お泊まり
「さぁ、フレア、ユピィ行きましょう。まだまだ先は長いんだからね。」
「「はい、ママ」」
うふふ、いい返事。
お腹もいっぱいになった事だし、先に進みましょう。
助っ人さんにも早くお会いしたいなぁ。
なぁんて他愛もい事を考えていたら「ケイ!」と声を掛けられた。
熊さんが追いかけて来たみたいです。
私、何か忘れ物したかな? 貝殻のイヤリングとか……(笑)!
「ケイ、悪かったな。」
「いいえ、気にしないでください。虫の居所でも悪かったんでしょう。
それよりご馳走さまでした。このまま行くのは心苦しいのですが、先を急ぐ身ですので失礼させていただきます。」
一気に話してさっさとずらかろうと歩き出したけど、また熊さんに捕まった。
「いやいや、もう昼も過ぎたから明日の朝出掛けた方がよくないか?」
「いえ、先程もいいましたが先を急ぎますので失礼します。」
さっきからフレアとユピィが怒ってるー!
ここはさっさと脱出だぁ。
「待ってくれ、ケイ!」
熊さんが私の肩に手をかけようとした瞬間、熊さんが後ろに転がっていった。
フレアとユピィを見ると大笑いしている。
あぁ、ユピィが風で吹き飛ばしたのね…。
《ユピィ、ダメでしょう! 後でお説教だからね!フレアもだよ!》2人にだけ聞こえるよう小さな声で2人を叱る。
熊さんがひっくり返ったまま驚いている。
まずい…魔術だと気付くかな?ごまかさなくちゃ!
だけど…笑える!なんで動かないの?
でも、笑っちゃダメだよねぇ。
熊さん、いつまで私を笑わすんですかー!
私も驚いて困った感じを装おう…。
「コンスタンスさん、大丈夫ですか?」
「あ、あぁ…。」
大丈夫そうだからもう行っていいですよね。
「それじゃ、失礼し「ちょっと待ってくれ。」」
何ですか!?ビックリするじゃないですかー。
「ナディアに謝らせるから、出発は明日にしてもらえないだろうか。」
「泊まるにもお金もないですし…。」
「いやいや、家に泊まればいいから。」
えぇー、なんか強引だなぁ。
「でも、ナディアさんも了承してるんですか?」
「えっ?俺は独り暮らしだよ。」
「えっ?ナディアさんと夫婦じゃないんですか?」
熊さんによくよく話を聞くと、ナディアさんとは家族を亡くし、自分も重傷を負った時お世話になったそうで、いまだに頭が上がらないそうです。
これでこの村の事、ナディアの事を悪く思ってほしくない。それにこれから出発してもたいして進めず夜になってしまうから、ぜひ熊さんの所に泊まってほしい……という事でした。
確かに、ここで話を聞いているうちに結構時間がかかったし、昨夜フレアとユピィが暖めてくれたから寒くはなかったけど、土の上に寝るのは想像より身体に応えるんだよなぁ。家で寝れるのは魅力的…だから熊さん家にお泊まりすることにしました。
はぁ、先は長いけどちゃんとたどり着くかなぁ?
騎士様、只今恵の元へ急行中。