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「……え?」

 理解が追い付かず、思わず手を止める。

「申し訳ないんやけど、後で説明するからとりあえず手錠外してくれへん?」

 ハッと我に返る。少女を見ると苦笑いしていた。

「すみません! すぐに外します!」

 混乱する頭を落ち着かせ、作業を再開する。そこから何本か試したところで手錠は外れた。

「おお! ありがとう! 手動かせるって素晴らしいことなんやな! 足は自分でやるわ。それ貸して」

 そう言われたので鍵の束を渡す。

「ありがとう。えーと、どこから話そかな」

「あの、貴女がウリっていうのは……」

 立ち上がって少女を見る。耳は確かにあるし、よく見たら尻尾も生えている。しかしそれだけでウリだとは思えなかった。

「あぁ、いつもは勝手に姿が変わることはないんやけどな。目が覚めたら人型になって拘束されててん。首についてるこれのせいで妖力使えへんみたいやから、獣形に戻って証明は出来ひんけど。あ、外れた」

「じゃあ、どうしてずっとウリ坊の姿だったんですか?」

「人里に行くんやったら妖ってバレたら不味いやろ? あの姿やったらバレへんと思ってんけど、バレてたみたいやな。あはは……」

 少女はばつが悪そうに笑っていた。

 一度だけこの声を聞いたことを思い出した。あの時は気のせいかと思ったが、ウリの声だったのかと納得する。

「そういえばどうやって脱出したん? 看守から鍵取ったって言ってたけど」

「手錠を外してくれたので、近くに寄ってきたときに気絶させて鍵を取りました。今は隣の部屋にいてもらってます」

「あらら。あの看守、これ付けてたら危害加えれへんって得意気に言ってたのに。でも確かに妖力は封じられてるから、拡大解釈してたんかな」

 妖力というのはよくわからないが、もしかすると身体が怠いことに関係するのかもしれない。

「まあ細かいことは外に出てからゆっくり話すわ。そうそう、ボクの名前はウリじゃなくて猪に鼻緒の緒で猪緒や。あと敬語じゃなくていいで」

「わかった。勝手に名前つけてごめんね。猪緒って呼び……呼ぶよ。俺は大沢瑞生。瑞雲の瑞に生きると書いて瑞生。よろしくね」

「別に謝らんでええよ、よろしくな」

 そう言うと猪緒はいきなり俺の首元を覗き込んでくる。

「ど、どうしたんですか、猪緒さん」

「急に敬語になるやん。いやこの首輪は鍵穴ないんかなって思って。たぶんこれのせいでなんか怠いし、何より妖力使えたほうが簡単に脱出できるしな。……でもなさそうやな。外す方法探さなあかん」

 予想通り、妖力が封じられていることと身体が怠いことは関係があるようだ。

「それなら隣の部屋にいる看守みたいな人に聞けばいいんじゃないかな。他にも情報が手に入るかもしれないし」

「そっか。拘束してるんやったらちょうどいいな。じゃあ隣行こか」

 俺は猪緒と共に男を閉じ込めてる部屋へ移動した。

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