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13.見つけた!グノマル鉱石

 山の中腹よりも下の方にいた俺は、上へ上へと山を登って行った。ちょこちょこと素材を見つけては採取して、歩き続ける。


 道無き道をかなり上まで登って行った俺は、突如として目の前に広がった絶景に、思わずおお!っと声を上げた。

 山はもう少し上まで続いているが、ここは切り立った崖になっている。眼下に広がる白い雲。そして、その下には森の木々がどこまでも広がっている。遠くまで見通せる、美しい景色にしばし見惚れ続けた。


「これは凄いな。下は……おお!結構上まで上がって来たんだな!」


 地に足を付いてうつ伏せに寝転がり、崖の下を覗き込んだ俺は、普段は見上げる大きな木々を、見下ろしている事に感動した。これはなんだか気分が良い。


 起きあがろうとした上機嫌の俺は、ハッとすると、再び地へと寝転がり下を覗き込んだ。覗き込んだ足元の崖。その途中にキラリと虹色に光る石が見える。あれは間違いない。


「グノマル鉱石だ!!」


 この鉱石は、流した魔力を増幅する力を持つレア度7の特別な石で、希少価値は高い。魔法剣の刃に使う鉱石に混ぜ込んで使う事で、剣に流す魔法の威力を大幅に上げる事が出来る代物だ。


「欲しい!絶対欲しい!」


 俺はどうにかして手に入らないかと、辺りを見回して見る。切り立った大きな崖には足場になりそうな所が少なく、そう簡単にグノマル鉱石の元へと行かせてはくれなそうだ。

とは言え、下から登るよりは上から行った方が早そうなので、そうなると俺が取る方法は一つだけだった。


 崖の上にある大きな木に、ロープを縛り付ける。ロープの端を一度崖下へと垂らしてみて、グノマル鉱石の元まで行くのに必要な長さを見極めた。あの辺だとロープの長さの目星をつけたら、そこから目を離さずにロープを引き上げ、その位置より少し下を腰に巻き付けた。

 あとはぶら下がって、取りに行くだけだ。


 下を見ると少し恐怖心の出る崖から、俺は勇気を出して身を乗り出した。右手でぶら下がっているロープをしっかりと持ち、弛みのある長いロープを、左手で纏めて持っている。ロープの弛みを少しずつ伸ばしながら、下へ下へと慎重に降りていった。

 俺の頭には、貴重な材料を入手する事しか無かった。あと少し、あと少し……と気持ちがはやる。


 ようやくグノマル鉱石の元に辿り着いた俺は、鉱石を崖から穿り出した。キラキラと虹色に輝く鉱石は、思ったよりも大きさは無かったが、間違いなくグノマル鉱石だった。

 採取に成功した俺は、両手を上げて「やったぁ!」と叫んだ。手に持ったままの鉱石を見てニヤニヤと笑みを溢す。


「ちょっと小ぶりだが、こんな貴重な石を手に入れられるなんて、ラッキーだったな!国を出てから、運が俺の味方をしている気がする!」


 良いこと続きの日々を思い喜びに浸っていると、体を縛っているロープがたるみを見せ、俺の体がガクッと少しだけ下へと落ちた。


「ん?……ゲッ!まさか」


 上を見上げた俺は、少しずつ下へと下がってくるロープと、それに合わせて下へと落ちていく自分の体を見て、顔色を真っ青にさせた。俺がロープを縛り付けた木は、あまり深く根を張っていなかったらしい。お陰で、俺の体重を支えきれなくなってしまった様だ。


 ブワッと一気に体が落ち込んだ俺は、ロープと一緒に落ちてくる大木を見つめながら、仲良く下へと落ちて行くのだった。


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