表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/20

(軽度に)穏やかな朝礼後のじゃれあい

 ふぅぅ……

 ギリギリだったがなんとか朝礼も間に合い、教室にたどり着けたぞ……

 マオによって切り刻まれた血も無事止まり絆創膏のメッシも真っ赤になった。(なんだかなぁ)

 でも、なんやかんやでこんな晴れやかな気持ちで一時間目を迎えられるなんてオレはなんて幸せなんだぁ。(幸せなんだぁ~~幸せなんだぁ~~)

「おはようございます。玄斗くろとくん」

「おう……おはよう……って!?」(机に突っ伏していた顔を上げる)

「なんですか……?」

 長く光るように綺麗な黒い髪。

 真っ赤で大きく髪の一部を結うように纏めた女の子用リボン。

 僅かに吊り上がりながらも愛嬌があり、可愛さのある赤い目。

 でも、その奥にどこか水を含んだ粘土のような固く重い泥みたいな闇。

 手に持った大学ノートサイズのタブレットの後ろに気持ち悪い程大量にオレの顔の写ったプリクラがゾッとさせないほど貼ってあった。

 どこか興味なさそうでどこか構ってほしそうな微妙な年ごろを体現したような眉根にオレはため息を吐く。

「なんだ、龍子?」

 幼馴染の辰見龍子たつみりゅうこだ。(え、幼馴染が多すぎる? うるさいよ)

「……朝から楽しんだようですね」

「たのしんだ……?」

 マオも言ってたな……その言葉。

「これです」

「これ……?」

 タブレットを見せられる。

「ッ……」(ゾゾゾッ……)

 こ、これは……!?

「オ、オレとマオの……」

 今朝、オレとマオの痴態を映した映像がタブレットに流れ、背筋が凍った。

 なんでこの映像が……誰も見てなかったはずなのに……

「な、なんでオマエのタブレットに……これが?」

「決まってます!」

 タブレットの内容をスワイプする(なぞる)

「私のタブレットは常時、この学校ないしアナタの家の様子を映像としてカメラに収めてるんです」

「そ、それってかんしじゃ……?」

「監視とは失礼ですね……私は愛する夫が「危険な凶鳥まがつどり」や「欲情した猫」に襲われないようしっかりと見守っているんですよ」(キリンッ)

「ス、ストーカーはみんなそういうんだぞ……」(ぞぉ~~……)

「失礼な……!」(ふんすん)

 龍子の鼻息がオレの鼻の頭に当たり、甘い匂いが鼻孔をくすぐる。(なんか背徳的)

「わたしを匿名掲示板で嫌いな人物をひたすら誹謗中傷するだけのニートと一緒にしないでください」

「……?」

「それよりも……」(こほん……)

「うぐぅ!?」(首を絞められる)

「わたしというものがありながら朝からお盛んなのは許せませんね」

「ぐ、ぐるじぃ……」(ごほごほ)

「……」(……)

 泥のように濁った龍子の目がオレの鼻先を見つめる。

「頬と鼻の先にばんそうこう……」(ベリッ)

「うっ……」

 絆創膏を取られた?

「……絆創膏の血」

「ッ……」

「はむぅ……」(ぱく)

 は、剥がした絆創膏を喰いやがった……

「むじゅぅ……ぐじゅぅ……じゅじゅぅぅ」

 まるでメッシに吸われた血を飲むように絆創膏を味わって食ってやがる。

 本当に人間かコイツ……いや、コイツ()は人間なのか疑問に思う。

「うぐぅん……」(ゴックン)(えろぉん)

 龍子の紅い舌が汚く垂れる。

「おいひかったですぅ……」(うっとり)

 熱い息が鼻にかかるとゾゾッと寒気が走る。

「み、みんなみてるぞ……」(チラ……)

 と思ったらみんなこんなサイコ女と関わりたくないのか一様に目を反らしていた。

 コイツら、いつか泣かす……

「それよりも玄斗くん、お金貸してくれませんか……?」

 オレの目の前で龍子の小さな指がパァと開く。

「五千円ほど貸してください!」(五本の指の先が光るように存在を際立たせていた)

「聞きたくないがなんで?」

「私がやっているソシャゲ……「ウチの姫は病んでるけどカワイイ」で欲しい姫がいるんですけど。お金がないのでガチャが出来ないんです。だからお金を貸してほしいんです」(キリッ)

「い・や……ウォ!?」(首を絞められる)

「いいじゃないですか……」(目がグルグル回る)

