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※前半部分気持ち悪いので閲覧注意です
「───。──────」
男が何か言っているようだ。だがもうどうでもいい。何も聞こえない。反応する気にもならない。
俺はこの後こいつの慰み者となり、奴隷として売られるのだろう。
労働力としてなのか愛玩用なのか、それとも他に用途があるのかはわからない。しかしいずれにしても主人の命令を受け、それに従って行動するだけ。何も考えなくて良い。裏切られることもない。それで十分だ。
男は相変わらず何か言いながら近づいてくる。そして髪を引っ張ったり頬を軽く叩いたり、挙げ句の果てには服の中に手を入れて胸元を弄って遊んでいるようだった。
しばらくすると今度は何を思ったのか、後ろ手に拘束していた手錠を外す。すると自分の手を咥え、唾液でべとべとになったその手を俺の手に絡めた。さらにそれだけに留まらず絡めた手に顔を近づけて舐め始める。
俺は抵抗せず、他人事のようにそれを眺めていた。
まるで赤ん坊だ。尤も、その図体は赤ん坊なんて可愛いものではないのだが。
やがてされるがままになっていることに飽きたのか、男は不満気に部屋を後にした。
◇
しばらくして男が戻ってきた。両手に大きなバケツを1つずつ持っている。部屋に入り片方のバケツを床に置くと、手に持っているバケツの中身を俺に向けてぶちまけてきた。
「!?」
中身は氷水だった。突然のことに驚き、思わず反応してしまう。
「やっと反応したか! 無反応だと面白くないからな!」
一度反応してしまうと、気にしないようにしていた不快感が押し寄せてくる。無言で男を睨みつけた。
「おお怖い怖い。可愛い顔が台無しじゃないか。まるで隣の猪みたいだ」
猪……。そうだ、ウリも監禁されている。それにさっきは信じてしまったが、本当に虎助さんとコハクさんが引き渡したのだろうか。可能性は低いかもしれないが、自分自身で確認していない以上まだわからない。
今こいつは油断している。もう少し近くに寄ることができれば実力行使も可能だろう。幸い両手は自由だ。
睨みつけたまま立ち上がる。手が自由に使えることのありがたみを噛み締めた。
「いい反応だねえ。犯しても反応がないと、人形で遊んでるようでつまらないからな。存分に抵抗してくれよ」
抵抗されることをわかっていながら、その上で無理矢理犯そうとするクズだ。俺は覚悟を決める。もう少し近づいてきたら実力行使できる間合いに入る。
「抵抗はしてくれてかまわないが、人間様に危害を加えようとは考えないことだ」
得意気に話しながら1歩、また1歩と近づいてくる。
注意深く距離をはかる。
「その首輪にもこの独房と同じように魔法が埋め込まれていてね。それをつけられた妖は人間にきが──ああああああ!?」
俺は男の股間を思いきり蹴り上げた。
お読みくださりありがとうございます。
出来るだけ気持ち悪くしようとした結果このようになってしまいました。
不快になられた方がおられましたら申し訳ありません。