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「異能用の堅牢なのが地下にあるからそこに連れてくぞ。少し待っててくれ」
警察署の地下駐車場にパトカーを停め、閉まったシャッターに柳田が何か番号を打ち込んだ。
シャッターはゆっくりと開き、柳田がパトカーを発進させるとシャッターは自動で閉まった。
「本来部外者は入れないんだからな、くれぐれも他言無用で頼むぞ」
シャッターの奥は高速道路のトンネルみたいな雰囲気が長々と続いていた。そんな中をパトカーは凄いスピードで進んで行く。
「ふぅ、着いたぞ、ここからはマジのマジで気を付けてくれよ」
柳田の言葉に緊張が走った。パトカーが止まったのはトンネルの行き止まり。そこに有ったのは怪獣でも閉じ込めてるのかと思うほど大きく、幾つもの鍵で厳重に封をされた堅牢な両開きの扉だった。
「こんな場所に糸夜くん入れて大丈夫なんですか?」
「……いや、私もここまでとはね。でもこれなら確実だ」
「ここの牢屋は対異能用に作られた牢屋だ。勿論身体強化の異能にも対応出来る様強固に作られている」
頭をガシガシを掻き柳田は大きく深呼吸をした。
「非常に不本意だがここを使う。近くに危険なのが居ない部屋に入れて様子見だ」
立ったまま足を揺らす柳田。糸夜に危険が及ぶのがそれ程に嫌なのだろう。
「丁度例の不審死の犯人の女もここに入ってるんだ。まぁ丁度良いだろ、そう思わんとやってられん」
暗証番号を入力し、懐から10個ほど鍵のぶら下がったキーホルダーを取り出した。いや、小さいのも合わせたらもっとありそうだ。
「ここから先は流石に見せられんからな、後ろ見ててくれ」
「うん、分かったよ、億利さんもね」
言われるがまま僕達は後ろを見たまま待った。
鍵が擦れるキャリキャリとした音と、ピッピッピッという電子音。他にも何か形状しがたい……銃声? や斬撃の様な音が鳴り響き、最後にゴゴゴゴゴという地響きのような音が鳴った。
「開いたぞ2人とも」
振り返ると、堅牢な扉は内側へと開いていた。
この扉も全員が入ったのを確認すると自動的に閉まった。それに加えて扉の内側には機関銃が扉の両脇に内に向けて配備されており、ここから絶対に逃さないという鋼の意志が見受けられた。
「俺は糸夜くんを横にしてくるから、お前らはそこの管制室に入っててくれ……と言いたいんだが」
柳田は僕の方を見てため息をつく。糸夜は僕が背負っており、腰と首にガッチリと手足を回して眠っていた。
「仕方ない。あんたもついて来てくれるか? 詩乃はそこで待ってな」
「いや、私も着いて行くよ」
「そうかい、変なところに触れんじゃねぇぞ」
結局全員で管制室の隣の牢へ入った。
牢は普通の檻のような物ではなく、鉄で出来ている分厚い白い扉が1枚しかない真っ白な部屋だった。
「んじゃ、布団敷くから寝かせてやってくれ」
何処から持ってきたのか、布団を部屋の中に持って来て柳田が敷いた。多少ボロいがまぁ、寝かせる分には問題なさそうだ。
「ゆっくりね、ゆーっくりそっとね」
僕は詩乃の心配そうな声を横目にゆっくりと起こさないように糸夜を寝かした。少しでも間違えば僕の体が弾け飛ぶかもしれないと考えると中々にスリリングだ。




