(軽度に)つつましやかな朝礼前の挨拶
2017年6月2日。小説の手直しをしました。
「。」が「、」になっていたり、アホ毛を表現する「一本」の文字が同じ行に二つあったり、しまいには一人称なのにマオの感じてる部分を主人公が感じてるような表現があったので修正しました。
読んでて変だと思った方がいたら申し訳ありません。
身体が泥に汚れてしまったがなんとかA校舎には入れたぞ。
ああ、生きてるって本当に素晴らしい。(三回ほど反芻。手を合わせて神様に合掌)
え、腕を決められた際の「ゴキ」ってなんだって……?
オレはキン肉マンの背骨と一緒で骨が少し「ゴキッ」といいやすいんだ。
それ以上深く聞くな。オレだって思い出したくない過去くらいある。
「……にしても」
自由になった左手首を眺める。
痛々しい程、手錠の傷の痕が残っているなぁ……
自分で見ても生々しい……
「……」
手首まである長袖をちょっとだけ捲ってみた。
「うわぁ……」
酷い切り傷のミミズ腫れ……
テレビでよく見るリストカットもビックリな痕だ……(聖痕と言えば格好いいけどただの他傷)
これがついでに身体全体にもあると思うとプールにも入れない。
「おはよう……玄斗」
「うん?」
目の前で仁王立ちする桃色の髪の少女を認める。
「マオ……」
幼馴染の虎神マオだ。
実ったばかりの果実のように綺麗な桃色の髪。
前髪が一本鼻にかかるように垂れた紫色のメッシュ。
頭の上に気分次第で自由に形を変える大きなアホ毛が一本器用に「ハート」の形を作っている。
童貞を殺すような胸元が強調されたコルセット調のドレスに柔らかい乳房が揺れる。
目もジト~~としながらも人を射抜くように睨んでおり、鋭く光り、かなり威圧感を放っていた。
十人いれば十人とも美少女といえる少女だが同時に十人いれば十人ほどキツそうな子だと言いそうな……
そんな美少女だ。
「おはよう……って言ってるのよ」
ギロッと睨まれる。
「お、おはよう……」
「朝から楽しんだよね……」
「うぐぅ!?」
む、胸ぐらを掴まれた……
「朝礼前にスズメと泥遊びして楽しかったの……?」
マオの少し低い鼻がオレのマンガのような鼻に当たる。
甘い息が鼻の穴に入るのを感じ、力が抜ける。
「あ、あの……」
近くで見るとやっぱり可愛い顔してるなぁ……目が鋭いというか眠たそうというかどこかエロい。
「来なさい!」
「え、ちょ……うぐぅ!?」
身体を引っ張られ弧を描くように背中を校舎の壁に叩きつけられた。
「な、なにをする……ヒィ」
顔の横の壁をドンッと叩かれる。(ようするに壁ドン)
「な、なにするんだよ……」
「動くな……」
マオの可愛い顔が間近に映り、鼻の穴が少し広がる。
「……いいにおいねぇ」
こいつ、人の体臭を嗅いでやがる……
「泥臭い……」
眠たそうな声がオレの耳に響き、背筋がゾクゾクする。
「ちょ、朝礼が終わったら体育着に着替えるよ……」
「ちょっとエッチ……」
「え、えっち……?」(疑問形?)
「こうふんする……」(えろぉん)
「ヒッ……」
ドレス調のスカートのポケットから一本のカッターナイフが飛び出し、オレの神経が逆立つ。
「うごくな……」(シュッ……)
「いつぅ……」
カッターナイフの鋭い切っ先が頬の薄皮を薄らと切り裂く。
「……」
頬にヌル~~とした生暖かい血が伝うのを感じ、泥にまみれた首の裾を汚す。
「きれい……」
ウットリしたようにマオの目が細まる。(妙に色っぽいは内緒)
「……おいしそう♪」
「うひぃ……」
血を吸われるように舐められオレの背中が鳥肌を立てぞわぞわとする。
「むちゅぅ……」
蝶が蜜を飲むように流れる血を舐めるとマオのカワイイ声が震える。
「おいひぃ……」
ぺろぺろ……ちゅ~~~♪
「ち、おいひぃ♪」
飼い主にじゃれつく猫のように頬を舐め、血を吸われ、ついでのように顔を舐められる。
「あせのあじもおいひぃ……♪」
「や、やめろって……くすぐったい……」
「むちゅぅ……」
頬をべろぉんと舐められ熱い鼻息が耳に当たる。
「えろぉぉぉん……じゅじゅじゅぅ♪」
まるでエロ漫画のアレをするみたいな汚い音が校舎に響き淫靡さを際立たせる。
「すてきぃ……どんどんおいひくなるぅ♪」
マオの熱を帯びた声にオレも不覚に淫靡な情欲を覚えてしまった。(怖いという感情もあるけど)
「むじゅじゅじゅううううぅぅ……」
頬に痕がつくのではと思うほど強く吸われ、ジュポンと音が鳴る。
「ぷはぁぁ……♪」
血の流れる頬から口を離すと熱い唾の糸が垂れる。
「はぁぁぁ……はぁぁぁ……」
マオの疲れたような息がオレの耳に当たり、ぞわぞわとする。
「おいひかったぁ……♪」
血でたっぷり塗り上げられた真っ赤な舌がベロンと出る。
「ほら……うごかないで」
「ま、まお……?」
壁に背中を押し付けられたままマオの柔らかい乳房がオレの胸板へと当たる。
