第十四話
「起きてください!目覚めてください!うわあああん!!」
なんだ?もう少し寝かせてくれよ。
こちらこちとら宝くじで資産形成した身なんだから。
「ジョンスミスさん!!スミスさああああん!!」
誰だよ………そいつは。もしかして俺の事か?
そんな名前で俺を呼ぶ人は一人しかいない。
「あ、あ、よかったあああ!!生きてました!!」
「おわっ!?」
目を開けた瞬間俺の体へとダイブする小動物が一匹、じゃなくてフミちゃんがいた。
よく辺りを見渡してみればテントの中である。するとここは森の中か。
俺は毛布でくるまっていて携帯用コンロの近くで寝させられていたようだ。
水分はしっかりと落とされている。フミちゃんが拭いてくれたのだろうか。
俺は寒いどころかポッカポカの健康状態である。
つまり、ということは、自殺は失敗したのか。
俺は思わずため息をつく。
そんな俺を見てフミちゃんは驚いたような顔をした。
「なんでため息なんかつくんですか?
川に流されていて死んじゃうところだったんですよ!?
今の時期はほんとに流れが速くて危ないですからね、気を付けないといけないんですよ。
私が偶然キャンプをしていてよかったですよ、ほんとに。
、、、ん?私?
あっ・・・!いけない!そういうことでしたか!
すみません!!私が引っ付いたりしたから気持ち悪かったですよね、すみません。」
とフミちゃんは勝手に自己完結をして俺から急遽離れる。
別にそんなつもりではなかったのだが。
まぁいい。今の俺の心境を悟られると色々面倒だ。
俺は曖昧にうなずいておく。
俺はすぐに邪魔になるだろうと思い、テントを出ようとしたが
「あぁ、もう暗いですし泊っていきませんか?それにスミスさんの今の装備じゃ山なんてとてもじゃないですが下りられませんよ。」
とフミちゃんが言うのでお言葉に甘えてテントへ泊まらせていただくことにした。
テント内に炊き立てのコーヒーの匂いが漂う。
実にいい香りだ。
とっても優雅な空間である。
フミちゃんはボトルにコーヒーを移し二つのマグカップにそれを注ぐ。
そして俺の元に運んできてくれた。
「あの、コーヒー嫌いでなければなんですけど。よろしければ飲みませんか?」
「ええ、いただきます。」
俺はマグカップの一つを受け取る。
よく見ればカップは普通のではなくペアカップのようだった。
さながらカップルみたいだなと思いつつ
俺はコーヒーに対するいつものルーティーンを行う。
まず初めにコーヒーの水面に鼻を近づけ匂いを嗅ぐ。
すんすん。
うん、脳みそが活性化されたような感じ。
そしてまずは軽めの一口。
ズズズ。
おぉ………!!これは程よい酸味があってとてもよろし!!
エスプレッソでもないのに濃密ないい味だ!!
………なーんて評論家のようなことを思っていてもコーヒーの銘柄なんてわからないのだが。
でも質の良いコーヒーなのは確かである。
なんといってもボディーガードまでついてるお嬢様が飲むコーヒーだからな。
俺は沈黙が嫌いなタイプなので話しかけることにした。
「いやぁー実にうまいですね。コーヒー好きなんですか?」
そういうと謎にフミちゃんは照れる。なぜだろうか。そしてその謎は明らかになった。
「えぇ、好きですよ。よく飲みます。でも、、、えへへ。こんなインスタントコーヒーばかりですが。」
そう言ってまたえへへ、と笑うフミちゃん。
俺はえへへ、と自分に失笑した。
そしてもう一回コーヒーに鼻を近づけ嗅いでみる。
くんくん。
………あっ。これU●Cだ………
そんなただのインスタントコーヒーの匂いを嗅いでる俺をフミちゃんは不思議そうに見ていた。
そして急に顔を赤くしながらまくしたてるは
「あ、あれ?わ、私のコーヒーの入れ方がそんなまずかったですかね・・・?
す、すみません!!あ、そういえばスミスさんってアメリカ人でしたっけ?
砂糖、いりますよね!」
とフミちゃんはおもむろにリュックサックを漁りはじめた。
俺がアメリカ人だなんてそんなこと言ったか………?
それにアメリカ人はコーヒーに砂糖を入れるものとかどういう偏見だ。
やはり箱入り娘の考えていることはわからん。
砂糖など見当たらないのか段々物を放り出すところか投げ出すようになってきた。
結構短気な性格なのかもしれないな。
………って、うお!!ハサミが飛んできた!危ねえ!!
いや、もう砂糖なんていいよ。なんて言おうとした途端
フミちゃんはにピタリと手を止め
俺の方を振り返り
泣きそうな顔をして
「すみません。なかったですぅ。でも、かりんとうならありました。
これでも糖分は取れるかと………」
といって俺にそれを差し出してきた。
なんか今更突き返すのもなんだし
俺は渋々かりんとうinコーヒーを試してみることにした。
俺は初めての経験だったので目をつむって南無三!!飲んでみた。
ズズズ。
むっ!結構おいしいかも!
俺は頑張って探してくれたフミちゃんに向かってグっ!
っと人差し指を立てる。
するとフミちゃんは喜んだ顔をしてそこに………
いなかった。
気が付けば俺一人テントでコーヒーを飲んでいた。




