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しましまロック  作者: kamunagi
第一章 バンド結成
5/24

ベーシスト

 深井さんはやっぱり俺の見込んだ通りつかめない天然さんのようだ。


 夏期講習の際深井さんと話をすることが増えたしメールもよくするようになったのだが、この人はやっぱりどこかおかしい。


 実はメンバーはもうひとり決まっている。俺の大親友である細見だ。まぁやつがギターをやっていることは周知の事実で、深井さんからバンドに誘ったらしい。ギターなんてやる人間が少ないからだが。実力に関してはあんまりわからん。


 俺だけが知っている深井さんというつもりでいたので残念だが、細見なら深井さんのことが好きなわけでもないしかまわんだろう。

 

 細見をバンドに誘うときも俺を誘った時とは別の感じでドラマチックに誘ったらしい。なんでも深井さんは高校に入学してからこれといった思い出がなく、思い出作りにバンドがしたいらしいのだが、ドラマチックな誘い方をすることから考えるにバンドを作るとこから既に思い出深いものにしたいようだ。


 つまりはまた俺だけが特別なわけではない訳で……。まぁ俺がバンドに入るきっかけは先にバンドメンバーに細見がいたことがでかいのかもしれない。そこは感謝しておくべきだろう。


 なんといっても俺にはバンドをすることがおいしい訳ではなく、深井さんと仲良くなるのがおいしいわけだからな。うむ。




   □□□□□□□□□□□□□□□□



 

 さらに俺がメンバーに加入してからはメンバー三人で歩いて登校、下校することが多くなった。俺たちに合わせてくれているのか、深井さんは車で登下校しなくなった。登下校はバンド会議も兼ねていて、主な議題はいつも「ベースをだれにするか」と「この音楽を聞け」だ。


 「この音楽を聞け」に関しては俺が特に今までバンド形態の音楽を聞いたことがないので二人にお勧めのアーティストのCDを渡され、それについて俺以外の二人があーだこーだいうのを聞くだけだ。ここ4日で実に10枚のCDを渡された俺は家に帰るととりあえず渡されたCDを聞いている。


 深井さんが勧めてきたCDは全部で6枚。


 アベンジド セブンフォールド

 システム オブ ア ダウン

 スリップノット

 ニルヴァーナ

 マキシマムザホルモン

 レイジ アゲインスト ザ マシーン

 

 以上の6アーティストのCDを一枚ずつだ。

 ほとんどが洋楽だし、歌詞のよくわからない歌は俺自身にはあまりよくわからないのだが、なんというかどれもボーカルが個性的な印象を受ける。俺の歌の「個性」もこのような活かし方をしろということなのだろうか。


 そういった点に注目すると確かに心撃たれるモノがある気がした。俺のお気に入りはニルヴァーナだ。

 

 俺が借りたのはベスト版のCDらしいのだが、「you know your right」という曲が渋く響く感じがしてなんかいい。


 深井さん曰く、この曲は所謂未発表曲というやつらしく、ニルヴァーナのボーカルであるカート・コバーンさんが亡くなってから世に出たものらしい。


 

 

 細見が勧めてきたCDは4枚。


 セフィロトのCD二枚と、


 アジアンカンフージェネレーション

 ストレイテナー


 その計3アーティストだ。


 予想通りセフィロトを推してきたわけだが、アジカンぐらいなら俺でも知っている。「リライト」なんかはアニメのオープニングなどにも使われてかなり有名だ。


 正直あまりピンと来る曲はなかったが、アジカンはなんとなく知っていたせいかかなり聞きやすい。曲というよりアルバムとして好きな感じだ。



 しかし、二人の趣味はかなり観点が違うように見受けられる。

 俺からしてみれば同じ「バンド」なのだからよくわからないが、


「アジカンはちょっとバンドとしてはポップすぎるんじゃない?もっとハードなの聞いた方がためになると思うけど。」


「はぁ?なんでそうなんねん!!!アジカンはリードギターのニュアンスとドラムのテクニカルさがめちゃくちゃアツいやんけ!!!」


 っとかなんとかいつもアツく語り合っている。ただでさえ暑いのに勘弁してほしい。しかしまぁいつの間にここまで仲良くなったのやら。俺としては何だか口惜しい気分だ。俺もその暑い会話に入りたい。



