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(軽度に)爽やかな朝の出来事

 ……

 …………

 ………………

 ……………………

 …………………………

 うん?

 息が苦しい……

 それになぜか唇が濡れる……

 口の中がうごうごとうごめく。

 まるでナマコが口で踊るような奇妙な感覚だ。(ナマコ食ったことないけど)

 粘っこい液体が口の中に流れ込み、頬の裏側を満たしていく。

 思わず喉を鳴らし粘っこいなにかを飲んでしまった。

 口の中の舌が吸われ、固く薄いもので挟まれるようなかゆい痛みが走る。

 思わず舌に絡まるヌメらかな生き物を舐め返す。

 気づいたら喉は蛇口の水を飲むように何度もゴクゴクとなり、臭いなにかを飲み続けていった。

 もっと飲みたい……

 もっと吸われたい……

 もっときもちよくなりたい……

 もっと……

「あ……?」

「……じゅる?」

 目を開けると大きな瞳が目に映る。

 蒼くどこか鋭さを持ちながらもノンビリした垂れ目。

 ハイライトが大きく輝きが強いヒカリ。

 唇を塞ぐ濡れた女の子の肉の感触は男の本能を奪うような甘美な甘みで満ちていた。

 思考が熱いのに凍る。

 凍ってるのに溶けていく……

 そんな訳の分からない感情がぐるぐると頭の中を駆け回っていく。

 掴まれた腕を押さえ込まれる。

「ぷはぁ……」

 唇を離され、濡れた瞳がオレの濁った眼を見つめる。

 吸い込まれるようだ……

「おはよう……」

 鳥が獲物を狙うような鋭い瞳でニヤァと笑う。

玄斗くろとくん……」

 鳥の口から涎がべちょぉと落ち、頬をツゥ~~と垂れる。

「いい朝だねぇ……♪」

 ドッカァァァァン……!

「……」

 窓から光る雷鳴にオレの心臓がドキッとした。

「放してほしいんだけど」

「その前に挨拶♪」

「……おはよう」

「よろしい……♪」

 手を放してもらい改めてオレは自分を襲っていた少女・鳥居とりいスズメの存在を視認した。

「いい朝って……思いっきり雨が降ってるんだけど?」

「通り雨だよ……それに雨の朝のほうが背徳感感じな?」

「あ、オマエ……制服?」

 制服が半分開はだけた綺麗な桃色のブラにオレは言葉を失い真っ赤になる。

 ブラからでも揺れるほどデカイ……

「朝ごはん食べたいんだけど……作ってぇ♪」

「……」

「おっぱいもいいけど今は……」

 口の中に指を入れられる。

「うぐぅ……」

 舌を無理やり引き抜かれ、そのまま食べるように唇を塞がれる。

「ぶじゅぅ……」

 腕をまた掴まれると低い唸り声が自分の口から洩れる。

「ぷはぁぁ……」

 体力を吸う吸淫鬼(サキュバス)に捕まったように身体から力が抜ける。

 これが女の子の力って奴か……

 朝から疲れる……



 朝のくだらないごたごたを済ませるとオレは先に下に降りたスズメの後を追い、居間についた。

 時間は五時半。料理を作れば出来るころには六時くらいだろう。

 八時に家を出るから食事を三十分て済ませると仮定して、逆算すれば一時間くらいコーヒーを飲む時間ができる。

 朝をノンビリ過ごす……

 一日のブーストをかけるに必要なルーティーンだ。

「はぐはぐはぐ……♪」

 早起きに理由を理屈つけるオレにスズメは幸せそうにオレの作ったご飯を頬張っていた。

「はぐぅ……うぐん♪」

 オレの炊いた白米を胃に流し込むとスズメはぬるく入れたお茶を飲む。

「おいしぃ……」(ほぅ……)

「お粗末様……」

 対席するように椅子に座る。

「ところで、なんでこんな天気の悪い日に人の部屋に入ってるの?」

「なんでって……?」

 湯呑をテーブルに置くとスズメは赤く薄い唇をペロリと舐める。(妙に色っぽい)

「ほら……玄斗くんのご両親が海外赴任したから幼馴染っぽく朝を起こしてあげようと思ったんだよ。鍵のほうは事前に複製してたしね」

「おい……!」

「それに起こしに来たはいいけど……」

「けど……?」

「玄斗くんの寝顔に遭遇して……」

「発見したように言うな……」

「玄斗くんの寝顔、可愛かったなぁ……」

「あまりジロジロ見るな……」

「幸せだなぁ……」

「オレはゾッとしてないよ……」

「あまりにも可愛いすぎるから……つい」

「つい……?」

 ビシッ!

「オマエが悪い!」

「オマエ……」

 目がマジだ。

 マジで「オマエの寝顔が可愛いから私は襲ってしまった。だから襲われたオマエが悪いのであって襲った私は被害者だ」というストーカーがよく口にするような言い訳を目でしていた。

「めまいがする……」(くらくら)

「気持ちよかったから全部よしってことで……!」(ニッコリ♪)

「……」(否定できない)

「うむぅ……?」(おかずを食べる)

 口から箸を離し、先っぽをパシパシと動かす。

「この漬物、どこで買ったの?」

「漬物?」

「すごくおいしい!」

「ああ……その漬物ね。(目を向ける)オレが漬けたんだよ……」

「およぉ?」(キョトン)

「ほかに趣味もないしね……」(はぁ)

「いいお嫁さんになるねぇ……」(うっとり)

「あのねぇ……」

「大丈夫!(ビシッ!) 私、将来、お金持ちになれる手相があるらしいから一生、部屋から出ないで済む生活を送らせてあげる!」

「一生売れ残りでいいや……ウオォ!?」(胸ぐらを捕まれる)

「えへ……♪(ニッコリ) わ・た・し・が・も・ら・うって……言ってるの♪」

 く、首が締まる。(ぶくぶく……)

「私がチュ~~したいときに唇を重ね、抱きつきたいときに身体を重ね。傷つけたいときに痛め付ける。それだけでいいの♪ キミの意思なんてどうでもいい……愛玩彼氏(どれい)に意思は必要ないの……わかる(オーケー)?」

「わ、わかる……わけ……な……」

「いつから意思を持ったの?」(ギリィ)

「ガクッ……」(ぽくぅ~~ん)

 薄れる意識の中、スズメの澄んでいた瞳が濁るように焦点を失い、コーヒーに入れたミルクのようにぐるぐる回った。

 ずっと……

 ファンタジーものを書いたので並行して今度はラブコメ物を書いてみました。

 これを書く前に色々と考案を作りましたが結局、「普通の少年少女の話」がいちばんだと思い作りました。

 なにが普通かというと簡単に言うと「特殊能力を持たない少女達」。これが普通です。

 スタンドなんて持ってませんよ、マジで……

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