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日下部良介さま お祝い小説

「随分若い子を連れてるな。誰だ? その子は」

訝しげな表情で日下部を問い詰める井川。

「日下部さん、まさか犯罪に手を染めているんじゃないでしょうね!」

名取は妬み半分で言い寄ってくる。日下部はにっこり笑って紹介する。

「紹介します。菜須よつ葉ちゃん。看護師の卵」

「卵ってことはまだ学生か」

「はい! もうすぐひよこになる予定です。ヨロシクお願いします」

強面の井川にも怯まず挨拶をするよつ葉。

「ほー、日下部の知り合いにしちゃ、なかなか良い子じゃねぇか」

「えっ? 日下部さんの知り合いって…」

「あ、気にするな」

意味深に話をはぐらかす井川。

「よつ葉ちゃん、オレ、名取って言います」

「名取さんですね。いつでもナースコールして下さいね」

「マジっすか! じゃあ、早速…」

調子に乗った名取の顔面に井川のゲンコツが飛んで来た。

「うわぁー! よつ葉ちゃん、ナースコール!」

「あらあら、大変」

「そんな奴はほっといて、付いて来い。好きなものを何でもご馳走してやる」

「本当ですか! やったー」

名取には気の毒だが、何でも好きなものと聞いてはどちらを選ぶか考えるまでもない。

「部長ー、そりゃないですよ」

鼻血を垂れ流しながら、名取は三人の後をついて行く。


井川が連れて来たのはホテルのブッフェ。スイーツ食べ放題。

「すごーい!」

「ひよこになったお祝いだ」

「まだなっていないんですけど…。まっ、いっか」


テーブルの上に色取り取りのスイーツが並ぶ。

「どうしよう! こんなにたくさん」

「遠慮しなくて良いよ、部長はこういうところ、太っ腹だから」

「えっ? 太っ腹…」

「何を気にしてるんだ。小説の中なんだから、どんなに食っても太りゃしねぇよ」

「そっか! そうだよね」

井川の掟破りの力技に日下部と名取は苦笑する。

「なんか文句あるのか?」

井川が日下部と名取を睨み付ける。

「いえ、何も」

三人のやりとりに思わず吹き出すよつ葉。お腹いっぱいスイーツを食べてご満悦。

そんなよつ葉に日下部はそっと何かを手渡した。

「これは?」

「後で開けてみて、ボクからのお祝い」

「ありがとうございます! 楽しみです」


「ねぇちゃん、りっぱな鶏になれよ」

井川がポンとよつ葉の肩を叩いた。

「鶏って…」

「だって、ひよこなんだろう?」

「いやいや、そこはりっぱなナースでしょう」

井川のボケに名取が突っ込む。井川は井川なりによつ葉を励ましたのだけれど、珍しく照れてしまったようだ。

「これからが本当のスタートだよ」

「はい! 頑張ります」

「なんだよ、日下部。美味しいところを持って行きやがる」

「しょうがないっすよ、ここでは日下部さんが主人公なんですから」

別れ際に三人からもらった励ましの言葉によつ葉は試験の結果を気にして不安でいた気持ちがいつの間にかどこかに吹き飛んでしまったように思えた。


部屋に戻ると、日下部からもらったものを開けてみた。

「なんだこりゃ!」

よつ葉は腹を抱えて笑った。

箱の中には卵が一つ鎮座していた。


日下部良介さま


素敵なお話をありがとうございます。

まさかシリーズの中の子たちと共演できてい

嬉しい体験をありがとうございました。



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