 く、くるしいぃ……

「ちゃ・ん・と・返しますから」(ぎりぎりぎりぎりぃいいぃぃぃぃぃ)

「か、かえってきたおぼえがないんだがぁ……」(が、がはぁ……)

 くちのなかがしょっぱく……なるぅ……

「だいじょうぶです……」(ぎっりぃ……)

 あ、あたまにちが……

「らいねんのおとしだまにはちゃんとかえしますから」(ぎりいいぃいぃぃぃ)

「ぐ……がぁ」(目が濁り口から血が出る)

「かしてください……くびのほねをおられたくなければ」(ぐぎりぃぃぃ……)

「こ、こんなことするやつに……かすかねは」(目がかすむ)

「……どうやらしぬのはこわくないみたいですね」(目から光が戻る)

「と、とうぜんだ……」(ぱくぱく)

「そうですか」(パッ……)

「がはぁ……はぁはぁ……うはぁぁ」

 机から崩れ落ち、オレは酸っぱくなった口を広げ大量の唾をはきだす。

「こ、このやろう……」(目の血管も浮かび上がり前が見えない)

「貸してくれないならわたしだって考えがあります……」

「か、かんがえ……?」

 もう十分、手段選んでないだろう……

「そう……かんがえです」(前屈みになる)

「うん……?」

 龍子の(マオやスズメと比べて)小さすぎて谷間すら出来ようがない胸元がほんの少しシャツの下から露わになる。(ブラも必要ないくらいまだない)

「どうですか……見たければ見せてあげるし触りたければ触ってもいいですよ……もちろんお金は取りますけど」(ニパァ♪)

「援交じゃないんだから……」(ゲソォ~~)

「そんな安っぽいものじゃありません」(ふんがぁ)

 あ、ほんの少し桃色の突起した可愛い……ごほん。

「私はただケチな(玄斗くん)に財布の紐を解くテクニックを行使してるだけです」(えっへん)

「……うぅ~~ん、テクニックねぇ」(ちら)

「……」(ぺった~~ん)

 ドンッ!

「うがぁ……」

 顔面を机に叩きつけられた……

「どうせぺったんこですよ!」(ジワァ)

「きにしなくってもいいのに……ウガァ!?」(ドンッ)

 またつくえにかおを……

「男の子に女の子のなにが分かるんですか!?」

「少なくとも人の顔面を机に叩きつける女の気持ちをとやかく言われたくない……うん?」

「あ……鼻血?」(顔が近づく)

「……?」(ドキドキ)

「……」(パシャッ!)

「オマエ、今どこからデジタルカメラを取り出した!?」

「新品の一眼レフですよ♪」(ドォ~~ン)

「待て待て待て待て待てえぇええぇえぇぇえ!」(ドッカァァァン!)

 教室全体が響くのを感じたが気にしない。

「オマエ、さっきオレに金を借りようとしてたよな? なんで一眼レフを持ってる?」(ドォォン!)

「買ったから金がないんです」(キッパリ)

「なら課金は我慢しろよ! カメラを買えれば課金くらい我慢できるだろう!」(正論)

「嫌です! カメラも買いますが課金もする! それが私の生きざまです!」(暴論)

「金を大事にしろよ!」(堅実家)

「どうせあなたに借りればいいしいいかなと思って……」(浪費家)

「オレだって金はないよ!」(貧乏人)

「それなら大丈夫です」(金持ち)

「うん……?」(疑問)

 タブレットを弄りだした?

「って……なんだそのタブレットに映る数字は!?」

 すごい勢いでタブレットの画面に不可解な数字と名前が並んでいくな……(嫌な予感)

「購入者が……「minami」と「nishi」……どこかで聞いたことあるような?」(首をひねる)

 「minami」……「みなみ」……「南」……「南方」

 「nishi」……「にし」……「西」……「西方」

「……まさか!?」

 南の……朱雀すざく。西の……白虎びゃっこ

「オマエ、なにあの二人に売ってる!?」(ガァ!)

