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開かれた本殿から出てきたのは、警察の制服に身を包んだ柳田だった。その顔から正気は感じられず、まるで物言わぬ人形だった。
「君達に外敵から2人を守る力があるか試す為に協力して貰ったんだ。最低でもこのくらいは撃退してくれないとね」
再びウツロが指を鳴らすと、柳田はビクッと跳ね、制服の中から2丁のマシンガンを取り出した。
「まさか!」
「み、みんな、伏せて!」
皆が蟻塚に言われた通り伏せた時、マシンガンが掃射され、連続した炸裂音が響くが痛みは無い。
伏せた顔を上げると、蟻塚が前に立って全ての弾丸をその肉体で受け止めていた。
「蟻塚さん!」
「だ、大丈夫。僕の、筋肉は、頑丈だ、から」
冗談みたいな言い方だったが、確かに銃弾を一身に受けるその両腕には多少の擦過傷があるだけで血は一切出ていない。
「皆さん、蟻塚君と共にそのまま下がってって下さい。そろそろ男性陣にも、良いところ見させて下さいね」
銃声が止まった。蟻塚の後ろから覗くと、装弾が切れたらしく新しい銃を取り出している所だった。それを見計らい狐地はポケットに仕舞っていた数本のカラフルな試験管を手に蟻塚の後ろから走り出した。
「これぞ科学の力です!」
狐地は両手に持った試験管を前方に投げた。試験管は空中で割れて中からカラフルな煙が飛び出した。
「あれってこの前写真撮った時の」
「みんな、階段まで下がるよ」
煙で視界を遮られ、銃撃が止まった。柳田は煙で視界の悪い中、滅多矢鱈に銃を撃っていた。
「じゃあ、僕も狐地さんを手伝ってくるね」
階段まで下がり3人が階段の下に身を隠したのを確認して蟻塚は弾ける煙と弾丸の中に飛び込んでいった。
煙の中はカラフルな粉塵が絶え間なく撒き散らされ、視界が晴れることは一切なく、銃声も聞こえはするが、当たりはしない。
「いやぁ、全然近づけませんね」
とんっといつの間にか背中に周っていた狐地か小声で話す。
「一切隙が有りません。近くに煙幕を投げようにも届く前に全て割られてしまって」
話しながらも煙幕を投げ続ける狐地。
「一瞬顔を煙幕から出したらこの様ですしね」
蟻塚が振り返ると、狐地はこめかみから血を流していた。
「だ、大丈夫?」
「えぇ、たとえ駄目でもここで引く事は出来ませんしね」
「ほ、僕の体で、つ、突き進めばい、行けるかな」
「駄目でしょうね、弾を変えてます。あの弾を直に喰らったら流石の蟻塚くんでも無事じゃ済まないでしょう」
2人に少しの沈黙、手詰まりといった所で蟻塚は思い出した様に手を叩く。
「……そ、そうだ。さっき鶴見さんから聞いた、作戦があって」
「へぇ、一体どんな作戦なんです?」
「えっとね、これを使うのはどうかなって」
蟻塚が取り出したのは灰色の粉が入った小瓶だった。
「……成程! 鶴見さんの作戦に賭けましょう」




