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11.初めてのソロキャンプ


「よし!今日は、ザンキーラのバーベキューだ」


 ウキウキとした俺は、早速バーベキューの支度に取り掛かった。


 まずは、かまどの制作に入る。俺の建築建設技術を使えば、立派なかまどを製作する事は可能だが、まあ今回は旅の途中だし、簡易的なかまどの作成に留めておく。


 ポイポイと投げて作った石の山を崩し、円形状に並べていく。火をつける為、乾燥した枝を求めて周囲を探し回ったが、そこまで量が見つからなかった。仕方なく周囲に立つ大きな木を見て周り、切っても木の成長に影響の出ない、剪定可能な太い枝をようやく見つけ出した。


 その枝を目指して木を登った後、空間収納から俺が作った素晴らしい戦斧(せんぷ)を取り出した。そして、その枝目掛けて戦斧を力一杯振り下ろす。

 戦斧と言う斧は、分厚くて幅が広い刃が特徴で、斧よりもかなり大きさがある。読んで字の如く、木を切ったりする用途よりも、戦いの中で敵に対して使う斧だ。でも、勿論木だって切れる。俺が作った事で、切れ味は抜群である。


 戦斧によって切れ目が入った太い枝は、その重みから徐々に亀裂を広げて行く。バキバキバキッと音を立てて地面へと落下した枝を見て、俺は登っていた木を降りた。


 戦斧を仕舞うと、枝を引き摺りながら、先程の場所へと帰って行く。

 取り敢えずこれで、バーベキューの支度は出来た。まずは、時間のかかる火起こしから始める事にしよう。俺は切ったばかりの枝へと左手を当てた。


「超高速スキル発動、工房魔法『物体乾燥』」


 俺の左腕の紋章がジワリと熱を放つ。ブワッと放たれた魔力は、切ったばかりの太い木の枝を、あっという間にカラカラに乾燥させた。


 工房魔法とはドワーフ専用魔法の事で、作品の制作にあたり必要とされる下準備や、仕上げなどに使える便利な魔法となっている。今回使用した物体乾燥は、木を使って製作する時に使う物で、かなり役に立つ。木だけではなく、色々な物を乾燥させる事ができるので、多様性があり、とても便利な物となっている。


 ちなみに超高速スキルとは、普通よりも時間を大幅に短縮出来るスキルとなっている。自動スキルでは無いので、使いたい時にだけ発動させている。


 第一血統が使う『超高速』で十倍の早さ、第二血統の『高速』で五倍の早さ。第三血統以下は使えない特殊なスキルとなっている。

 元々、人間の数倍の速さで物を作れるドワーフが、このスキルを発動しながら製作をすると、あっという間に作品が作れると言うかなり優れ物のスキルだ。


 カラカラに乾いて燃えやすくなった枝を、戦斧を使ってバンバン切っていく。かなりの数の薪が出来たので、必要以上の薪は、空間収納へと保管する事にした。薪をかまどに並べて、左手を向ける。


「ファイヤー!」


 魔力を調整して控えめに出したファイヤーは、薪に燃え移り、次第に小さな炎をあげた。ヨシヨシとご満悦な俺は、メインディッシュの解体へと取り掛かる。


 頭の骨と牙は粉砕してしまったので、首から切り落とした頭部は特に使い道がない。なので、森に住まう動物達に還元する事にした。ザンキーラの頭を持ち、空に向かって思いっきり遠くへ投げ飛ばす。あの頭はきっと、この森に住まう何かの、今晩のご馳走になる事、間違いなしだ。


 さて、解体はここからが本番だ。手足と尻尾を切り取り、ロープを出して木に逆さに吊る。胴体は腹を掻っ捌き、臓物を取り出す。大まかな骨を抜き取ってから、八等分した後で皮を剥ぎ、血抜きをした。ザンキーラの骨は素材としての使い道は少ないが、これも一応取っておく事にして、空間の中へと仕舞い込んだ。


 ある程度血抜きが終わった胴体のブロック肉の一つを持ち、かまどへと持っていく。空間から出した太い鉄の棒にぶっ刺して焚き火の上に肉をぶら下げる。難しい料理の出来ない俺でも簡単できる、男のワイルド料理だ。


 さて、これで準備は出来た。肉が焼けるまでの間に、この場のクリーン作業に取り掛かろう。血抜きをしていた肉達を空間へと仕舞い、そして地面に広がった血と臓物を燃やし切る。


「ファイヤー!」


 俺の左手から出された高火力の炎は、地面に染み込んだ血と魔物の臓物を、全て灰にした。これで、血の匂いに釣られて魔物がやってくることはないだろう。まあ襲って来たとしても、空間に保管される非常食になるだけなので、その辺は別にどちらでも良い。


 俺はかまどに戻り、火の側で腰を下ろした。

 そして今日見つけたロブント鉱石や他の鉱石等を、空間から取り出し地面へと並べていく。一緒に取り出した大好きな酒と、焼けたばかりの肉を手に、ニヤニヤ、ニマニマしながら採取した鉱石や素材を見つめ続けた。


最高に楽しくて、とても美味しい時間を過ごしたのだった。


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