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第十三話

 「どうすればいいんだ………」

俺は家を飛び出すも当てもあるわけでもないので公園のベンチで座り途方に暮れていた。

こんなことをしているうちに離婚届けが出されたら………?

「くそっ!」

俺はベンチを叩く。近くにいた子供が怯え、逃げ出していった。やばい、通報されるかもしれない。

子供が保護者を連れてくるかもしれないので俺はそそくさと公園から退出する。


 「プルルルル、プルルルル。ただいま電話に出ることができません。」

「はぁ………」

俺は思わずため息を出す。

あぁ、涼子。今どこで何をしているのだろう。

もしや天国で俺をあざ笑っているのだろうか。

それだとあまりにも悲しすぎる。俺は宝くじを手に入れた代償に最愛の人を失う喪失感を味わらなければならない運命なのか。いや、この世の運命にあれこれいうのには俺はあまりにもその資格がなさすぎる。

まず涼子にそういうことを連想させるような境遇にしたのは他でもない、俺なのだ。

さて、とぼとぼとさっきから道に沿って歩いていくが終着点はいったいどこなのだろうか。


 いつの間にか道はコンクリートに固められたものではなく、獣道へと変わっており

あぁ俺は自殺へと向かっているのだろうかと今更他人事のように思った。

まぁここで生きていても涼子が俺の宝くじマネーの管理をしているんだ、持ち金はゼロ。

涼子がもし生きていたら好きに使ってほしい。

バイトも何も職務経験のない俺が唯一涼子に役立てるのはそんなたまたま手に入った宝くじのお金のみなのだ。そう、俺はバイトも何もできない屑男………ん?バイト?


 バイトと言う言葉が何か引っかかる。なぜだ。そして脳みそだけが勝手に働いてるという感じで

ふいに「ただいま電話に出ることができません」と言う言葉が頭に浮かんでくる。

なんだ?一体俺の脳みそは俺に何を気づかせようとしているんだ?

サラサラサラ、と目の前には流れる川があった。

ここに飛び込めば今考えている何もかもが塵と化す。

もうそれでいいかな、所詮俺は考えることもできない、たまたま宝くじで生活ができているだけの

いつまでも精神が学生である屑野郎だ。

俺は死ぬことを決意した。


 この秋の季節に流れる川の事だ。相当寒いだろう。そしてその死に方は最悪なモノだろう。

確認するためにちょいと川の水に触れてみる。

「冷たっ!!」

指先だけしか触れていないのに………これは予想以上だ。

まぁけれども最愛の妻を泣かせた外道にはお似合いの死に方だ。

さて、と。俺は服を脱ぎ着水体制へと入る。

いや、死にに行く体制と言った方が正しいか。

俺は川から距離を取る。

走っていってダイブするためだ。

流石にそのままゆるりと入って死ねるほど胆力はない。

まぁ寒すぎて上がりたくもなるだろうが、

小枝程度なら川の流れで折れるくらいの急流だ。

川に入れば最後、人間の本能で俺があがいたとしても無駄だろう。待つのは死のみだ。

よし、こんな汚らわしい物体が涼子と同じ世界で、また同じ空気を吸っているなどと言う異常事態をこれ以上長引かせてはいけない。

「うおおおおおおおおおおおおお!!!」

こんな屑でもやはり死ぬのは怖いので雄たけびを上げながら勢いでごまかし川へと突進していく。

ダンッ!!

川の前の土を踏みしめる!

そしてーーーーーー舞う。

バク中なんてしたこともない、運動神経が悪かったから。

なのでその重力を逆らう感覚はとても気持ち悪く思え、またスローモーションに世界が見える。

あぁ、これが死ぬ前に世界がスローモーションに見えるってやつか………

ならば最後に言っておこう。さよなら世界。そしてごめん、涼子。


 ザバーン!!!!

俺はあまりの冷たさに意識を失った。

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