表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/83

70.異物

「一佐が、子供に、『お礼はいいよ。必ず勝って!」って言われたそうだ。EITOのエマージェンシーガールズ』も有名になったもんだな。」

中津警部は、『時の記念日の闘い』について語っていた。


======== この物語はあくまでもフィクションです =========

============== 主な登場人物 ================

中津敬一警部・・・警視庁テロ対策室所属。副総監直轄。

中津[本庄]尚子・・・弁護士。中津と事実婚だったが正式に結婚した。

中津健二・・・中津興信所所長。中津警部の弟。実は、元巡査部長。

中津[西園寺]公子・・・中津健二の妻。愛川静音の国枝大学剣道部後輩。元は所員の1人だった為、調査に参加することもある。

泊哲夫所員・・・中津興信所所員。元警視庁巡査。元夏目リサーチ社員。

泊[根津]あき所員・・・中津興信所所員。元大田区少年課巡査。同僚の泊と結婚した。

高崎八郎所員・・・中津興信所所員。元世田谷区警邏課巡査。EITO東京本部の馬越と結婚した。


御池栄子・・・東京都知事。

本郷隼人・・・EITOシステム部長。EITO秘密基地管理部長。

守谷哲夫・・・SAT隊長。


早乙女藍・・・元警視庁女性白バイ隊隊長。

工藤由香・・・元警視庁女性白バイ隊隊長。

田尾美緒子・・・女性白バイ隊隊長。

村越警視正・・・副総監付きの警察官幹部。警視庁テロ対策室室長。


筒井[新里]あやめ・・・警視庁テロ対策室の警視。同期の筒井と結婚した。妊娠はしていない。筒井の子供は産みたくないから。

矢野警部・・・警視庁テロ対策室勤務。

山村美佐男・・・伝子と高遠が原稿を収めている、みゆき出版社の編集長。

宮田孝之・・・元京都大学准教授。感染症学者。奸計に填まり、幽閉されていた。


================================================

==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==


午前9時。会議室兼所長室。

マルチディスプレイには、中津警部が映っている。

「一佐が、子供に、『お礼はいいよ。必ず勝って!」って言われたそうだ。EITOのエマージェンシーガールズ』も有名になったもんだな。」

中津警部は、『時の記念日の闘い』について語っていた。

「兄貴。夏目リサーチの方はどうなんだ?」

「一応、倒産して『別会社』が入ったという体裁にはなっている。カチャカチャのバイト君は雇い直した。彼らまでそのままだと、怪しまれるからな。極秘任務なのに。但し、別会社で経験済みの場合は、よく調べた上で雇う方針。でも、該当者はいない。誰でも出来る仕事だからな。学生は、年々入れ替わるし。」

「ああ。フィットネスの社長から礼状が届いたよ、兄貴。オンラインレッスンに参加する場合は『割引』してくれるそうだ。山村編集長の入れ知恵だな。」

「あり得るな。ま、取り敢えず、取っとけ。参加出来る程暇にはならないけどな。メガソーラーに通信装置が入っていたことを受けて、御池都知事は、梅雨の間も晴れている日は、点検する様に指示を出したことは知ってるな?」

中津警部は、「時の記念日の闘い」において、敵の仕掛けた複数の監視カメラのことを言っているのだ。監視カメラの一つは、家庭用の太陽光発電のソーラーパネルに巧に隠されていたが。メガソーラーとなると、東京都初め各自治体があっと言う間に設置し、那珂国製品だったことが判明している。

那珂国は、芦屋総帥によると、軍事政治産業教育、あらゆる手段で侵攻している。直接的なミサイルを避ければいいという問題ではない。

「安かろう悪かろう」という故事や教訓を顧みず、安く仕入れて「利潤」を懐に入れる、政治家の「悪しき習慣」が、やがて国を滅ぼすだろう、とも言われている。

メガソーラーで潤った発電(蓄電)は、予想(というより期待)を遙かに下回り、「再生可能エネルギー」は「補助エネルギー」であって、「主役」ではないことは明白だが、役所もマスコミも「知らぬ存ぜぬ」を通していた。

「兄貴。まさか。」「そのまさか、だ。やっぱり俺の弟は超能力者だ。」

「漫才はいいから、どこに『警備』に行くか教えてくれないかしら?お義兄さん。」

「公ちゃん、嫌味が冴えてるね。メガソーラー板橋は、板橋区にある。あ、ここ笑うとこ・・・ま、いいや。都知事は、メガソーラー板橋に明日、視察に行く。太陽光パネルもパワーコンディショナーも那珂国製だ。まあ、発見しても、御池さんには見せない報告しないが前提だろうけどな。反対派も賛成派も動くんじゃないか、と村越さんは警戒している。『警備会社警備員』は表向きの警備、お前達は、御池さんより寧ろ、『妙な動き』がないか注視して欲しい。」

「了解。」

翌日。午後1時。板橋区の、太陽光発電施設。

御池知事が、「視察」している間に、大勢の逮捕者が出た。

家庭用太陽光発電の監視カメラのデータを元に、SATは、速やかに「メガソーラー内通信装置」を撤去し、那珂国からの電波を受信すればシャットダウンするシステムが組み込まれた。

午後3時。東京都庁。ある会議室。

副知事の司会の下、報告会が開かれた。

「中津所長。反対派、賛成派の様子は?」「普通のデモでした。ただ、賛成派の一部が、逮捕者が連行されるのを見て、早めに解散しました。」

「守谷さん。『通常警備』の方は?」

「マスコミで怪しむ者はいませんでした。単純にデモから殴り込みがあるかどうか気にしていました。」

「本郷さん、システムの交換は簡単なものだったんですか?」

「再三、シミュレーションしたお陰、とSATの一部の方が護衛して頂いたお陰で、スムーズに運びました。」

「早乙女さん、工藤さん、田尾さん。都知事は?」

「無事、帰還中です。夕方の記者会見には間に合います。」と、早乙女が代表して答えた。

副知事の横のマルチパネルから、御池都知事が早乙女のスマホを通じてメッセージを出した。

「みんなで立ち向かえば、恐くはないわ。那珂国派もいるから、全知事という訳にはいかないけれど、メガソーラーの建設中止や受注業者見直しを打診しておいたわ。総理にも感謝しなくてはね。それと、『影の立役者』大文字伝子さんにも。記者会見では、『予定通り』、何事も無かった、と発表します。」

間もなく、会議は解散となった。

会議室を出たところで、副知事は、新里警視に呼び止められた。

そして、矢野警部が、副知事に手錠をかけて、言い放った。

「スパイ容疑で逮捕します。システムの交換、じゃなくて、『異物の交換』なんですよ。」


午後5時半。中津家。

所員全員と、宮田元教授で『鯛飯』と『鯛の中華蒸し』を賞味していた。

山村編集長の『差し入れ』である。

笑い声が、何時までもこだました。

―完―



「みんなで立ち向かえば、恐くはないわ。那珂国派もいるから、全知事という訳にはいかないけれど、メガソーラーの建設中止や受注業者見直しを打診しておいたわ。総理にも感謝しなくてはね。それと、『影の立役者』大文字伝子さんにも。記者会見では、『予定通り』、何事も無かった、と発表します。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