金の卵を産んだ。

ガチョウが友達の女の子に指先を向けた。

途端、彼女の周りがピンクに輝き花が散る!

出てきたのはフリフリドレスを着た女の子!

俺は撮影ボタンを押した!

よしっ!バッチリ撮れた!!

さらに、ガチョウは男の子も指を指す。

空からやたらメタリックな鎧が出現し、それを腕、足、胸の順で自動で着ていく。

最後はどこから出てきたのか虹色に輝く剣を掲げてびしっとポーズを決めた。

よし、これも頂き!

そして、最後にガチョウ自身。

彼女の周りが闇に包まれたかと思うと赤いシックなドレスに鞭を持った姿になる。

その鞭を地面でしならせば星がその数だけ飛び散る。

女の子と男の子は正義の味方に対してガチョウは悪役だ。

そう、この3人子供に大人気のアニメに出てくる変身シーンを再現したのだ!

間違いなくトリックなしで!

俺は興奮する。

あのガチョウを見て興奮しない時はない。

俺だけが知ってる、あれが魔法だってことを。

ガチョウは魔法使いなのだ。

ああ、憧れる…!

俺も敵役でいいから参加したい。

そう思いながらもカメラの向こうで子供達は空を舞い、花や虹を生み出したり、黒獅子を出したりと楽しそうに遊んでいた。

遊びのレベルを超えているとは思うが、間違いなくガチョウ達は遊んでいた。

その様子を保護者の少年がベンチに座って見ている。

位置的に表情はわからないが、唖然呆然としているんだろうな…。

そして、時間は過ぎていき、3人は帰っていく。

俺も帰り支度をした。

家はガチョウの家の近くにあるマンションだ。

これは偶然。

偶然にも俺の部屋からはガチョウの部屋が見える。

そのおかげで俺はガチョウが金の卵を産むガチョウと知ったのだ。

俺はパソコンを点ける。

そして有名な動画サイトを開く。

管理者ページだ。

そして、動画をアップする。

勿論、今日撮った動画をだ。

途端、閲覧数がフル回転する。

マイナス評価だろうがプラス評価だろうが気にしない。

閲覧されればそのぶん金になるのだから。


俺は動画サイトの管理者『魔王の側近』。

ガチョウのおかげで大人気チューバーになれた幸運の男だ。

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