一話「ようこそ」
「502億ゴールド……。円に換算すると、2.5億円ぐらいか……まだ、足りないな」
春樹の近くにウィンドウが表示される。
「次の対戦相手を探しています」
「賭け金、オール」
「本当に良いですか?」
「イエス」
「対戦相手が見つかりました。ラウンド7を開始します」
これはゲームだ。
人間の五感をフルに活用することにより、現実と変わらない臨場感を味わうことのできる。いわゆる、VR(仮想現実)を使ったゲーム。
「ーースタート!」
「ヒャッハー!あれ?今度は君が相手かなお坊ちゃん?」
春樹の前にはバズーカ砲を持った人が立っていた。
対して春樹が持っているのはナイフである。
「あっれれー。そんな武器で俺に勝てるとでも?」
「いや、俺の武器はナイフじゃない。魔法だ」
「ほっほー。そうかそうか。まあ俺様にはどうでも良いことだ。どうせ勝つし!」
男はバズーカの銃口を真上に向けた。
「これで終わりだー!」
男はバズーカを放った。
轟音が鳴り響く。
弾が上に飛んでいく。
その衝撃で男はバズーカ砲に押しつぶされた。
男の上に表示されているHpバーがみるみる内に減っていく。
同時に春樹は何かを唱え始めた。
「ヒール」
男のHpが回復していく。
男はのっそりと起き上がり血まみれで、滅茶苦茶になった体で言った。
「悪魔……。悪魔アアアアアアあ」
春樹のヒールで回復するのはHpだけだった。それに相手も回復させられる。
このあり得ない魔法が春樹の武器なのだ。
「自分でやったんだろ……最強は俺だ」
そう言って春樹はナイフを自分に突き刺したーー。
「You Win!3517億ゴールドが加算されます。まだ続けますか?」
「いいえ」
「ご利用、ありがとうございました」