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79.アプリの功罪

「失礼した。阿寒国人の男が、交際中の女性を切りつけ逃走。目撃者の通報で駆けつけた警察官によると、既に血の海だった。鑑識によると、頸動脈を切ったらしいから、そりゃあ、死ぬわなあ。被疑者は空港で確保。事件は終った。が・・・。」

 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 中津敬一警部・・・警視庁テロ対策室所属。副総監直轄。

 中津[本庄]尚子・・・弁護士。中津と事実婚だったが正式に結婚した。(今回は出番無し?)

 中津健二・・・中津興信所所長。中津警部の弟。実は、元巡査部長。

 中津[西園寺]公子・・・中津健二の妻。愛川静音の国枝大学剣道部後輩。元は所員の1人だった為、調査に参加することもある。

 泊哲夫所員・・・中津興信所所員。元警視庁巡査。元夏目リサーチ社員。

 泊[根津]あき所員・・・中津興信所所員。元大田区少年課巡査。同僚の泊と結婚した。

 高崎八郎所員・・・中津興信所所員。元世田谷区警邏課巡査。EITO東京本部の馬越と結婚した。


 新里[筒井]警視・・・警視庁テロ対策課勤務。

 井関民恵・・・警視庁鑑識課井関権蔵の妻。井関五郎の母。

 井関[新町]あかり・・・五郎と結婚、EITOを離れた。みちるの後輩で仲良し。


 ================================================

 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==



 午後3時。中津興信所。会議室兼所長室。

「健二。世田谷の事件、知っているか?」

「どの、世田谷の事件?」

「失礼した。阿寒国人の男が、交際中の女性を切りつけ逃走。目撃者の通報で駆けつけた警察官によると、既に血の海だった。鑑識によると、頸動脈を切ったらしいから、そりゃあ、死ぬわなあ。被疑者は空港で確保。事件は終った。が・・・。」

「が・・・は最近見ないな。暑すぎるのかな?」

「所長。蝉は暑すぎると鳴かないそうですよ。」高崎が健二に合せた。

「揃って、揚げ足取りかよ。」警部は拗ねた。

「お義兄さん、模倣犯の話ですか?」

「流石、公ちゃん。もう大学辞めて所員に専念したら?」

「今度は、俺が拗ねる番だな。」

「仲がいい職場ね。」と言いながら、本庄がトイレから出てきた。

 トイレと言っても、「用足し」していた訳ではない。

 秘密の通路を通って出てくる場所がトイレなのである。

「実は、世田谷の事件は、カッとなって、ということになっているけど、アプリの会社の裏の顔は、シリアルキラー養成所の可能性があるの。示談で済んだ事案が10件。世田谷の被害者・被疑者が使っていた、出会い系のアプリ。いずれも片方が阿寒国人。被疑者はカッとなって、と言い、被害者は口論していない、と言っている。」

「詰まり、先生。世田谷の事件は『失敗例』で、本来は交際相手を傷つける為の出会い系サイトってことですか。」

「そう。つい、シリアルキラーって言ったけど、専門家によると、シリアル・インジャリー(serial injury)。詰まり、傷つけて楽しむ趣味の人の為のアプリなの。出逢う機会がないからって、アプリをダウンロードしたら、犯罪の入口に立っている。」

「恐い世の中ですねえ。まさか、私達に『囮』になれなんて・・。」

「囮になれ・・・なってね、お願い。」本庄は、根津に手を合せた。

「先生。被害者は女性の場合が多いんですか?」と泊が尋ねた。

「一応、泊金達にも囮になって貰うけど、被疑者は多分男ね。捕まえたら、会社を叩き潰して・・・倒産して貰うわ。」


 1週間後。根津の相手と公子の相手がデート中に襲いかかってきた。

 無論、健二と泊がガードしていたが、2人は自力で相手を倒した。

 根津の相手を逮捕した矢野警部は言った。

「相手が悪かった、って、地獄に行ったら、閻魔様に報告するんんだな。」


 数日後。ある、うどん屋。

 山村編集長のクーポンで、『冷やしうどん定食』を食べる、中津興信所の面々。

 今回は、矢野警部も参加し、進捗を報告した。

「二課の連中も喜んでいてね。裏で半グレが絡んでいた。犯罪もデジタルの時代だな。」

「芋づる?」

「芋づる。このとろろみたいに。」と、矢野は頬を膨らませた。

「捕まって当然。」

「オンナの敵。」

「そう、オンナの敵。」

 配偶者達は、『よそ見』をした。

 高崎だけが、クスクス笑っていた。


 ―完―


 ※現実の切りつけ事件を参考にしていますが、本稿とは無関係です。

 また、シリアル・インジャリーは、作者の造語です。

 クライングフリーマン


「お義兄さん、模倣犯の話ですか?」

「流石、公ちゃん。もう大学辞めて所員に専念したら?」

「今度は、俺が拗ねる番だな。」

「仲がいい職場ね。」と言いながら、本庄がトイレから出てきた。

トイレと言っても、「用足し」していた訳ではない。

秘密の通路を通って出てくる場所がトイレなのである。


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