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83.妊婦ストーカー事件

「今回の依頼主は、おまえたちの後ろにいる。」

健二達が振り返ると、本庄、いや、中津尚子が立っていた。

頭から湯気を出している、と見紛うような立腹ぶりだ。

「えっと、兄貴。お義姉さまの依頼?」



======== この物語はあくまでもフィクションです =========

============== 主な登場人物 ================

中津敬一警部・・・警視庁テロ対策室所属。副総監直轄。

中津[本庄]尚子・・・弁護士。中津と事実婚だったが正式に結婚した。(今回は出番無し?)

中津健二・・・中津興信所所長。中津警部の弟。実は、元巡査部長。

中津[西園寺]公子・・・中津健二の妻。愛川静音の国枝大学剣道部後輩。元は所員の1人だった為、調査に参加することもある。

泊哲夫所員・・・中津興信所所員。元警視庁巡査。元夏目リサーチ社員。

泊[根津]あき所員・・・中津興信所所員。元大田区少年課巡査。同僚の泊と結婚した。

高崎八郎所員・・・中津興信所所員。元世田谷区警邏課巡査。EITO東京本部の馬越と結婚した。


新里[筒井]警視・・・警視庁テロ対策課勤務。


================================================

==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==



午前9時。中津興信所。会議室兼所長室。

マルチディスプレイに、中津警部が映っている。

「今回の依頼主は、おまえたちの後ろにいる。」

健二達が振り返ると、本庄、いや、中津尚子が立っていた。

頭から湯気を出している、と見紛うような立腹ぶりだ。

「えっと、兄貴。お義姉さまの依頼?」

「うん。察しがいいな、弟よ。」

「世辞はいいよ。お義姉さん、裁判絡み?」

「に、なるかも。これ見て。」

尚子が出した書類はコピーのようだが、新聞の切り抜きを使った『脅迫文』だ。

「流産させてやるから、覚悟をしておけ。」

「ひどーい。オンナの敵!!」と公子が言うと、根津も「女の敵!!!!!!!」と唱和した。

「先生。政治家さんですか、妊婦さんは。」

「いいえ。一般人。法律事務所に『飛び込み』で来た。普通は断るんだけどね。健二君も断りたい?『飛び込み禁止』だものね、この興信所は。」

「誤解してますよ。お義姉さん。警察や弁護士に依頼された場合は例外です。そこの入口から入ってきて、『頼もう!』はNG。だよね、兄貴。」

ディスプレイには、もう中津警部の姿は無かった。


「と、取り敢えず、護衛ですよね、先生。」と高崎がうわずった声で言った。


ストーカー被害者城野じょうの松子は、目黒区住人で、いきなりの事に驚いたと言う。

夫に相談して、目黒署生活安全課に相談したが、警察は民事不介入。たまたま目に入った本庄弁護士事務所のポスターを見て、出向いた。

尚子は、何でも弁護出来る訳ではないと断ったのに、同級生がポスターを作ってしまい、今回の『被害』に遭った。

東京事務所の秘書が、城野しろのゆきと言うクライアントがいる為、間違って受付を通してしまったのだ。

間違いとは言え、「正義の弁護士」本庄尚子は怒った。

「妊婦を脅すなんて・・・けしからん!!」


午後2時。城野邸。

城野の夫は、経営コンサルタント会社を経営している。

中津警部は、トラブルになりそうな、過去の顧客リストを作るように城野の夫に依頼した。

「所長。これじゃないですか?城野さんがアドバイスして事業を広げて、コロニーの流行った頃、倒産した会社があります。一家心中しています。」と泊が指摘した。

「成程。その関係者か。よし。公子。根津。奥さんと同じ風体で1時間後に出発。」


午後3時。

時間をずらして、3人の女性が出発した。高崎、泊は本物を尾行した。

午後4時。

根津が、警備員風の格好をした男を投げ飛ばした。

そして、EITOから支給されているDDバッジを押した。

根津も、元警察官だが、私人逮捕は出来ても、連行する権利はない。

スマホで連絡する途中で逃走される可能性もある。

DDバッジとは、大文字伝子の関係者全員が持つ、位置確認端末だ。

強く押すと、EITO本部で解析、関係各所に連絡が行く。


間もなく、中津警部が警察官を引き連れ、現れた。


午後7時。中津邸。

目も眩む衣装で挑発する妻を尻目に、顚末を健二は語った。

「泊の推測通り、倒産した関係者の仕業だった。倒産した社長の夫人は。当時身籠もっていた。復讐が遅れたのは、コロニーが流行って帰国出来なかった夫人の弟が、病気が回復して帰国。心中の事情を親類や元社員から聞いて、復讐を思い立った。城野の責任も重い。お義姉さんは、裁判で城野を情状証人で呼ぶらしい。」

健二は、それ以上話せなかった。

馬乗りになったオンナを見て思った。

『やっぱり、オンナは恐い。息子が生まれたら、それを先ず教え込もう。』


―完―






「先生。政治家さんですか、妊婦さんは。」

「いいえ。一般人。法律事務所に『飛び込み』で来た。普通は断るんだけどね。健二君も断りたい?『飛び込み禁止』だものね、この興信所は。」


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