プロローグ
「今来むと 言ひしばかりに 長月の 有明の月を 待ち出でつるかな」
貴方はこの歌を残して消え去った。あんなに愛していたのに、時間をたくさん共にしたのに去るときは、一瞬なんだね。すぐかえるって言っていたくせに嘘だったんだ。
こんなに、悲しんでも憎んでも貴方はもういない。また、9月がやってきた。今日も今日も貴方を思い出す。今頃何をしているのでしょう。
天国で見守っているのでしょうか。それとも、私を裏切った罪滅ぼしに地獄にいるのでしょうか。貴方は私のすべてを変えた。あの日のことをまだ覚えているのでしょうか。その前に私を覚えているのでしょうか。
結局すべてはいつかは失ってしまう。絶対に。それを怖がる人もいれば、試練だと受け止めることができる人もいる。私は前者だった。貴方を失いたくなかった。失うものが家族だとしても自分だとしても。もし、過去に戻れるのならば、運命を変えられるとするならば、私は、、、、、、、、、、、、、、、
目を開けるととても懐かしい景色が飛び込んできた。なぜだか涙が出てきた。私は、心の水を流したままベットを出た。
一つだけ、本当に一つだけ、確認しておきたいことがあった。私は、カレンダーを覗き込む。起きた時からなんとなく察しはついていたので、理解するまでに時間はかからなかった。
「過去に戻っている」
本当は声を上げるほどに喜びたいが、過去に戻ってきたのならば、気が気ではない大切なことが一つある。それは、あの人「明星君」がまだ生きているのかどうかが。
今年は、私と明星君が出会う日。人生を大きく変えたきっかけ。それは、暁高校の始業式。明星君は、2年生のときに転校してきて番号が近いからという理由で隣の席になった。入学式のことは、鮮明に覚えている。なぜだか知らないけれど。もし、ここが本当に過去ならば、私以外昔のままならば明星君を救うことができるかもしれない。
今の時刻は7時21分。絶対に助けると心に誓って、自分の部屋を出た。
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