勉強部に連れられて
「今日って入学式だけで終わりかな?」
俺の前の席の時塚愛音が喋りかけてくる。
「多分な」
「そっか。なら早く終わらないかなぁ〜」
何故か知らないが高校二年生初の友達?を作ってしまった。でも俺だけが友達だと思っている可能性もあるし………
「どうしたの?」
考えすぎかな…
「いや、なんもねぇよ」
時塚と話しているとここの担任であろう人が教室に入ってきた。
「おっはぁ〜」
なんか変な挨拶だな、と思ったけどどっかで聞いたことある声だった。よく顔を見ると俺が高一の時の担任だった。多分。
「今日から5組担任になった夏希って言うから、よろしく」
「はぁーい」
クラスの皆が返事をする。なかなか人気はあるようだ。そういえば1年の時も結構生徒から人気あったような、なかったような……
「えー、今日は1年の入学式に出てからクラスに帰ってきたら明日の事話して終わりだな」
「せんせぇー」
「どした?」
「彼氏っていますか?」
一人の男子生徒がそう聞いた時、先生はすごいテンションが落ちてこういっていた。
「………いないよ」
ふむふむなるほど、大体分かった。
本名は夏希妃と言ってスタイルは良い方だと思う。
俺には情報を視る能力は集中して使うと相手の細かい情報も視る事が出来る。よってスリーサイズなんかも視えてしまうのだ。決して好き好んで視たりはしてない。決して!
「そっかぁ、いないのか。まぁ頑張って」
「あぁ………」
生徒に先生が励まされてるのは見ててシュールだ。でも先生には頑張れと言ってあげたい。そんな勇気ないけど。
「話は変わるけど入学式は9時からの予定だからそれまでには体育館に集合で、よろしくぅ〜」
そう言って教室を出ていった先生。うっすら目元に涙が見えたのは気のせいだろうか。きのせいにしとこう。
まぁ何はともあれ入学式が9時から始まり、それも何の問題もなく終わりクラスに戻り待機をしている時に事件は起きた。
「叉滾春夜という奴はいるか?」
クラスのドアを開けて開口一番その一言。すごく焦った。とても焦った。
「は、はい。おおおおれですけど」
「君が叉滾君か。ちょっと付いてきてくれ」
「え、なんでで「いいから来い」
すごい目力に圧倒されて言葉が出てこない。大人しくついて行った方がいいかもしれない。
「はるちゃんどっか行くの?んじゃ私も〜」
「なんでお前まで来るんだよ…………」
結局謎の人について行った。謎と言っても俺は視たら分かるのだが。たまに思うがこの能力、人権完全無視してるよな。だからあまり使わないようにしてるんだけど、今回は非常時だ。仕方ない。
『名前 笥祇波楓
性別 女性
身長 164cm』
どっかで聞いたことある名前なんだよな、どこで聞いたんだろう。ウ〜ン………ダメだ。思い出せないな。
「さて着いたぞ」
そう言って笥祇波は足を止める。目の前には一つのドアがあってその上にはこの部屋の名前であろう文字が書かれている。
「勉強部?」
「なんでこんな所に連れてこられてるんだ?」
「まぁ細かい事は中で話すから」
そう言われたので引き返す訳にもいかず部屋に入る。中は普通の教室とほとんど同じだった。少し違うのはパソコンやらテレビなどの学校に必要なさそうな物が机に置いてある。そしてテレビの横には数々のゲーム機が置いてある。それを見て俺と時塚はこう思った。
『勉強を妨げるものが置いてあるのにここは勉強部なのか!?』
だがそんな思いをよそに笥祇波は置いてある椅子に座り俺達を見た。
「とりあえずはあなたをここへ連れてきた理由を説明するわね」
「あ、あぁ」
「まず1つ目、あなたは1年の最後のテストで赤点を尋常じゃない量取ったわね?」
「は、はい…………」
「ここ勉強部はそういう生徒に入部してもらって赤点が無くなるじゃ生ぬるい、学年トップを狙えるぐらい賢くする部活よ」
「塾じゃん」
「次は2つ目ね」
「無視かよ」
「あなた、叉滾君は何か超能力みたいなの使えないかしら?」
ギクッとした。能力を持ってるかなんて聞かれたのは初めてだったからだ。特に目立たない能力だから絶対バレない自信があったのに……
嘘はつかない方が良いよな……?
「あ、あぁ、使える」
「え、はるちゃんって能力者なの!?」
「まぁ隠すつもりは無かったんだけど……」
とりあえずは俺の能力の説明からした方が良さそうだな
と言うことで俺は二人に俺の能力を説明した。