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「なにやら、何か隠し弾でもあるのかな? こちらも本気で行くよ」
ウツロが指を鳴らすと再び鳴り響いていた銃声が止まった。
「……銃声が止まったね。腹決めたかい? 蟻塚くん」
「はい」
「よし、じゃあ行きましょうか!」
「そういえば、さっき何渡してたんですか?」
銃撃が止んだタイミングで億利は鶴見に聞いた。
「マグネシウムに酸化剤と火薬を混ぜた物よ」
「なんでそんなものを?」
「ちょっとした妨害に使えるの」
煙幕の中を鶴見はじっと見据えて言った。
「勝算は低いけどね」
鶴見の見据えるカラフルな煙幕から真上に、蟻塚は狐地を片手に乗せて飛び上がった。
煙幕の先、上を見上げる柳田は片手にピストル、もう片方にはロケットランチャーを持っており、既に標準は定まっていた。
「く、くらえ!」
蟻塚が小瓶を投げると同時にロケットランチャーは放たれ精密な操作により小瓶にぶつかった。
小瓶にぶつかったロケットランチャーは爆発し、耳をつん裂く爆音と目を焼くほど強い閃光が放たれた。
「ははっ最高! そのままやっちゃえ!」
爆風の中、一切目を離さず鶴見は叫んだ。
爆風と閃光の中を掻き分け、狐地が蟻塚の手から放たれた。
突然の閃光に目をやられた柳田も眼を覆いながらピストルを何発も放つ。閃光によって遥かに落ちた命中率でも何発か狐地に掠ったが、狐地は気にせず降下しながら柳田の首筋目掛け注射器を突き刺した。
ゆっくりと煙が晴れた先には倒れた柳田と手足を伸ばして横に伸びた狐地と蟻塚が居た。
「……おめでとう。君達の勝利だ」
ウツロか指を鳴らすと、柳田は消え、狐地と蟻塚にあった傷も無くなった。
「やった! 凄いよ! 2人とも!」
鶴見は2人に駆け寄り、そのまま2人の腕にダイブした。
「おっと、危ないですよ、鶴見さん」
「良かった……2人とも。凄いよ」
「みんな。私の我儘に付き合ってくれてありがとう」
階段からゆっくりと歩いてきた東雲は煙管に火を付け一息吸うとウツロに突きつけた。
「さぁ、これで正真正銘私たちの勝利だ。約束は守ってもらおうか」
ウツロは俯いて答えない。
「まさか、ここまできて約束を反故にするのか?」
「……私は、いや、蛇足だね。約束通り2人は君達に預けるよ」
ウツロが指を鳴らすと本殿の扉が開き、糸夜と海谷が出てきた。
「あっ! 詩乃さん! ……?」
糸夜が東雲に気付き走って駆け寄るが、だんだんと走るのをやめて歩いて近づく。
「詩乃さん……じゃ、ない?」
「ごめんね。詳しくは後で話すから。今は一度クリニックに戻ろう。鶴見ちゃん、海谷さんの方、お願い出来る?」
「はい」
鶴見は海谷の方へ向かう。海谷もこの現状を理解していないようだったが、鶴見の指示に従い、鶴見の後ろを黙って着いていく。現状、異能が暴走しそうな素振りはない。




