表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
向日葵 空碧く  作者: 藍原紗奈
3/3

変化

紗奈は2歳になり、母の希望で個人宅のピアノ教室に通うことになった。と、同時期に母に変化が起きた。

母は家に居る時より、職場に居るほうが楽しそうだった。


そう、母に好きな人が出来たのだ。

上司の、父よりかなり若い男。長身で、母の前ではいつも笑っていた。母もその男が傍に居る時は満面の笑みだった。しかし、帰り際になると母はとても寂しそうで、悲しそうな声のトーンで

「帰りたくないわ」

「また明日会えるだろう」

「、、、、、」


毎日私はそんなやり取りを見ながら、母が私に声かけてくれるのを待っていた。

母は上司に別れを告げると、私の手をグイと引っ張り、車まで歩いた。車中もただただ無言で、空気は重苦しかった。そんな空気が嫌だったのか、私はその日あった出来事をきゃっきゃと話すのであった。しかし母の返事は素っ気なく、しょんぼりとしていた。

父は、母が不倫をしている事を全く知らなかった。毎日ゆっくり会話する時間もなく、家が寝て食べるだけの場所になっていた。仕事も毎日激務で睡眠時間も短く、家庭の事を考える余裕など無かったのだろう。

この時から、母は日に日に笑わなくなった。父の唯一の土日休み、3人で出掛けてもただ並んで歩いているだけ。父と私は3人の時間が好きだったが、母がいつも上の空で心此処にあらずだった。

「ママ、パパ、ブランコやってー」

私は父と母にいつもやってもらっている、手と手を繋いでぶらぶら宙で浮くのが大好きだった。だから、3人の時はいつもお願いしていた。

「お!いいぞ~、ブランコやろうか!」

父はいつも笑顔で手をギュッと握り返してくれた。

「、、、、いいよ」

最近の母はあまり乗り気じゃない、どうしてだろう、、、、?

「、、、、、、」



3人の心が、段々とすれ違っている事を父は気づかなかった。

私はその微妙な空気を静かに感じ取り、母を観察するようになった。










評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