7 この尻は一体
これをどう処理したものかと皆考えあぐねている。
「司令官よろしいでしょうか」
「なんだ」
「番号が振られているからと言って全てが同じ内容だとは限りません。顔は別に描かれいると考えるのは不自然でしょうか?」
第三騎士団長が問う。
「なるほどな。ならば顔が無いのも頷ける。寧ろこの中途半端な情報なら別にされていると言う方が納得できるな」
皆一様に頷く。
振られている数字からして前後どちらかのスケッチブックに顔だけが描かれていると仮定すれば納得いく。「情報」にするのならば顔と体は合わせなければならない。
だとしたら、この体の持ち主の顔は、別のスケッチブックの同じ頁に描かれている。
スケッチブックを上下に置いて頁を捲れば胴と頭がくっつく。
顔さえ描かれていれば情報としてはトップクラスのものなのだから。
王都の警備を固める第一騎士団を始め、騎士団は第五まであり、半年前に既に退団している者も描かれていた。
これにより半年以上前から情報を集めていたのは伺えるが、ならばあの場所が注意すべき場所であることもわかるはずだ。そこで手を緩めてはいけないことも。
だが、ふと思う。このスケッチブックの主はあそこにいたのだろうか?
あのような突風はあの場所ならではの現象だが、今日は比較的風が強い。今もまだ窓を叩きながらヒューヒューと己を主張する音が聞こえる。
このスケッチブックは一体どこから来た?
そこへちょうど第一騎士団の騎士が二人入ってきた。指示は守られているようだ。
「命じられていた遺失物の落とし主ですがまだ現れておりません」
「そうか。ご苦労。戻っていいぞ」
他愛もない言葉だが司令官に直接声をかけられ緊張したのか騎士二人は馬鹿でかい声で退室していった。
「失くしたことに気づいていないのか、はたまた申し出る気がないのか」
あれだけのものを失くして気づかないことはないだろうが、申し出る事が出来ない代物だ。司令官も今の状況では相手の出方に判断がつかないらしい。
「それにしてもこの角度は何か意味があるのでしょうか? そして…この尻……」
第五騎士団長が感じたことを口にした。それはここにいる者全てが思っていたことだろう。
正面と背面はわかる。だが斜め前からの絵だけはそれぞれで角度が違う。
大体が顔半分とその奥の肩が見える位置からだが、真横に近い絵もあればほぼ正面に近いものもある。
そして何よりも問題なのは、背面の絵に関してである。
尻が丸出しで描かれている者がいる。
要は後ろ姿だけ全裸の者がいると言うことだった。幸いにしてここにいる者はズボンを穿いているが、半数は尻がしっかり描かれている。
しかも尻から腿にかけての古傷まで丁寧に描かれた者はここにいる全員が知っている。想像でかけるものではない。これにより内部調査もせねばいけなくなった。