「はぁぁ……ハァ……」
頭がおかしくなりそうな熱がオレにも伝わり、気が狂いそうになった。
「く、くろと……くろとぉ……」
首の後ろに手を回され顔が近づく。
「あたまがおかしくなりそう……くろとのにおいがあたしをくるわせる……のうみそがまっしろになるぅ……ばかになるしゅんかんがいちばんちがおいしくいただけるときなのぉ♪」
「ウォ……!?」(視界がブレる)
マオの言葉に自分自身も狂いそうになった時、視界がブレ、硬い床に身体が打ち付けられる。
「ぐはぁ……」
頬の血がほんの一瞬、マオの着ていた服の上にかかり、赤く汚れる。
「かわいい……ふふっ♪」
獲物を手に入れた猫のように伸し掛かるとマオは血の味が残ってるであろう赤い舌を悪戯っぽく出す。
「あんた……かわいいかおしてるわねぇ♪」
こ、こいつ、オレの服の袖をめくりだした……
「わぁぁ……」
めくられた服の下の腕を見て、マオの蕩けた声が聞こえる。
「きれい……♪」
ミミズ腫れした切り傷だらけの腕を味わうようにべっとりと舐める。
腕から肩へ肩から胸へ胸から全身へと嫌悪感すらもキモチイイと感じる悪寒が神経全てを使い伝わる。
「お、おまえ……」(ゾクゾク)
コイツ(ら)に付けられた悍ましい傷跡も(傷つけた)本人(達)から見れば、芸術的な欲望をそそるエッセンスらしい。(オレは人に見られると自殺志願者だと思われるから暑い日も長袖着てるのに)
ミミズ腫れしどこか歪な形の腕を舐めながら、マオは泣いてるように目がうるうるする。
「ふふっ……」
気分はもう本当に「虎に捕まった獲物」と言った感じであった。
「きずをなめられてきもちいい……あたしはおいしい」
オレの腕で漫画で出てくるアレのように恍惚と舐める。
「ま、まお……じゅぎょうがはじまる:
逃げようと身体を捻るオレにマオの手が伸びる。
「うごくな……」
「うぐぅ」
く、くびが……
「うごくな……うごくとあぶないから」(またカッターナイフを取り出す)
シュッ……
「つぅ……」
鼻の頭から血が流れ、鉄の臭いが鼻孔に伝わる。
「えへへ……」
目の奥がぐるぐると回り気が狂ったように息が荒くなった。
「すてきぃぃぃぃぃぃ……♪」
溶けたように耳に纏わりつく甘美な声を出すマオの口から血のように赤い舌が出る。
「ち……って、ぶいごとで……おいしい♪」(べろべろべろ)
「き、きもちわるい……」(ゾクゾクゾク)
「あぁぁん!?」(ギロッ!)
「ヒ、ヒィ……」
マオの細い手が男の太腕を床に押し付けるように掴む。
「かわいい……♪」
マオの薄い唇がキスをするように血の流れる鼻先を舐める。
「うじゅぅぅじゅじゅぅ……」
き、汚い音が響いて恥ずかしい……
「えろえろえろぉん……♪」
「こ、こらぁ……」
過激な猫……いや「欲情した猫」に責められ、なすすべを無くし、オレは身体から力を抜ける。
「……うぅ?」(力がなくなる)
マオの顔の表情が変わっていく。
「はぁぁ……」
身体の上に乗りかかりながらマオの目がエクスタシーに達したように増える。
「きもちよかったぁ♪」
出し尽くした男のようにドロォ~~ンとした目を浮かべ、マオの手から市販の絆創膏を血の垂れる鼻と頬に貼り付ける。
「だれにもいっちゃだめよぉ……」(シュッ)
「ッ……ツゥ!?」
長袖から唯一露出した手の甲を器用にカッターナイフで切りさかれ、真っ赤な血がドロドロと流れる。
「あさごはんのでざーとはこれじゃないとぉ……♪」
「……」(サァ~~~……)
手の甲から流れる赤い血をほっそりした指を重ね、手のひらで溜める。
「いいにおいぃ……あたたかいのにすぐにつめたくなって……でもおいしそう♪」
手のひらで溜まった血を手のひらで潰し、デザートのよう舐めるとマオの顔が満足そうに微笑む。
「じゃあ……」
自分だけのおやつを見つめるように血の沁みついた手のひらを眺め、えへっと笑う。
「またおひるに……」
底の見えない泥のように濁った目がオレは包み込み、底なし滑に静まるような恐怖を教えた。
「えろぉん……」(血を舐める)
「はぁあぁあぁぁぁぁ……♪」(恍惚と顔が染まる)
血で染まった真っ赤な手のひらを舐めながらマオはふらふらと死人のように歩きながら去っていった。
「……」
一人残された俺は持ってきていたハンカチで切り裂かれた手のひらを巻いた。
「いきてる……」
全身数十か所にある傷跡が疼く、
今日も苦ったらしい一日が始まるのだと憂鬱になるのだった。
軽度に……そう軽度にヤンデレなんです。
例え、腕の骨を外そうがカッターナイフで身体を切り刻もうが学校の警備カメラをハッキングして行動をストーキング仕様が全て「軽度に」病んでるだけです。
そう、誰が何と言おうが軽度なんです!
ヤンデレCD第三段に比べればはるかに軽度です。(スーサンは第二段の従兄弟が好きなんけど)