第1話~これが僕?~
第1話投稿しました。
僕の名前は一之瀬奏、ごく普通の男子中学生です。卒業式から数日が経過したある日の朝、ここ最近苛まれている原因不明の激痛で目覚めることになった。
(あれ?おかしいな……身体に力が入らないな……)
僕はベッドから出ようとしたがバランスを崩してしまい、転げ落ちてしまった。
(何でだろう?いつもより目線が低い気がする)
もしかして身体が縮んでる?嫌な予感がした僕は恐る恐る自分の身体を隈無く調べることにした。
一番最初に目に着いたのは白い肌だった、僕は色白だけどここまで肌が白い訳がない。
男子ではあり得ない程細い腕と足が見えた。まさかの事態が僕の頭を過る。漫画や小説でお馴染みの男子が女子になる例のアレが僕の身に起きているとは思いも寄らなかった。
念のために僕は自らの胸部へと手を運ぶ。そして――疑惑が確信に変わった瞬間だった。
男子にはある筈のない微かな膨らみが……そして――男子にある筈のモノが見事に消失していた――
触るだけでは判らないので、自分の身体を確認しようと姿見をクローゼットから出すことした。姿見をクローゼットから出そうと動きだしたが何かに足を取られて派手に転んでしまう。
「うぅ、痛い……」
幼い女の子の声が聴こえるが当然声の主は僕だ。何に足を取られたのかを確認する。原因は脱げかけているパジャマだった、昨日まではサイズが合っていたはずのパジャマが何故かブカブカになっていた。
仕方ないのでパジャマを脱いで下着姿になり、姿見をクローゼットから取り出した。
そこに写っていたのは……銀髪で青い瞳をした西洋人形を彷彿させる幼い女の子の姿が写し出されていた。見た目は十~十二歳で所謂ー小学校高学年の小柄な少女その物だったー
少し恥ずかしいけど、僕は下着を脱いで有りのままの姿になり改めて姿見で自らの身体を隈無く見つめた、胸は……これからの成長に期待か?先程はチラ見程度だった下の方は……見事にツルツルでアレがくっきりと見えた。
僕は、自分の身体に起きた摩訶不思議な事態を理解するのに多少の時間を要した。
「なっ、なんじゃこりゃああああ!!」
思わずこう叫ばずにはいられなかった。
「お兄ちゃん、朝からうるさいんだけど!」
ドンッドンッと隣の部屋の茜が壁を叩く。
「茜、ごめん部屋にGを見つけて叫んじゃった」
我ながら思うけど、かなり無理のある言い訳かな?
「お兄ちゃん、そこに女の子がいるの?」
「えっ?女の子?この部屋に僕しかいないよ」
茜と僕は壁越しに会話をしていたが、茜は僕の部屋に誰か居るんじゃないかと、すぐさま部屋にやってきた。
「お兄ちゃん、部屋に入っても良いかな?」
コンッコンッとドアをノックする茜
「良いけど、ちょっとだけ待って」
僕は心の準備をしてから、茜を部屋に招き入れた。こうなったら、覚悟を決めよう……
「茜、入っても良いよ」
「じゃあ、部屋に入るね。お兄ちゃ――って、アレ?部屋に女の子しかいないけど……」
茜は目の前に僕がいることに気づいていないらしい。
「茜、僕はここにいるよ」
「えっ?お兄ちゃん!?」
「朝目が覚めたらこうなっていたんだけど……」
激変した僕の姿を目の当たりにした、茜は理解が追いついていないようだった。
「本当にお兄ちゃんだよね?」
「茜、僕のこと信用していないの?」
「じゃあ、本当にお兄ちゃんなのか確めてもいいよね?」
茜は半信半疑みたいだ。兄である僕の言うことをもっと信用してくれてもいいのに……
「いいよ、茜が信じてくれるなら」
「よしっ、じゃあ――幾つかか質問するね?」
その後、僕の恥ずかしい過去を赤裸々に告白する羽目になった。
「ね、ねえ、僕の言うことを信じてくれるよね?」
「信じるよ、それに――お兄ちゃん……凄い可愛いよ~」
やっと茜が僕の言うことを信じてくれた……恥ずかしさのあまり顔から火が出そう何だけど……
「お兄ちゃん、お父さんとお母さんにこの事言わないといけないんじゃない?」
「何て説明したら良いかな?」
「素直に朝起きたら女の子になったって、言うしかないと思うよ?」
「わかった、何とか説明してみるよ……」
正直なところ上手く説明出来ない可能性があるので、茜にも少しだけ手伝って貰おうかな?
