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モラトリアム人間
ふとしたとき、いつも考えてしまう。
今の自分とはかけ離れた自分を。
輝かしい人生を送る自分を思い浮かべてしまう。
今のこの堕落しきった生活の果てにあるどうしようもない姿は、ないものとして。
例えば、この瞬間にも神様がやってきて、特別な才能を与えられて活躍する自分。
例えば、宝くじに当たって、裕福に暮らしながら事業をも起こしている自分。
あるいは、学生時代に大いに学び、エリートになっている自分。
どうしようもない空想だとはわかってる。
それでもふとしたとき、想像してしまう。
俺の人生はもっとこうなっていたと。