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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

恋愛もの

オタク男とオタク女のある日常風景

作者: 水源

 俺の名前は竹内啓太、入社3年目のごく普通の会社員だ。

仕事はCADを使って上水道や消火ポンプの電子回路の設計の仕事をしてる。 


 んで、ある日の昼下がりに職場の食堂のテーブルで冷やしきつねそばちくわ天乗せを

すすってる俺のもとによこからすっとスマホが差し出された。

画面には刀剣乱舞の和泉守兼定のステータス画面が写っている。

そしてよく見ればレベルカンストとしてるようだ。


「ねえねえ、ケータ、ちょっと聞いてよ。

 何回鍛造しても蛍丸が出ないんだよ。

 どうしてだと思う?」


 おれは顔を上げてかけられた声の方に顔を向けた。

今時珍しいストレートでセミロングの黒髪にタレ目がちの

くりっとした瞳のかわいい系の女性だ。


 彼女はパスタの乗ったトレイを俺と同じテーブルにおいて

俺の横に座ってきた。


 こういう時”隣いいかな?”とか普通は聞くもんじゃなかろうか?

別に悪い気はしないけど。


 彼女は職場の同期の同僚で総務課の小林真由。

彼女はオープンオタクである。

そして聞かれている俺もオープンオタクである。


 ちなみの俺と彼女は恋人でも幼なじみでもない、只の知人もしくは友達である。

啓太とかケータという呼ばれ方は職場の皆がしてるし

まゆちゃんという呼び方も職場の皆がしてるからな。

オタク同士なら気が合うんじゃないかと思うかもしれないが

そんなことはないのだ、実際細かい趣味に差異があって話が通じないことも多いし

デートしても話が噛み合わないことも多い。

だったらソシャゲしたりニコ動を見たりしていた方が気楽で楽しい。


 ぶっちゃけ艦これやとうらぶの話をオープンスペースでする人間なんて

そんなにいるわけではないのだが、おれたちはオープンなオタクなので問題ない。

俺達の周りからそういうキャラなのだと認定されてるらしいしな。

昔はゲームオタクはいじめの対象になったという話も聞くがいい時代になったものだ。

で、彼女は新選組の土方が好きらしくとうらぶでも

彼の愛刀である和泉守兼定や沖田の愛刀菊一文字則宗なんかをメインに使ってるらしい。

新選組の土方がかっこいいというのは写真も残っているし事実だ。

俺も新選組好きだしね。


さらに、まゆちゃんはジャニオタでもあるらしい。

ちなみに彼女の一押しは松潤。


 俺がジャニーズで好きなのはTOKIOの城島だけどな。

まあTOKIOは農家や大工がメインでアイドルはおまけだけど。


 そもそも最初声をかけられた時もとうらぶを知ってるか聞かれ

和泉守兼定の出し方を聞かれ俺がネットでレシピを探したりして

なんとか見つかったのだが…蛍丸ってかなりのレアじゃなかったか、確か?


