お客様、ダイナミックな入店はお断りします
高らかに鳴る法螺貝や怒声。一体何事かとカラオケ店のドアを開けると、私は即座にドアを閉めた。
「……嘘でしょ?」
もう一度確認の為、ドアを開ける。――そして閉める。
緑がいっぱいで目に優しい自然が広がっていた。
「……店長は夜だし……うーん」
私、吉川三恵は現実逃避することにした。
――部屋掃除してたら元に戻るかしら。
数時間後、部屋はピカピカになったもののお客様が来ない。
「色々ヤバイよね」
階段を掃除して、次は何をしよう。と考えていたその時、
ガッシャーンとまるでトラックが突っ込んできたような音。
「?!」
せっかく掃除したのに誰だよ、こんちきしょう
「む?何だここは?」
……店長この店、何時から映画の撮影ロケ地になったんすか?
どうやら甲冑来た人が馬ごと突っ込んだらしい。……えぇ。ドアが見るも無惨な姿になってますよ。
吹きっさらしになったドア。私の頭の中で、修繕費と言う文字がよぎったのは言うまでもない。
「殿、ご無事ですか!?」
従者と思われる人が、馬ごと入って来た。
「…………とりあえず、馬から降りて怪我の手当てしませんか」
私は、半分麻痺し始めた頭であれこれ考えながら、言葉を発した。