53.サンタさんからのお願い
あきが、お茶を出そうとしたが、2人とも固辞した。
マルチディスプレイに中津警部が映った。
「早いね、流石だな。さて、皆は『架空請求詐欺』のことは知ってるね。」
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
中津敬一警部・・・警視庁テロ対策室所属。副総監直轄。
中津健二・・・中津興信所所長。中津警部の弟。実は、元巡査部長。
中津[西園寺]公子・・・中津健二の妻。愛川静音の国枝大学剣道部後輩。元は所員の1人だった為、調査に参加することもある。
泊哲夫所員・・・中津興信所所員。元警視庁巡査。元夏目リサーチ社員。
泊[根津]あき所員・・・中津興信所所員。元大田区少年課巡査。同僚の泊と結婚した。
高崎八郎所員・・・中津興信所所員。元世田谷区警邏課巡査。EITO東京本部の馬越と結婚した。
新里あやめ・・・警視庁テロ対策室勤務の女性警察官。
愛宕みちる・・・丸髷署勤務の女性警察官。
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==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==
午前9時。中津興信所。所長室兼会議室。
みちると新里がやって来た。
あきが、お茶を出そうとしたが、2人とも固辞した。
マルチディスプレイに中津警部が映った。
「早いね、流石だな。さて、皆は『架空請求詐欺』のことは知ってるね。」
「昔風の言い方をすれば『フィッシング詐欺』ですよね。最近は『往復葉書』とかじゃなくて、ショートメールとか。」
「高崎君は、呑み込みが早い。健二。優秀な部下を持って鼻が高いだろう。」
「まあ、自慢の部下だけれども。まさか、その詐欺の囮作戦?」
「いや、即時性がないと難しい。『不特定多数』にプログラムで通信しているだけだから、例え現場を押えても、『冗談』だった、で済まされる。もっと簡単なことだ。」
そこで、みちると新里が紙袋を、どっかと置いた。
「チラシ?」と、公子が訝った。
「俺の妻も、鼻が高いよ。兄貴。これ配るの?」
「うん。今日は何日だっけ?白藤警部補の『手下』に『サンタ衣装』を用意して貰った。実は、2週間前に決まったことだ。『クリスマスプレゼント』だな、仕事の。」
「あんまり嬉しくないなあ。」と泊とあきが言った。
午後1時。JR新宿駅西口。
泊とあきが、地元警察官と共にチラシを配っている。
『架空請求詐欺にご用心』をというチラシである。
地元警察官との違いは、大きなサンタ衣装である。
午後1時。JR新宿駅南口。
みちると公子が、地元警察官と共にチラシを配っている。
『架空請求詐欺にご用心』をというチラシである。
地元警察官との違いは、大きなサンタ衣装である。
午後1時。JR新宿駅東口。
新里と高崎が、地元警察官と共にチラシを配っている。
『架空請求詐欺にご用心』をというチラシである。
地元警察官との違いは、大きなサンタ衣装である。
午後4時。
3カ所で配り終え、事務所に帰ろうとした面々は帰れなくなった。
サンタの衣装でプラカードを持ってデモしていた、集団は、突然拳銃強盗に『変身』したからだ。
だが、モデルガンと見破った、彼ら、中津興信所の面々とみちると新里は、簡単に制圧した。
地元警察官が、即逮捕。連行された。
午後5時。中津興信所。所長室兼会議室。
ニュースで村越警視正が『防犯訓練』で、サンタ強盗も、サンタのビラ撒き要員も警察官だと発表した。
「衣装が覆面になったな。」「やっぱり闇サイトかな?」
夫婦の会話に、泊とあきと高崎が「お先でーす。」と言って、出て行った。
午後6時。
『店仕舞い』した中津健二に公子が言った。
「今から『防犯訓練』する?」「メシの後でいいよね。クリスマスだし、セイだすか。」
2人はお互いの駄洒落に笑った。
―完―
ニュースで村越警視正が『防犯訓練』で、サンタ強盗も、サンタのビラ撒き要員も警察官だと発表した。
「衣装が覆面になったな。」「やっぱり闇サイトかな?」




