第二話
逃走中に出演する芸人さんの苦労がわかったぜ。帰宅後すぐ思いついたのがそれだった。
なんでも、あの黒服とぶつかった後もさながら逃走中だな。鉢合わせてしまったのだ。
俺はすぐさま逃げ、途中で裏路地にいって一旦まいてからドンキホーテでマスクとサングラスを買って事なきを得たがやれやれ疲れたぜ。
どうやらあちこちに網を張っていたらしい。逃走後に展望台から見てみるとアリのように黒服どもがうごめいているのが見えた。ご苦労なこった。
畳に寝っ転がりスマホを見てみると驚いた。なんと通知が百件以上来ているのだ。どれどれ。
「うわっ!」開いてみてみるとそれはどこからか知ったのか同級生たちの俺が一等賞に当たったことにつけこんだおねだりであった。うぅ、人は金で豹変するといつか夏目漱石の「こころ」で読んだ気もするが本当だったんだな。正直気味が悪い。適当に「あげるわけねーだろ、ばーか」なんて返信していると
なんと驚いた。クラスラインに入ってるから一応友達としているということに気づかなかった昔の俺は勘違いをして連投しまくってブロックされていた片思い中の親が警察官の梨絵ちゃんまで!
梨絵:翔太君よく考えてみたらタイプかも♡付き合わない?私たち。初デートはディズニーランドね。
とがめついことこの上ない文面をよこしてきた。おいおい、あんな富豪ご用達でしかも人がめちゃくちゃいるとこなんか行きたくねえよ………あぁ、百年の恋も冷めるとはこのことだな。とほほ。
すいーっ、すいーっ。何回スクロールしても終わらん。まぁいいか、どうせ皆同じようなことをほざいてるんだろ。やーめた、寝よう。俺はスマホを投げ出し布団を敷いて寝た。