 

 そして話は変わって「ベーシスト」についてだ。

 だいたい音楽の話(ただの言い争い)が終わるとこの話になる。

 

 まず俺はそもそもベースとは何なのかよくわからなかったので説明しておくが、ギターのような形状で、ギターを少しスケールアップしたような楽器だ。ギターは6本弦が付いているのに対し、ベースは弦が4本、ギターに比べてかなり低い音が出る。


 ドラムの次にリズム感が必要な楽器で、ドラムとまとめて「リズム隊」と呼ばれることもよくあるくらいだ。

 基本的にはバンドを行う際メンバーはドラムを聞いてリズムを合わせるが、ドラムはボーカルとベースを注視し、自分のペースがあってるか確かめるらしい。


 話がそれたがベースは俺が知らなかったくらいある意味マイナーな楽器だ。

 そうそうメンバーが見つかる訳もないし、素人でもいいのではないかという意見を表明する俺だが、深井さんはとりあえず全校生徒を探して経験者がいなかったら素人でも構わないというスタンスを崩さない。


 アツい。ある意味その姿はドラマチックで青春っぽい。

 元気が取り柄の細見はその意見に同調しており、なんだか元気に熱意が加わってますます暑苦しい存在になっていた。



 しかしなんといいますか、明日で夏期講習も終わるわけで全校生徒を全部しらみつぶしに探すのはかなり難しいんじゃないかと思っている訳なんだがどうなんだろう。


 ただ一人冷静な俺は正当なツッコミを入れたりする訳だが、もはやこの二人を止めることはできないようだ。




   □□□□□□□□□□□□□□□□




 「ベーシストにはエロいやつが多いらしい。」


 夏期講習の最終日である8月3日の朝、登校中に深井さんがいるにもかかわらずそんなことを突然言い出した。

 俺は思わず吹き出してしまったわけだが、深井さんは「へぇ~」っと納得している。なんでやねん……。


「っというわけで今日はエロそうなやつから徹底的にあらっていくのはどうでしょうっていう作戦のご案内どえぇす!!」


 全くそんなんでベーシストが簡単に捕まったら世話ないんやけどな。

 でもこんなつまらん作戦でも……。


「それはいい情報を掴んだわね!!!それで行きましょう!!!」


 やっぱのるんやねぇ~。深井さんはなんだかノリノリなようです。

 神様私はやっぱりすごく変な子を好きになってしまったようです。

 でもなんだかそのノリが徐々に分かり出した自分が恐ろしいような嬉しいような。


 

 しかし、「エロそうなやつ」なんて一言で片づけてしまっているがそんなのわかるのだろうか。俺にはそんなんちょっとやそっとしゃべってみてもわからないと思うのだが。


 そもそも人間エロい部分を大っぴらに、しかも初見のやつに見せるとは思えない。自己紹介で下ネタ言う奴なんてなかなかいない。そういうことだ。ほかに判断要素があるとしたら見た目だが、見た目だけでエロそうと判断するのもどうかと思う。エロ目だからエロいってことはないだろうしなぁ。


(ってかそもそもエロそうなやつを探すことが目的やなくってベーシストを探しとるんやないかい!!!俺はどこぞの変態さんですか!?まぁあんまり否定はできませんけど!!)


 なんか俺もノリノリになってきてないか?と不安になりながらもベーシストを探すことには同意し、放課後また落ち合うことになった。




この話に登場するアーティストはセフィロトを除いてすべて実在するアーティストです。作中で登場人物が一部のアーティストや、楽器パートを批判することもありますが、私は作中のアーティスト及び楽器を批判している訳ではありません。こういう人もいるだろうなって感じで書いてます。悪しからず。私が名前を出すアーティストは全部好きだからこそ出しています。聞いたこと無い人がいましたら是非聞いてみてください。まぁメジャーなものばかりだとは思いますが……。ちなみに「OUT CAST」は作者が高校時代組んでいたオリジナルバンドですww

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