「大したものじゃありません! 玄斗くんのさっきの鼻血の写真を一枚一万円で売ろうとしてるだけです」

「しかもなんで二人以外にもたくさん購入者がいるんだ!?」(机を叩く)(ドン)

「鼻血や頬の青痣は紳士淑女のフェチズムを刺激するいいスパイスなんです」(一部の変態だけです)

「……サイコ」(ぼそっ……)

「まだお金は受け取ってませんが……こんな映像もあります」

「ッッッッッッ」(カァァァ)

 なんでオレの風呂に入ってる姿やベッドで寝てる姿が……って盗撮してるんだったコイツ。

「今ならこの写真をたったの五千円で玄斗くんだけに売って上げます」(ニヤリ)

「……」(このアマ

「五千円……」(ニヤ……)

「は……」(歯の根が浮く)

「は?」(犬歯がキランッ)

「はらいます……」(敗北)

「一万円、確かに貰いました♪」(ぱんぱかぱ~~ん♪)

「増えてるじゃん!?」(絶叫)

「時価が上がったんですよ」(ぎゅい~~ん↑)

「一分も経ってないぞ!」(一分一秒目)

「株なら一分でこれ以上に上がることもありますよ」(下がることもあるけど)

「ただのカツアゲじゃねぇか!?」(涙目)

「あぁぁぁ!?」(顔中に青筋が浮かぶ)

「ウゴォ!?」(首を絞められる)

「元を正せば玄斗くんが素直に金を渡せばこんな面倒臭いことにならなかったんですよ! いつからアナタはわたしに逆らうようになったんですか!? 生意気です!」

「ジャイアンだってもっとやり方が可愛いぞ!」

「わかりました……」(パッ)

「ゲホゲホ……」

「まぁ、とりあえず……」

 顔が近い……

「いちまん……二万円貸してください」

「増えていくな……」(ゾッ)

「貸してくれないとドンドンと増えていきますよ。トイチなんて可愛いくらいに……」(ふふっ)

「な、なんで貸す側に利息が付くんだ?」

「嫌ならどんどんど貸すお金が増えますよ……いいんですか、貸せないくらい額が上がれば……ぐふふ♪」

「聞いたことねぇよ!」

 ドンッ!

「貸す側が破産するシステムの借金なんて……」

「いいから貸してください……五万ほど!」

「……社会人だって簡単に持ち歩けない額を出すな!」

 これ以上増やされると本気で破産する。仕方ない。(指を二本立てる)

「2万円……」

「4万5千円!」

「2万5千円!」

「4万円」

「3万5千円!」

「3万円!」

「3万2千5百円!」

「3万2千5百円!」

「「よし」」(ガシッ! ピッ! ドンッ!)(ジョジョのパン・ツー・丸見えのアレ的に)




 授業が始まりオレはとんでもない後悔に襲われていた。

(結局、金を貸してしまった……しかも当初の五千円から6倍の値で貸してしまった……)

 金に困ってないとはいえなんで三万も貸さないと……返ってこないし。

(うん?)

 授業中なのに着メロが鳴った?(しかも仮面ライダーZX(ゼクロス)の「ドラゴン・ロード」だ)。

 やっぱり龍子からだ……(ちなみにスズメの着メロ設定はドラゴンボールZの「僕たちは天使だった」。マオのは獣神ライガーの「奇跡の獣神」だったりする)

 先生にバレないようコッソリと机の下で……うん?

「ッッッッッッッッッッ!?」

 全身に鳥肌が立ち慌ててスマホの電源を切った。

(アイツ……なにをかんがえて!?)

 スマホの画面に送られてきた画像……

 それは器用な龍子が描いた自画像であった。

 裸のまま男達に蹂躙され泣き叫ぶ漫画調の龍子がイラストで表現されており、なんとも劣情を差そう絵だった。

 趣味が悪いにもほどがある……(いや、紳士淑女から考えればかなり趣味のいい話かもしれない)

 あ、よく見ると龍子の視線を感じる。

「……」(なにを考えてる)

「……」(ニパァ)

 龍子の奴……これくらいで三万を帳消しにする気か。

 だが……まぁ……二万円で勘弁してやろう。

 はぁ……一時間目から疲れる。(財布も疲れる)

 三人の幼馴染にはそれぞれ嗜好を持たせたいと思ってます。

 スズメは「暴力」、マオは「血」、龍子は「脅し」。

 まぁ、オリジナル自身慣れてないので手探りですが結構楽しいです。

 昔から回りに言われてるのですが私の趣味は若干、渋いと言われます。

 まぁ、ポケモンよりメダロットだったりデジモンだったりしますしね……

 他にも名作ですが知名度の低い「超香少年サトル」や「魍魎戦記マダラ」なども好きですしね。

 だからと言って流行りものが嫌いではなくただ単に流行に乗り遅れやすいだけだったりします。

 好きですよ、今、流行ってるこのすばとかISとかね……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