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絡繰り

「バン」


 もう一度乾いた音が聞こえる。威嚇射撃だと思うんだけど。そして犯人は女子トイレに入ってくる。

 「ここらへんで悲鳴が聞こえたはずなんだが」


 男の声は自分の想像以上に低かった。なぜだか、男は声的に緊張していなかったと感じた。女性を打ったはずだと思うんだけど。もし本当に女性を打っていてこの緊張感ならば、血も涙もない人。


「おい、そこら辺にいるんだろ。出て来いよ。おとなしく出てきたら痛くはしないから」


 私たちはその言葉にビビりもしない。理由ちゃんとある。一つ目の理由は、


 『彼が使っている銃は本物ではない』ということ。香菜が言ってたから本当なんだろうけど、私自身も実際ちょっと疑ってる。本物の銃というか麻酔銃らしい。そして二つ目の理由。こっちのほうが大きな理由なんだけどね。実は私たち、、、


『もうそこにはいない。』


 マジックでも使ったの?って思うかもしれないけど実際はそうじゃない。私たちは、今男子トイレにいる。香菜が私が悲鳴をあげた瞬間に一番手前のトイレに連れて行ったんだよね。そこに行ったところでただの延命処置にしかならない、ってわけもなく実はそこは男子トイレにつながっているの。ここのところいろんな異次元なことばかり起きていたからもう驚かなかったけどね。


 そういう理由があるけどまだ油断はできない。なぜなら犯人もこのからくりを知っているかもしれないからだ。あの犯人はここを拠点にしているみたいだし。もしこのからくりを知っていたのならばその時はその時だけど。


 扉が開く音がしていく。そして、順番的にも一番最後。からくりのある部屋を開けようとする。心臓の音が聞こえてくる。もしかしたらの可能性があるから不安を安心に返すことはできない。扉が開く音が聞こえる。


 「ちぇ、聞き間違いだったか。それよりあのあの女をどうするか、、、、」


 犯人はそう言い残し女子トイレを出ていくのであった。怖かったけど、進展も一つあった。この声はどこかで聞いたことがあるということ。その声がいつ聞いたか誰だったかは覚えてはいない。でも、顔を見れば一瞬でわかるはず。探索している中で鉢合わせなんてなったらシャレにならないけどね。


 とにかく、私の知っている人が犯人ってことだよね。そのことも探しつつ、今暁高校で起こっていることも調べないといけないからね。


 「じゃあ行くよ」


 そう香菜が言う。きっと犯人にあってしまったから帰るのだろう。でも、一概にそうとは言えないよね。一応聞いてみる。


 「ちなみにどこに行くの?」

 これで幻の階の探索に行くとか言い出したら少し動揺してしまうかも。


 「何言ってるの?もちろんこの階の探索に決まってんじゃん」

   

 この言葉を聞き確信した。血も涙もないのは香菜のほうなのかもね。ということ。私は怖いという気持ちを押し殺して香菜についていく。

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