崩壊
サヨナラの前の、その一瞬。
どうもよかです。頑張ります。
(重複です)
「……ハァー」
僕の心はズタボロにやられていた。自分への罪悪感に。切り出せない僕に。
怒りと悲しみが心へとナイフへと化けて刺さっていった。
…何度『あいつ』を思えば振り向いてくれるだろう
…何度『あいつ』の名を呼べば微笑んでくれるのだろう
…何度『あいつ』と手をつないだ時を思い出せば前みたいにバカみたいな世間話や心からの気持ちを一緒に話せるだろう
たったの少ない時間の中で考えた。いや少なくはない、だって今日の朝からどう接すればいいか考えてたんだから。
SNSに今の気持ちをつづってみた…けどリア友は全く見てくれない。
『あいつ』のクラスの前で友達と喋ってみたり…したけど『あいつ』は英語の勉強でこっちを全く見ない。俺の方を何度か見た時もあったけど、重要な僕が目を逸らしてしまった。
廊下に出た! と思っても僕のいる方とは90度別の方向へと歩いていって、全然気づかない。いや気づいているのかもしれない。
『あいつ』も気づいているのだ、僕との間にできた溝に。
一体どうすればいいんだ。僕は廊下の床ににべったりと座った。大きくため息をつく、もう自分に嫌気がさす。
何で僕は話に行かない?
何で僕は笑顔で『あいつ』に振り向かない?
…何で『あいつ』は僕をしっかり見ない?
もうだめなのかな、もう仲を取り戻せないのかな…
―キーンコーンカーンコーン―
バカみたいに昼休み終わりのチャイムが廊下中に鳴り響く。僕は真っ直ぐ『あいつ』の教室の前から自分の教室に入る。いまだにガヤガヤと教室は言葉の投げ掛け合いで一杯になっている。うるさい。一番後ろで窓側の僕の席に座る。
……
……
「おいっ」
「はひっ!」
いきなり後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。体ごと椅子に座りながら後ろに向く。そこには『親友』がいた。
「何かあったか? 暗いぞ」
「いやっ、特に何もないよ」
嘘だ。天邪鬼だ。最低だ。僕は『親友』にさえも嘘をつくようになったのか。左手で頭を軽く叩く。『親友』は首をかしげる、多分「変なの」って思っているんだろう。
「…そうだったらいいんだけど。『親友』に嘘はつくなよ。し・ん・ゆ・う」
背筋が凍る。『親友』は笑顔で一番前の席に座る。
知っている。
『親友』は知っている。
何も言っていないけど、何でも知っている。僕の『親友』はそんな奴。
「ハイ、授業始めますよ、座ってください」
理科の先生が五時間目の始まりから三分位遅く教室に入ってくる。教卓に荷物を置きチョークを持ったまま挨拶を持ちかける。
「起立、お願いします」
日直は適当に心のこもってない挨拶をする。
『お願いします』
「お願いします」
皆の声より少し遅めに挨拶をする。先生は鈍感だから気づかない、けど『親友』は後ろを向いてプププと笑う。
「えー今日は、気象観測の授業をします、教科書140ページを開いて…」
僕の心は何処かへと消えていた。
ここから何も覚えちゃいない、いや感じていないのだ