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11 早朝の孤独

「起きな!あんたは、あたしと一緒に見なきゃいけない!」

 お艶に威勢よくたたき起こされた。

 外は明け切っていないが、大勢のざわめきが聞こえる。

 通りに出ると、人々は道の真ん中を空けて、何かが通るのを待っていた。

 一段とざわめきが大きくなり、火事装束を着た一団が現れた。

 先頭の槍の先には、吉良上野介義央きらこうずけのすけよしひさの首が、ぶら下げられている。強欲、意地悪、塩の利権がらみ、地元では、今も残る黄金堤(こがねづつみ)と呼ばれる堤を、私財を投じて築かせたという名君だと言われている……色々な説があるのだ。どっちにしても、老い先短いじいさんの、この最期は哀れだ。

 義士達も血だらけ、早朝の空気は血生臭い臭いで満ちていた。

「安さん――」

 先頭集団にいた堀部安兵衛はこちらを見て、お艶と俺に笑いかける。初めて見る会心の笑顔だ。


「旦那ー!!なんて水くせえお人なんで。あっしに一言言ってくだされば、何なりとお手伝いをしたものを!」

 通りの向こう側で、半次とお春が、安兵衛を追いかけている。


 右衛門七が、こっちを見て一礼をした。

 彼もまた、会心の笑顔。


 あれほど無惨な死体を持って、あんな風に笑える彼らの心理は、現代人の俺にはわからない。大勢の死人や怪我人も出たはずだ。

 喜びはしゃぐ江戸の町の人々の中、俺は一人、孤独だった。

 このままこの町で、生きて行かなくてはならないのか。


 ふわり。

 ずっと飯抜きだった俺は、立ち眩みを起こし……。

 構想0日、執筆3日のこのお話。

 時代劇フリークとしては、一度手を染めてみたかったのです。が、時代考証がめちゃくちゃなのは、どうかお許しを。

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