秋の詩『秋の散歩』
『秋の散歩』
あなたの何気ない一言に
傷口がぱくりと開いたので
紅葉を詰めて
やり過ごす事にした
一歩一歩
落葉を踏んで
傷に似た色の葉を
拾い上げる
青空が混じらないように
気をつけないといけない
あれはさめざめと
痛みを増すばかりだから
ため息に似た形の
どんぐりは除外
臆病な胡桃は埋める
苛立ちに尖ったイガ栗は
蹴り飛ばすためにある
好きだから
何も言えなくなるの
ガサガサと虫食いの紅葉を
傷口に押し込みながら
一歩一歩
道なき森を彷徨う
柏の枝に引っ掛かって
しなだれていた羊雲は
あなたを曖昧にする為に
とっておく事にする
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憂鬱なお散歩。
遠慮ばかりしていたら歪んでしまうと思うんだ。