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78.高齢者イジメ

このところ、「調査案件」がなく、所員は、過去の調査または仕事の資料整理を半日やるだけである。

突然、マルチディスプレイに中津警部が映った。

「予想通り、だらけてるなあ。仕事が混んでる時は休む暇ないけどなあ。」


 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 中津敬一警部・・・警視庁テロ対策室所属。副総監直轄。

 中津[本庄]尚子・・・弁護士。中津と事実婚だったが正式に結婚した。(今回は出番無し?)

 中津健二・・・中津興信所所長。中津警部の弟。実は、元巡査部長。

 中津[西園寺]公子・・・中津健二の妻。愛川静音の国枝大学剣道部後輩。元は所員の1人だった為、調査に参加することもある。

 泊哲夫所員・・・中津興信所所員。元警視庁巡査。元夏目リサーチ社員。

 泊[根津]あき所員・・・中津興信所所員。元大田区少年課巡査。同僚の泊と結婚した。

 高崎八郎所員・・・中津興信所所員。元世田谷区警邏課巡査。EITO東京本部の馬越と結婚した。


 新里[筒井]警視・・・警視庁テロ対策課勤務。

 井関民恵・・・警視庁鑑識課井関権蔵の妻。井関五郎の母。

 井関[新町]あかり・・・五郎と結婚、EITOを離れた。みちるの後輩で仲良し。


 ================================================

 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==



 8月28日。午後3時。中津興信所。会議室兼所長室。

 このところ、「調査案件」がなく、所員は、過去の調査または仕事の資料整理を半日やるだけである。

 突然、マルチディスプレイに中津警部が映った。

「予想通り、だらけてるなあ。仕事が混んでる時は休む暇ないけどなあ。」

「兄貴。遠回しに嫌味言うなよ。『いちげんさんお断り』にしろって言ったのは、兄貴と、兄貴の嫁さん、いや、本庄弁護士だからな。」

 その時、トイレのドアがバタンと開き、「呼んだ?」と、当の本庄尚子、いや、中津尚子が現れた。

「もう聞いて貰ったと思うけど・・・。」と話しかけるので、「待った。まだ。じゃ、詳しい事はウチの嫁さんに聞いてくれ。」と。警部はマルチディスプレイから消えた。

 中央に移動した尚子は、資料を広げながら説明をした。

「今回の依頼人は、井関民恵さん。知ってるわね?」

「井関課長の奥さんですよね?」と高崎が言い、「あかりちゃんの姑さんですよね?」と泊が言った。

「最近、高齢者の死亡が多いことも知ってるわよね、あきちゃん。」

「エアコンつけてなかったとか、ニュースで言ってますね。」

「そう。それで、民恵さんは、亡くなったお隣の山中さんの場合は『あり得ない』って言っているの。」「お隣だから何か事情をご存じってことですね。状況は、エアコンをつけなかった『過失』に見えても。」

「そういうこと。皆、プロねえ。健二君の指導力ね。」

「そこで持ち上げられてもなあ。あ。民恵さんは、何をもっておかしい、って言っているんですか?」

「エアコンを付けっぱなしにするのを嫌がる人達じゃないって断言しているの。生前何度も話したから。警察は、今、公ちゃんが言った通り過失による死亡で片づけたけどね。この資料は動機のある人々。取り敢えず、アリバイの再確認。それと、他に原因がないかどうか。民恵さんが表立つことは出来ないから、山中さんの大姪さん、高部麻衣子さんが表向きの依頼人。」

「成程。お義姉さん。遺産絡みの殺人の疑いが濃いってことですね。こりゃ、資産状況も調べる必要があるな。高崎。借金の臭いがあるかどうかも確認しよう。」と、健二は高崎に念押しした。

「了解。」

「戸締まり・火の元、忘れないでよ。」


 午後6時。山中家親族の依頼した葬儀会館。

 泊とあきは、葬儀社の社員の振りをして、親族会議を盗聴した。

 盗聴は、違法である。

 だが、警察の指示がある場合は別である。

 親族ではない、親族の1人の知人がやってきた。

 動機や手順は、全て自らしゃべってくれた。


 翌朝。親族は葬儀会館に行く前にそれぞれ警察に呼び出された。『事情聴取』である。

 そして、井関重蔵以下、鑑識課は家中の機械を徹底的に調べた。

 人の出入りの痕跡もである。

 事件の夜、局地的ではあったが、『お湿り』があり、所謂『ゲソ痕』が見つかった。


 エアコンは、山中夫婦がエアコンのタイマーをセットした訳では無かった。

 何者かが、エアコン自体のタイマーをセッティングしていた。

 コンセントは、海外用の変換器を使ってコンセントに挿してあったが、変換器を含めた延長ケーブルで、二階の目立たない場所にタイマーと変換器を組み合わせてセッティングしていた。親族の知人はプロの泥棒だった。


「落としのプロ」新里は、漏れなく白状させた。

 午後7時。中津家。

「今夜、『落とし』てもいい?」と公子が尋ね、健二は黙って両腕を出した。


 ―完―



「最近、高齢者の死亡が多いことも知ってるわよね、あきちゃん。」

「エアコンつけてなかったとか、ニュースで言ってますね。」


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