「いや、まゆちゃん。

 レアモノってそういうもんだから。

 俺だって瑞鶴出してから翔鶴出すまでに大型建造で

 どんだけ資源とかしたかわかんないよ。

 そもそもレシピはあってるの?」


レシピというのは刀を鍛造するときに消費する資材の量の目安のこと。

強い刀はそういった資材を大量に使用しないとまず出ない。

いやホントに俺が艦これやってる時もなぜか瑞鶴が3人になったり大鳳が2人になったり

あきつ丸が3人になったりしても翔鶴さんが来なかったんだよな……。


俺の言葉に彼女は頬を膨らませて言い返してきた。


「もちろんちゃんと調べてから鍛造してるよ。

 最初は知らなかったけど。」


刀剣男子のイラストに惹かれてとうらぶを始めたらしい彼女は

最初はよくわからず適当に資材を使って枯渇させたり資材をケチりすぎて

脇差しや小太刀ばっかりになっていたらしい。


まあ、俺が艦これを始めた時もそうだった。

駆逐艦ばっかりですすめるのが大変だったのもいい思い出だ。

そして、人はおんなじような間違いを皆犯すのだろう、うん。


「だけどミーコは初めて3週間で蛍丸来たんだって。

 私はもう半年ぐらいやってるけどまだでないんだよなんでだと思う?。

 んでミーコが蛍丸出したらとうらぶのオンリーの売り子やるって

 言っちゃったから再来週売り子やんないといけないんだよね。」


 ミーコというのはまゆちゃんの友達らしい。

らしいというのは俺は直接あったことはないからだ。


 でオンリーというのは同人誌の特定の作品のみを対象とした販売イベントのこと。

同人といえば夏冬のコミケが有名だけど小さなイベントは毎週のように何処かで行われてる。


「んーだったらその人はイラストを書いてピクシブに上げたり

 絵馬を神社に奉納したりしたのかも?。」


 ほとんど都市伝説だけどほしいキャラをイラストにしてピクシブにアップしたり

神社に奉納したりするとそのキャラが来るらしい。


 イラストを書く時間に費やす時間をもったいないと見るか願掛けに必要な時間と見るかは

人それぞれだがそれなりに信じてる人間は多いみたいだ。

まあ、俺なんかはイラストなんてかけないから出来ないけどな。


「うーん、私もイラストとか得意じゃないからちょっと無理かな…。」


ですよねー、イラストが上手く書ける人はすごいと思います。


「じゃあ、地道にレシピに従って鍛造し続けるしかないね。

 出る確率は1.5%弱だったはずだけど。」

 100回やれば1回は出る計算なんだけどね。」


彼女は首を傾げつつ


「でもでも、この2ヶ月2日に1回ずつぐらいはやったけど出ないのってひどくない?。」


などと俺に行ってきた


いや、確率的には全然普通だとおもう。


大型建造を100回やって大和も武蔵もでないなんてのもよくあることだ。


「こういうゲームの物欲センサーは強力だから、

 むしろ無心でやったほうが出るんじゃないかな、たぶん。」


うん、俺なんかあきつ丸狙いでいきなり大鳳が出たからな。

その時は別に欲しくなかったんだけど大鳳も相当レアなんだよな。

ああいうのは狙って出るもんじゃない。


 ちなみいま世間ではポケモンGOが流行ってるし

実際に回りでもやってるようだが俺達には関係ないとばかりに

そんな話は一切でない。


「そもそもいい大人がポケモンを探してウロウロしてるのって

 どうなんだろう?」


「いや、その言葉は世界中の大勢のポケモンGOをやってる大人を

 敵に回すからやめといたほうがいいとおもうけど?」


「まあ、それもそうか。」


正直ポケモンGO自体の楽しさはよくわからないが

何かをコレクションするということが楽しいのがわかる。

そして一通り全て集めようとすると大変なのもわかる。


昔のガチャと違って何万とか何十万とかの金をかけないと

SRとかが手に入らないというのは最近のゲームではあんまり無いようだが

その代わりドロップ率がすんごい低くて苦労したりするのだ。


「まあ、実際としては地道に鍛造を繰り返すしかないと思う。

 目的のキャラを変えてみてもいいと思うけど。


そうするとあっさり出たりするんだよね、なぜか。


「そっかぁ、じゃあもうちょっと頑張ってみるよ。

 ところで再来週の日曜暇?。」


 なんでそんなことを聞くんですかねぇ。

まあ大体予想はつくけど。


「暇だけどなんで?。」


俺は友だちが少ないし休みはだいたい家でゴロゴロしながら

ソシャゲをしてることが多いから大体開いてる。


女の子の手帳を見せてもらうと2ヶ月ぐらい先まで

スケジュールが詰まってたりするんだがあれってなんなんだろうね。


「じゃあ、とうらぶオンリーの売り子手伝ってくれないかな。

 なんか人手が足りないみたいなの。」


「おいおい、とうらぶオンリーじゃ売り手も書き手も女ばかりで

 18禁エリアはBLばっかりじゃあないのかい?」


「ケータならたぶん大丈夫だよ。


なにその根拠の無い断言。

別にBLも嫌いじゃないけどそれを売り買いしてる場所に

ずかずか踏み込めるほど命知らずじゃないつもりなんだが。


 「コミケにもコスプレ参加してみたいけどしばらく先だよね。」」


たぶん刀剣男子のコスプレーヤーも少なく無いとは思うし

まあ彼女ならビジュアル的に見栄えはするかもしれないけど、


 「あとコミケのコスプレは長ものの持ち込み禁止だ。

  刀はハリボテでも持ち込めないぞ?」


「え、そうなの?

 うーん、それだと雰囲気でないよね。」


”キーンコーンカーンコーン”


そんなやり取りをしていたら始業5分前の予鈴がなってしまった。


そして俺の目の前には伸びきった上にぬるくなったきつねそばが残っていたが

まゆちゃんの目の前にパスタ皿はすでに空だった。


「おぉぅ……。」


 なんで女の子はおしゃべりと食事を並行してできるんだろうね。

天を仰いだ俺を残してトレイを持ち上げるとまゆちゃんは立ち去り際に


「じゃあ、売り子の件考えておいてねー。」


そういうと彼女は職場に戻っていったのだった。


 俺は伸びてぬるくなった蕎麦をすするとほとんど残して容器を返却し

後を追うように職場へ戻るのだった。


まあ、売り子の手伝いの件、頭の片隅に残しておくか。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 話の内容がさっぱりわかりませんでしたが、水源さんの貴重な恋愛?小説を読めた満足感でいっぱいです。(笑)
[一言] オタク… ジャンルが沢山有りますよね。 ゲームは、視る側でPLAYする側では有りませんが、アニメやコミック・小説も雑食系です。 子供と声優について熱く語り合う日が来るとは思いませんでしたが……
2016/08/26 10:32 退会済み
管理
[良い点] 私もこんなオープンにオタクトークできる異性がいればなあ……。 羨ましい気持ちになります。
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