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(二)-2
「どんな人なんだ」
白沢がそう聞こうとすると、無線が鳴った。川居警察署管内で発砲事件が発生したという。白沢は助手席の窓を開けて水滴型の回転灯を屋根に載せた。
同時に入野は車のスピードを上げ、サイレンのスイッチを入れた。
白沢正義は入野優治が運転する覆面パトカーに乗って、発砲事件の現場へ向かっていた。
車はJRの地方路線の織原駅の裏路地の方へ入って行った。そしてゆるい山の斜面を少し上がっていったところにある、小さな町工場の前で停車した。入口には「織原金属」とあった。
(続く)