失恋彼女
振られた。
一途に愛し続けた人に。
と言うか振られただけじゃない。
私の前から姿を消したのだ。
携帯は解約されたのか何なのか一切の連絡も取れない。
そう、私と彼との接点は完全に消滅してしまったのだ。
今彼がどこで何をしているのかなんて知らない。
ただ私を捨ててどこかへ行ったのは事実だ。
「アハッ……アハハハハハハハ」
自分の愛用の携帯を壁に投げつけ高笑いをする。
ゴッと鈍い音がしたから携帯の塗装が剥げた気がする。
どうでもいいけど。
苦しい。
痛いよ。
胸が心が痛いよ。
私の一途は重いらしいよ。
だから何。
尻軽ですぐに男を乗り換えられる友人にそんなこと言われたくもない。
何が、いけなかったのかな。
悪いことがあったなら行ってほしかった。
何が何でも直せる自信がある。
好きだから。
愛があるから。
私は何か間違ってますか?
ねぇ、教えてよ。
失ってから初めて大切さに気付くとか言うけれど。
そんなことないんじゃないの?
だって私は大切だと思ってたのに。
好きだよ。
大好きだよ。
愛してるよ。
私の何がいけなかったのですか。
恋は酷く脆く私の心まで殺してゆくモノです。
愛した人は何を思っていたのですか。
愛した人は私を愛してくれましたか。
涙でぼやける世界は滲んでそのまま消えてくれればいいのに。
「うあぁぁっ…………」
私の声と一緒に混ざる音色は非通知を知らせる携帯の着信音で。
それが何を意味するからわからない。
それが誰からなのかもわからない。
ただ一筋の光を求めて塗装の剥げた携帯へ手を伸ばす。