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しゃけ(未完)

作者: うらとも
掲載日:2026/07/06

鳩城亜夜:くしろあや。クッシー。大学二年生。


嶋敷上嗣:しましきうえつぐ。シマ。大学二年生。


 :本編


クッシー「――お邪魔します」


シマ「どうぞ。いらっしゃい」


 :シマの部屋


クッシー「……よかったの? 私を部屋に入れて」


シマ「え、なんで?」


クッシー「あの子が怒るんじゃない? 嫌よ、勝手に敵視されて嫌われるの」


シマ「……あぁ、ユズのことか。大丈夫だよ、あいつとはそういう関係じゃないし。それに、部屋に入れたって言っても、課題のデータを渡すだけだろ? こんなんで怒られたらたまったもんじゃねえって」


クッシー「……だといいけど」


シマ「あ、なんか飲む? お茶か、コーヒーか……ジュースは切らしてたか。一応、お酒もあるけど」


クッシー「昼間から飲むの?」


シマ「いや? でも、鳩城さんの好みは知らないから」


クッシー「……私も飲まないわよ。じゃあ、コーヒーをもらえる? できればホットで」


シマ「おっけー。お湯沸かすから、その間にデータ見といて。あ、リビングにパソコンあるから。パスワードとかはかけてないし、自由に使ってよ」


クッシー「ありがとう。それじゃあ、お言葉に甘えるわね」


 :パソコンを起動する


クッシー「……ねぇ、嶋敷くん」


シマ「うん?」


クッシー「あなた、本当に獅賀美さんとは付き合ってないの?」


シマ「あぁ、そうだけど?」


クッシー「……そう。――色々と、噂になってるわよ。あなたたち二人」


シマ「あー……、まあ、だろうなぁ……」


クッシー「いいの? 放置してると、いざって時に話がこじれるわよ」


シマ「いざって時って?」


クッシー「たとえば――誰かに告白する時とか。彼女がいるのに、って、浮気男のレッテルを貼られるかも」


シマ「うわ……、それは――ちょっと嫌だな……」


クッシー「そういえば――いないの? 好きな子」


シマ「うーん……、まあ、今はいないかな。いたら、さすがにユズとの関係は、ちょっと考えてるだろうし」


クッシー「……そう」


シマ「……あー、聞いていいのかわかんないんだけど、そういう鳩城さんはどうなの? 好きな人とか――実は、もう彼氏がいるとか」


クッシー「いないわよ。じゃなきゃ、あなたから課題のデータを貸してもらうなんてこと、多分してないわ」


シマ「……それもそうか」


クッシー「…………」


シマ「……あ、お湯沸けた。鳩城さんは、砂糖入れる派? それとも、ブラック?」


クッシー「ミルクはある?」


シマ「あーっとぉ……、どうだったかな……」


クッシー「ないならいいわよ、ブラックで」


シマ「いや、ちょっと待って。たしか、この前シチュー作った時に使った、牛乳の余りが……」


クッシー「…………」


クッシー「……ねぇ、嶋敷くん」


シマ「んー?」


クッシー「……仮に、今――告白されたら、あなたはどうするの?」


シマ「……今?」


クッシー「…………」


シマ「……えっと……、それって、どういう……」


クッシー「……はぁ。そんな深読みしようとしなくていいわよ。ただの興味。さっきも言ったでしょ、噂になってるって。実際、選択を迫られたら、あなたはどうするのかなって。少し気になったのよ」


シマ「……な、なるほど……」


クッシー「……で、どうするの?」


シマ「へ……?」


クッシー「あくまで例えばの話と言っただけで、答えなくていいとは言ってないわよ」


シマ「……あー……」


クッシー「…………」


シマ「……そう、だな……」


クッシー「…………」


シマ「……え、っと……」


クッシー「……意気地がないのね」


シマ「っ……」


クッシー「まあ、ある意味真面目とも取れるけど。でも、仮に想定でも答えを出せないようじゃ、現実にその場面が来た時に、あなたは不用意に相手を傷つけることになるわよ」


シマ「…………」


クッシー「……ごめんなさい。説教臭くなっちゃったわね」


シマ「……いや……」


クッシー「……まあ、一度よく考えてみることね。――データの確認も終わったし、私は帰るわ。コーヒー、準備してもらったところ悪いけど、それはあなたが飲んで」


シマ「……わかった。――その、ありがとう、鳩城さん」


クッシー「どういたしまして。まあ、それほどのことを言ったつもりもないけど」


シマ「それでも。……ちゃんと、考えてみるよ」


クッシー「……ええ。それじゃあ――」


シマ「うん、また――」


 :クッシー、振り返ってシマの胸元にチョコを押し付ける


クッシー「――ごめんなさい」


シマ「え……」


クッシー「……これは、素直になれなかった、私が悪いわね」


シマ「……鳩城、さん? これは……」


クッシー「一週間遅れだけど……、バレンタイン。その――受け取ってもらえるかしら……?」


シマ「…………」


クッシー「……ふふ。最低ね、私」


シマ「鳩城さん……?」


クッシー「……あなたが、選んで。あの子を選ぶか、それとも――」


クッシー「……チョコ、ここに置いておくわ。これは、あくまで意思表示のためだから。無理に食べなくてもいいけど――答えだけは、きかせて」


シマ「…………」


クッシー「それじゃあ――またね。嶋敷くん」


 :クッシー、部屋を出る


シマ「…………」


シマ「……答え……」

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