僕は茜は、母さんと父さんのいるリビングに行くことにした。
「母さん、おはよう」
「おはよう、かな――って、あら?誰かしら?」
「母さん、僕だよ」
「?」
うん、息子がいきなり娘に変わったら混乱するよね。一応、父さんにも声をかけてみることにした。
「父さん、おはよう」
「おはよう、かな――って、おや?お嬢ちゃんは誰かな?」
「父さん、僕だよ」
「?」
父さんも母さんと全く同じ反応だった。信じてもらえるかは別として、今朝の出来事を説明するしかないよね……
僕がどう説明しようか困っていると、茜も一緒に母さん達に今朝の出来事を説明するのを手伝ってくれた。
「「奏」」
「えっ、何?」
「一度だけでいいから、パパと呼んでくれないか?」
「そうね、母さんの事も一度ママと呼んで欲しいわね」
えっ、何言っているんだこの人達は、一度パパとママって呼ばないといけないのかな?まあ、一度だけなら良いかな?
「パパ」
「ママ」
父さんと母さんは悶えながら喜んでいるようだった、そんなにパパ、ママって呼んで貰いたいなら茜に言えばいいのに、何故僕がパパ、ママって呼ばなきゃいけないんだ?
母さん達に今朝の出来事を説明し終えた、僕と茜は少々遅い朝食を食べることにした。
朝食を食べ終えた僕は部屋に戻ろうとした、その時だった。
「あら?奏どこに行くのかしら?」
「部屋に戻って、また寝ようかなって……」
「奏、今から病院に行くからダメよ」
「えっ、行かないとダメなの……?」
「ダメよ」
もう一眠りをしようとしたが、僕の身体を調べる為に病院に行くみたいだ。
「お母さん、お風呂沸いたよー」
「茜~、奏と一緒にお風呂に入ってもらっしゃい~」
「母さん、どうしてもお風呂に入らなきゃダメなの?」
「ダメよ」
母さんは怒るとスゴく怖いので大人しく言うことを聞こう。
母さんに促されるまま脱衣場に向かう僕。サイズが合わずにブカブカになっていたパジャマと下着を脱いでお風呂に入ることにする。かけ湯をしてから、湯槽に浸かる。
「奏、着替えここに置いておくわよ~」
母さんが僕の着替えを持ってきてくれたみたいだけど、まさか……女物じゃないよね?
僕は身体を洗うことにした、洗うだけならいつもと変わらないよね?
風呂場にある鏡で、改めて自分の身体をじっくり眺めた、そこに写っていたのは、透き通るような白い肌、綺麗な銀色の髪、宝石のような青い瞳、まるで西洋人形みたいな女の子の姿があった。
(これが僕?人形みたいだな)
少しだけ残念な点があるとすれば、一部毛が生えていない場所と幼すぎる肢体だろうか?(これから、成長するよね?)
「ねえお兄ちゃん、何してるの?」
鏡で自分の姿を見る事に夢中で背後に茜がいるとは思っていなかった。
「茜いつから居たの?」
「お兄ちゃんが、自分の下半身の辺りをまじまじと見ていた、辺りから居たよ」
気配も無く背後に立たないで欲しいんだけど。
「お兄ちゃん、身体洗ってあげるね」
「自分で洗うからいいよ」
「ダメだよ、女の子の肌はデリケートだから、優しく洗わないと肌が傷んじゃうんだよ?」
「そうなの?」
僕は茜から、シャンプーの仕方と身体の洗い方を教えてもらった。
僕はお風呂から出ると最初の試練が訪れた、どうみても女物の服だよね?他に着る物がないか探したが見あたらなった、これを着るしかないのか……
茜がお風呂から出てきたので着替えを手伝ってもらう、まさか下着まで女物だったとは思っていなかった。
風呂上がりの僕はリビングでコーヒー牛乳を飲んでいた、すると――父さんと母さんから――「「そろそろ出掛けるわよ」ぞ」と言われた。
「『出掛ける』って、どこに?」
「病院で検査をしてから奏のお洋服を買いに行くのよ、だから、そろそろ準備をしてらっしゃい」
「うん、わかった」
父さんが車のエンジンを掛けて待っているようだし早め準備をしよう。
朝起きたら突然女の子になっていた、僕の少し不思議な日常幕開けです。
2話の投稿は少し遅れるかもしれません。
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