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向日葵 空碧く  作者: 藍原紗奈
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藍原家

藍原家は父の藍原たかし母の藍原彩奈あやなそして私、藍原紗奈さなの三人暮らしだった。父は都内の経理の事務所に勤めるサラリーマン。自宅から片道一時間半かけ毎日通勤していた。その為、朝は5時半には出勤し、夜は夜中の22時を回るのが当たり前。母は子育てをしながら会社にも週5日勤務し、家事もこなす完璧な母親だった。文句の一つも言わず、毎日帰りの遅い父を待っていたのだった。


父の在宅時間が少なかったので、母と私の二人暮らしのようなものだった。

だからか、母は日中私と二人で家に居ることを嫌った。常に職場にいるか、ママ友と遊ぶことが多かった。託児所に預けられていたのもあり、母は顔が広く、沢山の友達が居た。

家は父が35年ローンで購入したマンションに住んでいた。当時、父だけでも十分過ぎるくらい普通に暮らせる収入があり、父は母が働くことを反対していた。

「子育てと家の事だけでいいからちゃんとした子に育てて欲しい。無理して仕事して欲しくない」

しかし、母は反対を押し切った。

「私は働きたい、一日家に居るなんて耐えられない」と。

「じゃあ」と、父は1つお願いした。

「働く代わりに、彩奈の稼いだお金は将来の為に貯金して欲しい。紗奈も大きくなったら学費もかかるだろうし、何かあった時に一文無しじゃ困るからね」

「分かった。でもお小遣い制にするから」

「、、、、、、」



--------こうして、父は母にお金の管理を任せる事になった。父のお小遣いの金額は少なく、母が頑張って節約しているのも知っていたので我慢できたし、節約している分きちんと貯金しているのだろうと安心しきっていた--------


 平和で平凡な三人暮らし。全て順調だった。

 親戚に祝福され、友達からも応援され、藍原家の幸せを願ってくれていた。その空気は温かく、この時間がいつまでも いつまでも続くだろうと思っていた。



 、、、、、だが、順調に見えているだけで、もしかしたらそれは表面上だけだったのかもしれない。


 小さな亀裂がヒシヒシと鳴っていたのを、誰一人気付く事は無かった。

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