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熊さんと私

「さあ行くかぁ。」

私たちは熊さんの合図で歩き始めました。


「ところでお嬢ちゃんの名前はなんていうんだい?」

はぅ、私この世界に来て初めて名前を聞かれました!

でも、ハピィから真名はぜぇーったい誰にも教えちゃいけないと何度も何度も言われました。

あの時のハピィは怖かったぁ…。


「あの、私はケイと言います。」

本当は恵と書いてめぐみと呼びます。

友達からは『めぐ』とか『ケイ』と呼ばれていたので、ケイにしました。

呼ばれ慣れている方がいいかなと思ったのです。


「く…おじさんの名前は?」

おっと、まずい、まずい。思わず熊さんと呼びそうだったよ。


「おにいさん。」

「えっ?」

「まだ19だからおにいさんと呼んでほしいな。」

えーっ!!!

ちょっと待ったぁーーーーー!!!

私は先日21になったよ…。

熊さんは、私よりも年下?


…19の彼が私に『おにいさん』と呼んでと言ったよね。私は何歳に見えるんだろう?

確かに私は150㎝ちょっとしかないよ。働いていた時もよく高校生どころか中学生に間違えられていたよ。

飲み会の帰りには補導されそうになった事もあるよ。

………ダメだ、落ち込んできた。


いやいや、落ち込む事は後でもできる。

ここはOL 時代に培ったスキルを発動させなきゃ。

その名も『スルー』、これは都合の悪い事は聞かなかった事にして、次の行動を起こせるという、社会人には欠かせないスキルなのだ!(嘘です…)



ここは、さっきスルーされた名前を聞かなきゃ。

「お…にいさんの名前は?」


「俺はコンスタンス・オルセンといって、この先にあるホリング村で猟師をしてるんだ。

今日はオリカジの森へ獲物を捕りに行ってたんだが、ケイがグルガに襲われているのを見かけて、あわてて森を出てきたんだよ。

怪我もなくて本当に良かったなぁ。」


私がいたマーラ草原と街道を挟んで、木が鬱蒼としているところがオリカジの森っていうんだ。

それにあのワンちゃんはグルガっていう名前なんだ。フムフム


「ご迷惑を掛けてごめんなさい。」

コンスタンスさんはお仕事中だったんですね、これは悪い事をしてしまいました。


「いいんだよ。ほら今日の分はもう捕ったから。」

そう言って鶏より一回り大きくて青く綺麗な羽をした鳥を見せてくれました。

「今日は3羽も捕れたんだよ。これだけあれば良い値で買ってもらえるさ。」


よかったぁ。

安心してお昼ご飯を奢ってもらえる。


そのあと私たちは、道端に咲いている花を見て「綺麗だね。」等とどうでもいい話しをしながら、村まで歩いて行きました。


本当は精霊の事、ヨカモの森の事等々聞きたい事はいっぱいあったんだけど、初めて会った男の人と話せなくって………。


そうだよ、私は人見知りのヘタレなんだよ! グスン


村に行ってヨカモの森への行き方、ちゃんと聞けるかな?



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